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(T)飯岡風力発電と現状
飯岡から銚子にかけては風況調査により、年間を通じて風が強く、関東では有力な風力発電の地区であることが判ってきました。海からの風と50m前後の台地である地理的条件に恵まれているからです。展望館の近くで2年前から30mの観測塔で調べていますが60m換算で年平均風速が7.2m、日本海側では夏の風が弱いのに比べ、6月でも思ったより強い風が吹きます。
今回建設された飯岡風力発電所付近では6m前後ですが、今回投入したヴェステックの新型V52-850kwは内陸部の居住区域での騒音や環境に対応するために開発された機種と公表されています。銚子の風力発電と、常時、比較して見ていましたが、弱風・騒音など想像以上に対応していると思います。
海岸近くで風況には恵まれていますが、系統連係と公園法などの規制で大規模な施設は困難です。しかし、現在、銚子の小浜周辺で数社が計画を進めています。
次に2000KW以下の小規模な風力発電です。この場合は規制が少ないため、風況の調査を確実に行い、採算のメドがあれば、自家用を始めとして様々な形態の可能性があります。
パラグライダーによる空撮 |
(U)風力発電機の紹介
(V)飯岡 屏風ヶ浦周辺の風況
2000年6月から上永井で30mの風況調査を行っています。
約2年近くの結果を集計すると、計測高さ30mで総平均6.4m。主風向は5月から8月がSSW、9月から4月がNE。
垂直分布の法則 Vz=V1(Z/Z1)1/nから60mでは7.6〜8.2mの風速になります。
風況もほぼ一定しています。
まだ2年間ですが他のことはさておき、風速では極めて適地といえます。
●確かに数字上ではすぐにでも建設したい適地ですが実際はどうなのか。日本の風力発電の現状を総括する意味で若干考えてみます。現在稼働している風力発電で、厳密に採算した場合、大規模な施設を除き、約過半数が採算割れをしているといわれています。
●その一因は風況調査機器が+-約5%位の誤差があること。風速が年により最大で10%位の違いがあること。調査地点と風車建設地点が違うと数%の誤差が出ること。
これらが重なったとき、建設してから思ったより風が無い、採算割れしている、という理由を突き詰めていくと風況調査が原因と考えられます。
●少なくとも、風車場所内に数箇所の機器を設置し、2〜3年間調査しないと、20年の長い時間に耐用する風況の数字は得る事が出来ないと考えられます。
これは自己反省ですが、6mの風況が出れば事業化は可能と判断し、事を急ぐあまり、様々なケ−スを取り込みシミレ−ションする余裕が欠落しがちです。
●採算割れが発生している風力発電について詳細に調べ、原因を明らかにしていくことが是非とも必要と思います。
(W)洋上風力発電の可能性
この間の調査により、太平洋側では飯岡沖が有望であるとの確証が出てきました。もともと陸地でしたが、侵食により海になり、現在の屏風ヶ浦の地形になりました。沿岸3km沖でも10m前後と比較的遠浅で海底の地盤も強固です。洋上発電には極めて適していると思います。
系統連係では高圧送電線までやや距離がありますが、シュミレ−ションの結果、8〜10万KW位の規模になると可能性が出てくるといわれています。周知のようにヨ−ロッパで大規模な洋上発電が建設され、技術的な問題はほぼ解決されています。
日本の場合は、日本の海上に適した工法と割高な工事金額を少なくするかが残されている問題だそうです。特に、洋上の発電を前提とした法的整備が無いこと、行政が幾つかの省庁にまたがり調整に手間取ることなど計画に着手するまで若干の時間を要すると思います。
● 地図を広げて見るとわかるように、飯岡から銚子にかけては海と台地があり、この自然の資源をエネルギ−に転換する風力発電は、数年後、「環境の世紀」に向けて、大きく羽ばたく可能性があります。
●ヨーロッパではドイツ、デンマークを中心に洋上発電は陸上から海上へ転換が進みその情報が毎日のように入荷しています。それによると建設、運転開始により技術的な問題はほぼ解決に向かい漁場、環境との調和が今後の課題となっています。
◎ 日本の場合、ここに来て原発の問題などでエネルギー政策に転換の兆しがでてきました。長いスパーンでは自然エネルギーやバイオガスなどで補完する政策になります。仮に飯岡沖で10万規模の洋上発電が着手されれば大きな流れになると思います。
◎ 平成16年3月 海匝漁業組合が飯岡漁港先端に風況観測塔を設置。向こう2年間観測を続ける中で洋上発電の可能性が明らかになってきます。現在のところ、行政レベルで洋上発電の取り組みを政策として想定していない千葉県のため、極めて困難であることはいなめません。法律で動くのが行政であり、新たな法律を作るため、漁業振興・地域振興・これに環境・エネルギ−問題をクロスしながら、地域社会を軸にした取り組みが考えられます。