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■ 序章 --- 補助線は『選択理論』
現代はたいへん科学技術は発達しています。しかし、人類の精神面は昔より多少良くなった程度でしょう。物質的には恵まれていても不幸な人はたくさんいます。
たとえば放送されているテレビドラマを見てみてください。登場人物どうしの会話のやり取りは基本的に程度が悪く、コミュニケーションの「いろはのい」すらわきまえていないのではないか、というシーンが多過ぎると思います。実際の社会生活はもう少しましかもしれませんが、まあ似たようなものでしょう。
著名な『選択理論』ですら、20世紀後半にようやく出現したというのが実情なのです。いきなりで恐縮ですが、さわりだけご紹介します・・・
『選択理論』心理学の大家ウイリアム・グラッサー博士(William Glasser, 1925〜 )によると、
1. ひとが不幸な理由の大半は、満足できる人間関係を持っていないからである。
2. ひとが満足できる人間関係を持っていないのは、どちらかあるいは両方が、関係を改善しようとして、外的コントロール心理学を用いているからである。
3. そのような関係からは苦痛がもたらされるので、どちらかあるいは両方が、相手が用いている外的コントロールから逃れようとしている。
外的コントロール心理学の表れ方は、致命的な7つの習慣となる。
1. 批判する、2.責める、3.文句を言う、4.ガミガミ言う、5.脅す、6.罰する、7.ほうびで釣る。
この習慣が実践されるところでは、基本的欲求が充足されず、問題が発生する。
何ひとつ間違ったことは言ってないですね?
この程度のことは自明であるはずなのですが、どっこいそうはいかず、人類の大半はまだこの考え方 --- 外的コントロールこそ諸悪の根源 --- に目覚めていないのです。
ほとんどの人が批判する、責める、文句を言う、ガミガミ言う、脅す、罰する、ほうびで釣る、といった外的コントロールで相手を変えられる、いや変えなければならない、と信じ込んでいます。その結果、お互い不愉快極まりない思いをして、ストレスを抱え、悲劇を生んでいるのです。
一時的に強制できたとしても、人は外的コントロールでは変えられないというのが真相です。しかし驚くなかれ、この単純な事実がほとんど理解されていないのです。人類は精神的にまだまだ発展途上、というしかありません。
ちなみに外的コントロールの観点から巷間のテレビドラマをじっくり観察してみてください。批判する、責める、文句を言う、ガミガミ言う、脅す、罰する、ほうびで釣る、といった外的コントロールがいかに多く使われているか、唖然とすることでしょう。新聞の社会面の三面記事も同様です。そして悲劇の源泉こそ外的コントロールである、と納得できるはずです。
あなたの職場を観察してみましょう。ストレスを感じる職場は例外なく外的コントロールが横行しているものです。もしあなたの職場がそうであれば、仕事のことを考えるだけで気が重いことでしょう。あなたの家庭はどうですか?外的コントロールが用いられているなら、家庭は円満さに欠け、家族は時として不愉快な思いをしているのではありませんか。
個人的にも外的コントロールの環境下で生活せざるを得なかった一時期があります。全くいい思い出が残っていません。軋轢のあれこれを思い出すだけで憂鬱になります。楽しかったのはもちろん外的コントロールと無縁であった日々です。
夫婦の会話とか子育てといったものも、外的コントロールさえ使わなければ、大きな失敗はないと思っています。あとはきちんと挨拶するとかいった習慣を身につければよいだけですから。ちなみに個人的には外的コントロールゼロが信条です。お陰さまで家庭で軋轢はほとんど経験していません。快適そのものです。
以下略