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(回答先: 「痛みなぜわからん」「漁民を殺す気か」 怒りの原告・支援者(西日本新聞) 投稿者 シジミ 日時 2005 年 5 月 16 日 20:28:09)
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/syasetu.html
長崎県の国営諫早湾干拓事業の工事差し止めを命じた佐賀地裁の仮処分決定を不服とした国の保全抗告申し立てで、福岡高裁は国の主張を認め、工事差し止め決定を取り消した。
福岡高裁は「干拓事業と有明海の漁業環境の悪化との関連性は疑われるが、漁業被害との因果関係が証明されるとは言い難い」と判断した。その上で「工事差し止めを認めるか否かは、事柄の性質上、一般の場合に比べて高い証明をする必要がある」と、漁業者側に立証責任を求めた。
漁業者たちが工事差し止めの仮処分申請に踏み切った背景には、農水省の専門家による第三者委員会が中・長期の開門調査の必要性を提言したのに、これを国が無視して事業を強硬に推し進めようとしたことへの強い不信感がある。
有明海には多様な生物が生息し、豊かな生態系を作り上げ、沿岸地域に自然の恵みをもたらしてきた。だが一九九七年に潮受け堤防が閉め切られてからは、ノリ養殖やアサリ漁などで深刻な被害が生じたという。
諫早湾の異変を解明するため、第三者委が開門調査を提言したのは二〇〇一年十二月だった。しかし同省は、翌年四月に約一カ月の短期調査を行っただけで、新たに官僚OBによる別組織の「中長期開門調査検討会議」を設け、開門調査に否定的な報告書を提出した。
この報告書を受け、国は「開門しても影響の解明は困難」として開門調査の実施を見送り、環境変化の実態などを解明する観測調査などの方針を示した。
今回、福岡高裁の逆転決定が出たからといって、国の工事再開が全面的に容認されたわけではない。
第三者委や漁民たちが再三にわたって訴えてきた中・長期開門調査の必要性について、高裁決定も「九州農政局は、中・長期の開門調査を含めた調査研究を今後も実施すべき責務を負っている」と言及している。
国はあらためて中・長期開門調査を実施することが「責務」であることを認識する必要がある。海の環境と生物との生態系は関係が複雑に絡んでいるだけに、わずか一カ月程度の開門調査で因果関係を解明するのは困難だろう。
有明海の生態を研究している有識者たちは、沖合では季節を問わず赤潮が発生し、湾奥部では夏季に貧酸素現象を起こしていると指摘する。
国は事業主体として漁業被害を最小限に抑える責務がある。国はこれまで「事業と漁業被害の因果関係はない」と主張してきた。であれば、逆に干拓事業と環境異変との間に科学的因果関係がないことを、国が明確に示す必要がある。
大型公共事業を実施する際には、環境への影響がどの程度あるのかを明確に示すのが今日では最低限のルールであろう。そのためにも開門調査は欠かせない。