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http://www.asahi.com/international/update/1017/002.html
ニューヨーク・タイムズ紙は16日、大陪審に対し情報源を開示することを拒否して85日間、収監された同紙のジュディス・ミラー記者(57)の手記と、釈放後の大陪審での証言内容、さらにこの事件で同紙の果たした役割についての検証記事を掲載した。ミラー記者は手記で、ウィルソン元駐ガボン大使の妻が中央情報局(CIA)で働いていることを明言したのはリビー副大統領首席補佐官だったが、妻が秘密工作員であることには直接触れなかったと述べた。検証記事は、同紙がこの問題をミラー記者に任せきりにしたことが問題を複雑にしたと批判した。
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ミラー記者が大陪審で証言を求められたのは、米政府高官がCIAの情報員だったバレリー・プレイムさんの身元を明らかにしたという疑惑に関連してだった。記者は、この問題に関し、リビー補佐官に3度にわたって取材していた。
ミラー記者の手記によると、リビー補佐官がプレイムさんを名指ししてCIAの秘密情報員だと告げたことを示す記述は取材メモにはない。だが、プレイムさんがCIAで大量破壊兵器関連の仕事をしていたことは、プレイムさんの身元が保守系コラムニストのロバート・ノバク氏のコラムで明らかにされる03年7月中旬以前に、リビー補佐官から告げられていた。
また、補佐官へのインタビューメモの中に「バレリー・フレイム」という記述が見られる。ミラー記者は大陪審でこの記述について聞かれたが、だれから聞いたのか、なぜ名前のつづりが間違っているのかはわからないと答えたという。
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検証記事によると、収監中のミラー記者に9月15日付でリビー補佐官から証言するよう説得する手紙が届いたことが、同記者が証言拒否から転じるきっかけになった。リビー補佐官は1年前から自分との会話について記者の証言を認める姿勢を示しており、手紙でもその姿勢を強調した。
ミラー記者は補佐官と直接言葉を交わすことを求め、同19日に双方の弁護士が刑務所に同席する中で電話で会話した。この中で記者は補佐官に「本当に私に証言してほしいのか」とただし、補佐官から「確かに思っている。信じてほしい」との言葉を引き出した。
一連の流れの中で、同紙の記者らはミラー記者の情報源がだれだったのか、取材内容はどうだったのかを取材していた。しかし、ビル・ケラー編集主幹らは情報源を明らかにしなかった。他紙がミラー記者の情報源がリビー補佐官だと報じても記事を書くことができず、報道局に緊張が高まったとしている。
検証記事はまた、ケラー編集主幹らがミラー記者を支持するとしながら、この件について深く関与することを避けて弁護士に任せていたことを明らかにした。
一方で、同紙は社説でこの問題について15回取り上げ、記者の収監後にも「もしミラー記者が情報源について証言すれば、萎縮(いしゅく)した政府職員から将来、高官らの悪行について取材することは計り知れないほど難しくなる」と書いた。同紙の記者らは、結局ミラー記者が情報源を明らかにしたことについて、社説を監修するアーサー・サルツバーガー・ジュニア社主に「社説について後悔していないか」と尋ねた。社主は「ジュディーはこの件で支援される必要があり、論説のページがそれにふさわしい場所だった」として否定した。