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今、アメリカで何が起こっているのか。
田中宇の国際ニュース解説(http://tanakanews.com/f0918katrina.htm)から引用。
▼行政権を大統領に渡せ
ブッシュ政権は、カトリーナへの対策が遅れたのはFEMAのブラウン長官が未経験で無能だったからだとして、ブラウンを辞任させて責任をとらせた。(関連記事)
たしかに、ブラウンをはじめとするFEMAの8人の首脳のうち5人は、災害復旧にたずさわった経験がない。彼らは、政治コンサルタントとしてブッシュが大統領になるための選挙戦で貢献したご褒美として高官の職位をもらった人々であり、人事そのものが癒着していたのは確かだ。だが、今回のハリケーン対策の無策や妨害は、未経験や無能さによって説明できる範囲を超えている。(関連記事)
むしろ、被害の拡大を故意に防がず、被災地が「戦場」のような状態になることを演出することで、政府の権限を拡大できる有事を作り出すことが当初からの目的だったのではないか、と感じられる。
8月23日に配信した記事「政治の道具としてのテロ戦争」の中で、次にアメリカのどこかでテロなどの大事件が起き、地方政府が機能不全に陥ったら、その地方の州当局や警察など地方政府に代わって、連邦政府とその傘下の米軍が行政権を行使する、という国防総省の新しい有事計画(CONPLAN2002など)を紹介した。カトリーナの襲来に際して、ブッシュ政権は、まさにこの有事計画を実行に移したとしか思えないような対応をした。(関連記事)
FEMAや国土安全保障省といった連邦政府機関が動かず、民間や近隣州などからの支援も阻止する中で、被災地では地元ルイジアナ州やニューオリンズ市の警察などが救済活動を行おうとしたが、手が回らなかった。死者が増え、被災者に水も食糧も与えられず、事態が悪化する中で、ハリケーン襲来から5日後の9月2日、ブッシュ大統領はルイジアナ州のキャサリン・ブランコ知事に対し、一通のメモを送った。
そのメモは、州政府に代わって連邦政府が被災地の治安維持に当たれるよう、被災地における州政府の行政権限を連邦政府に委譲し、州知事が持つ州兵(国家警備隊)に対する司令権を大統領に委任するよう求めるものだった。「被災地では無政府状態が拡大し、略奪などの犯罪行為が広がっている。治安維持のためには、州知事は自らの権限を大統領に渡すべきだ」という、大統領からの要求だった。(関連記事その1、その2)
州政府が無能だった結果、権限の委譲を求めているなら分かるが、そうではなかった。連邦政府は、被災地の州や市の政府からの救援要請を無視し、外部団体からの救援も止め、数日たって事態が混乱してきたところで、権限をよこせと迫ってきたのだった。ルイジアナ州知事とニューオリンズ市長は、いずれも民主党で、ブッシュ政権の共和党とは対立関係にあった。
ブランコ州知事は、ブッシュ大統領からの権限移譲の要求を断ったが、その代わり、州政府と連邦政府で合同の委員会を作り、州兵をその傘下に置くことに同意した。事実上、州兵は連邦軍(国防総省)の傘下に入ることになった。有事が起きたら連邦政府が地方の行政権を奪取するという国防総省の新有事計画は、テロではなく、ハリケーンを機に発動されたのだった。