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デラシネさん、「雨あがる」を見ました。
面白かったんで2回見ました。なんか私から見ると、寺尾聡も、三船敏郎に似てきたな(「用心棒」など)と思いますが、一方宇野重吉(寺尾聡のおやじ)に似てきたという人も居ますね。
http://atls.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/bbs/funyako/wforum.cgi?no=408&reno=407&oya=388&mode=msgview&page=0
(フニャコさん、バルタン星人さんなどの哲学サイトです)
私は山本周五郎の作品は実は一つも読んでませんけど、映画の面白さだけは堪能できました。
素直に笑え、素直に感動できる、やはり黒澤のすごさが感じられました。
宮崎美子の演技の渋さとうまさは、ま、黒澤の指示があるんだろうけど、中年の武士の妻役を終始うつむき加減で、しおらしさを表現しているけれど、一つの瞬間だけ顔をあげて真顔で伊平の賭け勝負を弁護し藩の家老ほか一名を「でくの坊」と罵る(あてつけ的な言い方ですが)場面のすごさは、それまでのしおらしさから一変した凄みを感じました。理由をしっかりと述べてキッパリと殿からの寸志を受け取る潔さ。この瞬間宮崎美子は光ってますね。
一方、伊平はどこまでもお人よし。あのタレ目になってヘラヘラしたなんともいえない馬鹿正直さと他人(特に貧乏人)への気遣いは何かの漫画で見たことありますが(もう忘れた)白痴ともとれそうな、こちらがこっぱずかしくなりそうな見事な演技は、見ていて実は自分を二重写ししてしまいました。私も馬鹿丸出しで会社からクビにされ、いまだに近所づきあいも馬鹿丸出し、感じるものが多かったです。私の場合貧乏人・弱者を小ばかにするやつは叩きのめすしかない、そういいながら実は叩きのめされている、でもかあちゃんはそれでも私に辛くあたりません、感謝。それでも私のお人よしをあきらめてしまっているようで、私を飼ってくれている、宮崎美子かと思わんばかり、尊敬すますた。ま、本当はあたしの場合悲劇なんでしょうけどね。
ところで既存の小説は、学生時代に読んだものは少ないのですが、いまになって読み漁っています。ネット小説も暇があれば目を通しています。「ミズスマシ剣法」とは九谷六口さんのネット小説で読んだのですが、相手の切り込みに対してスイッツスイッツと交わす伊平の身のこなしは、九谷氏の小説を彷彿とさせます。
九谷六口作品集
http://www.ne.jp/asahi/goeche/kutani/
この中で
隆佐衛門詞譚のシリーズがあります。「花簪」という巻がりますが、AdobeのPDFファイルで見てもらえばよいと思います。「絹」という女性は相手の心の動きを先読みできて剣を進める方向がわかってしまう。畢竟剣が振り下ろされればミズスマシのごとくスイッスイッと身体を逸らす。雨あがるの殿様の差料の検分も、刀の目利きが隆佐衛門の妻登世の目利きとも通じる面もあり面白いです。
九谷六口氏のシリーズは江戸時代、家光のころを舞台としていますが、結構痛快にしてかつ庶民的。酒を飲みながら読むとジワリときてました。
とりあえず、「雨あがる」の感想ですた。達者でな。