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2005年05月16日13時51分
http://www.asahi.com/national/update/0516/SEB200505160004.html?ts
ストップしたままの諫早湾干拓工事。上は潮受け堤防=16日午前9時59分、長崎県諫早市で、本社ヘリから
農林水産省が進める諫早湾干拓事業(長崎県)の工事差し止めを命じた佐賀地裁の仮処分決定を不服とした同省の保全抗告申し立てで、福岡高裁(中山弘幸裁判長)は16日、工事差し止めを取り消し、国の抗告を認める決定を出した。農水省が見送った干拓堤防水門の中・長期開門調査については「国は実施すべき責務がある」と指摘した。差し止めを求めてきた有明海沿岸の漁民側は最高裁に抗告しないことを決めた。同省は近く工事の再開手続きに入り、06年度末の完成を目指す。
仮処分手続きと本訴では、訴えを起こした有明海沿岸の漁民が被っている漁業不振と、干拓事業の因果関係が争点になっている。
決定で高裁は、00年度の凶作で社会問題化したノリについては「傾向的に減少しているとは言えず、干拓との関連性は今のところ認められない」、タイラギやアサリといった二枚貝については「干拓と減少との関連は疑われるが、関連の証明は十分でない」とした。
その上で、「干拓工事の差し止めを認めるには事柄の性質上、一般の場合よりも高い疎明が必要」と、証明のハードルを佐賀地裁決定よりも高く設定。「漁獲量の減少と干拓工事の関連性は疑われるが、疎明されるまでには至っていない」とし、被害の立証が不十分との理由で工事差し止めを取り消した。
佐賀地裁の決定では、干拓工事と漁業被害の関連の証明は「一般的に疑われるという程度で十分」とハードルを下げて差し止めを認めたため、福岡高裁の判断が注目されていた。
漁民側は最高裁に特別抗告か許可抗告をする方法がある。憲法判断か重大な判例違反を指摘するという法律論の争いになるため、最高裁で福岡高裁決定を覆すのは困難で、漁民側弁護団は「抗告しない」と決めた。
また、干拓工事と漁業不振の因果関係の認定を求めている国の公害等調整委員会の原因裁定に期待する一方、農水省に干拓堤防の水門開放を求める行政訴訟を起こすことも検討していく。
工事は佐賀地裁が差し止めを命じた昨年8月26日に止まり、すべての契約も解除された。再開は最初の工事契約ができる2〜3週間後と農水省は見ている。高裁が指摘した中・長期開門調査は実施しない方針だ。
公共事業に影響を与えた司法判断としては、首都圏中央連絡自動車道の用地収用に執行停止を命じた03年10月の東京地裁決定や、小田急線の高架化工事の事業認可を取り消した01年10月の同地裁判決があるが、ともに東京高裁で覆された。
〈諫早湾干拓事業〉 農水省が89年に防災と農地造成を主目的に着工。97年に湾奥部が閉め切られて干潟が消滅した後、「無駄な公共事業」として全国的に批判された。00年度に有明海で深刻なノリ不作が起きて再び干拓批判が高まったため、01年に事業規模を縮小した。総事業費は2460億円で、事業の進捗(しんちょく)率は03年度末で94%。干拓地と調整池を仕切る前面堤防のかさ上げ工事と、干拓地の整備工事が残されている。06年度末の完成予定を現在も堅持している。
・・・大抵高裁は国策裁判ですね〜