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★ニューヨーク・タイムズの記者による岡目八目の好例である。知らぬは、日本国民ばかりなり、というわけだ。ごく普通の(他者の)目で見れば、「日本国民が今回の選挙でも自民党を選ぼうとするのは民主主義の基盤が弱いから」であり、自民党の長期政権保持は「中国や北朝鮮の共産主義政権の支配」と変わらぬものであり、「韓国や台湾の方が市民社会や自由なマスコミが健在で民主主義がより進んでいる」ように(ニューヨーク・タイムズの記者に)見えるということだ。小生もおおむね似たような見解である。緊急の問題とすべきは、小泉の天才的策謀論でもなく、偏った選挙制度でもなく、国民の民度と、マスコミのファシズム指向的偏向報道にある。とくにマスコミの偏向報道は決して軽視して良い問題ではない。
2005.9.24
2005年森田実政治日誌[359]
日本の政治に関する米紙NYタイムズ報道に抗議した日本外務省のナンセンス
http://www.pluto.dti.ne.jp/〜mor97512/C02183.HTML
「おそらく、人間の真に人間らしい尊厳は、自己を軽蔑する能力である」(サンタヤナ=米国の哲学者、1863-1952)
「自己を軽蔑する能力」とは「自己を客観的に見て反省する能力」と解釈してよい。
日本の現状を、われわれは可能な限り客観的に観察し、反省し、日本に軽蔑すべきところがあれば、それを軽蔑する能力を身につけねばならないと思う。
自己を客観的に観察しようとするときに役立つのが海外からの日本に対する忠告である。ニューヨーク・タイムズ9月7日付の東京発「なぜ日本は一党に統治されることに満足なのか」の記事(日本では政権交代は不可能。日本は民主主義国ではない。日本には自由なマスコミは存在しないなどの諸点を指摘)と9月13日付の社説における小泉首相批判(小泉首相の軍事ナショナリズムを指摘)は一読に値する鋭い評論である。
しかるに外務省は、この二つの記事について、ニューヨーク・タイムズ紙に抗議したというのである。日本の全マスコミのゴマスリに慣れてしまったためか、この程度の批判にも神経をとがらすようになってしまったのかもしれない。これでは、金正日総書記への米国民などの批判に抗議した北朝鮮と同じではないか。
この問題を産経新聞9月23日号(2面)で取り上げている。見出しは「米紙NYタイムズ報道 自民党『支配』中朝と同一視 外務省、不公正と“抗議”」。 以下、産経の記事を引用する。
《【ワシントン=古森義久】米紙ニューヨーク・タイムズの日本の政治や選挙に関する報道は不公正だとして、外務省が二十一日までに同紙に投書の形で抗議の意向を伝えた。投書はニューヨークの日本総領事館経由で送られた。
外務省側が問題にしたのはニューヨーク・タイムズ九月七日付の東京発の「なぜ日本は一党に統治されることに満足なのか」という見出しの報道記事と小泉純一郎首相を批判した同十三日付の社説。投書は「貴紙の日本に関する報道への懸念を深めている」として、まず「七日の記事は自民党の統治の役割を不公正にも中国や北朝鮮の一党支配にたとえている」と述べている。
同記事は日本国民が今回の選挙でも自民党を選ぼうとするのは民主主義の基盤が弱いからだという趣旨で、自民党の長期政権保持を中国や北朝鮮の共産主義政権の支配にたとえ、韓国や台湾の方が市民社会や自由なマスコミが健在で民主主義がより進んでいる、と述べている。
文中には「日本の民主主義は幻想、その基盤は希薄」「五十年の一党支配が民主主義の成長を止めた」「マスコミはみな自民党路線」というような記述が続出する。記事は民意の反映の結果としての自民党の政権担当という民主主義の基本を無視しているわけだ。
外務省の投書は今回の総選挙が有権者の改革継続への支持の劇的な結果だとして、「すべて日本の民主主義の社会と制度の枠組み内での問題解決への道」だと評し、北朝鮮などはそうではないと強調している。
十三日付社説は、総選挙が郵政民営化だけを争点としたとして、その結果、「小泉首相の軍事的ナショナリズムという日本の伝統の愚かな受け入れを容認することとなった」と述べ、さらに「軍国主義者が祭られる神社への小泉首相の参拝と、より力強い軍事政策への同首相の支持はアジアの世論を警戒させた」と論評している。つまり、小泉首相は軍国主義を推進していると非難するに等しいわけだ。
この点、外務省の投書は、アジアでの日本の役割は日本の内外での論議の的となっているとしたうえで「日本は平和憲法や国際協力、そして隣国との相互に有益な関係の保持を続ける構えだ」と述べるとともに、「小泉首相は日本に過去六十年、平和と繁栄をもたらした基本原則から逸脱はしていない」と説明している。
小泉首相を軍国主義者とみなすニューヨーク・タイムズの対日姿勢は中国の公式主張にきわめて近く、日本外務省としても放置はできないと判断したのだろう。》
ニューヨーク・タイムズ紙の、「小泉首相が軍国主義の推進者である」との指摘は当たっている。日本が政権交代できない国であるとの指摘は、そのとおりである。「日本のマスコミがみな自民党路線」も正しい。小泉首相が軍国主義者であるとの指摘も間違っていない。小泉首相は、ブッシュ大統領のアジア分断・反中国政策に乗って、中国との対立激化の方向を進めている。
日本は民主主義の基盤が弱い国だとの指摘も、残念だが当たっている。ニューヨーク・タイムズ紙の記事は、外国ジャーナリストから日本国民への温かい忠告とみるべきである。
われわれ日本国民自身が「自らを軽蔑する能力」を身につける必要があると思う。
日本国民は、いまこそ日本の真実を見つめるべきである。日本のマスコミの正体に気づかなくてはならない。