現在地 HOME > 地域9 > 101.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.nishinippon.co.jp/kyushu_flash/kyushu_flash.html
沖縄本島の西方約四十キロ。彩り豊かなサンゴの群体が広がる慶良間(けらま)諸島の一つ阿嘉(あか)島で、阿嘉島臨海研究所(所長・大森信東京海洋大名誉教授)がサンゴの人工増殖の研究を進めている。十年以上にわたる研究で、サンゴが岩盤に付着するのを促すホルモンを発見。これをきっかけに増殖技術が飛躍的に前進し、白化現象や乱開発で失われつつあるさんご礁の再生にもつながるとして期待されている。
生態に多くの謎を残すサンゴの一生は、五月ごろから満月の夜に起こる一斉産卵から始まる。海中に卵と精子が放出され、受精卵は「プラヌラ」と呼ばれる幼生になる。その後、ついのすみかである浅瀬の海底岩盤に付着して「ポリープ」へと変態するが、そうなるのはごくわずか。多くは魚に食べられたり、岸に打ち上げられ死んでしまうという。
同研究所は増殖の研究を重ねる中で、サンゴの幼生の体内に岩盤への付着を促すホルモンがあるのを発見。昨年六月、ミドリイシサンゴの卵を採取して人工授精後、このホルモンを混ぜた海水を使って実験したところ、幼生はコンクリート板に付着。現在、三―四センチの稚サンゴに育っている。
稚サンゴは、同島の港内に設けたいかだからロープでつるしたかごの中で生育中。かごはブダイなど外敵の魚から守るためで、中にはサンゴの生育を妨げる藻を食べる貝も入れている。こうした手法も増殖の新技術として注目を集める。
同研究所は「今後は、人工増殖させたサンゴをいかに自然の岩盤に移植するかが課題になる。これをクリアすれば、沖縄などの海から失われたさんご礁の復活も夢ではない」と話している。