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「噂真」の裏側を書いたフリーライターの神林広恵さんと、著書「噂の女」(左写真)
政治家や芸能人などのスキャンダルをスッパ抜き、昨年3月に休刊した月刊誌「噂の真相」。同誌の元編集者、神林広恵さん(39)がこのほど、「噂真(うわしん)」の暴露本、「噂の女」(幻冬舎、税別1500円)を出版した。常に“スクープ”を求められる厳しい環境のなか、体重増にさいなまれながらネタ元と飲酒の日々。その過酷過ぎた“真相”とは−。
「毎月の企画会議のプレッシャーが尋常ではない。常に企画やスクープのネタを出さねばならず、夢に見るほど。取材と執筆は楽しいけど、もうコリゴリ」
神林さんは「噂真」の16年間を、こう振り返った。東京都新宿区の編集部に出社するのは毎日、午後1時過ぎ。それまでは家で寝ている。「締め切り前は例外だが、毎日6時間は眠れる。肉体的にはキツくなかった」。取材は日が落ちてから始まる。
キワドイ記事のネタ元は主に新聞や週刊誌の記者、評論家や作家などのマスコミ関係者だ。反権威、反権力を掲げ、「岡留スキャンダリズム」という造語まで生まれた名物編集長、岡留安則氏(57)は常々、「毎晩マスコミ関係者と酒を飲んで仲良くなれ」と説き、自らも新宿・ゴールデン街などで実践していた。
神林さんは酒好きだったこともあり、教えどおりネタ元を増やした。「当時、女性スキャンダル系記者は少なく、周りは男性ばかり。20代のころはモテた」(本人談)。だが、「俺もそうだが、ヤレそうでヤレないヤツに一番ネタをくれる。ネタ元とは寝るな」という編集長の厳命を守り、交際相手は専らマスコミとは無関係の男性ばかりだった。
読者や取材相手からの風当たりが強いのはスキャンダル誌の宿命で、毎月十数件のクレームが寄せられた。平成7年6月には、ついに司直の手が及んだ。人気作家の離婚歴などに関する記事をめぐり、東京地検特捜部に雑誌界初の名誉棄損罪で起訴されたのだ。
著書では、「録音してないだろうな」「生意気なことをいうな」などという検察側の高圧的な取り調べを暴露。肉体的にも精神的にも疲れ果て、「自白できるものなら自白したい」と思うまで追い詰められたという。
公判が進む間、思うように仕事が進まないストレスから円形脱毛症にもなった。一方で、岡留氏が編集部と通話したままの携帯電話をポケットにしのばせて取り調べを受け、神林さんが実況中継を受けるなど、記者魂は衰えなかった。
「スキャンダル記者根性が染み付いている」というが、今後、「噂真」の復活はあるのか。岡留氏はHPで「復活の確率は1割」と声明を出しているが、「たぶんやらないと思う。編集長になるのも絶対いや」とクビを振った。
だが、「やっぱ好きなんで、年に1本くらい大きなスキャンダルを打ち上げたいですね」と、執行猶予の身ながら、密かな“ヤル気”をみなぎらせていた。
■かんばやし・ひろえ 昭和41年、群馬生まれ。明治大短期大学経済学科を卒業後、損害保険会社、広告制作会社のコピーライターを経て、63年、「噂の真相」に入社。スキャンダル雑誌の編集者として数々のスクープを飛ばす。平成7年、有名弁護士の“スキャンダル”をめぐる記事で、東京地検特捜部が名誉棄損罪で起訴。今春、懲役5カ月(執行猶予2年)の最高裁判決が確定。現在はフリーライター。
ZAKZAK 2005/10/04
http://www.zakzak.co.jp/top/2005_10/t2005100425.html