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日経9月3日朝刊企業総合面での囲み記事として「『iPod』首位返り咲き」が掲載された。
小見出しとして「携帯プレーヤー国内販売 ネット音楽配信開始が追い風に」とある。
この手の話題にそれほど関心がない人が、ちらりと見ただけだと「最近iPodという名前をよく見るし、売れているという話だったけれど、つい最近までソニーの方が売れていたのか」と思うような記事である。
しかし、これが日経にありがちな飛ばし記事、広告おねだり記事なのだ。
「携帯プレーヤー」には現状2タイプあり、一つは大容量のハードディスク搭載型、もう一つは半導体メモリー搭載型で、こちらはハードディスク型の数〜10分の1の容量となる。
iPodは数年前にハードディスク搭載型からスタートし、今年から半導体メモリー搭載型(iPod shuffle)の販売を開始した。
主力はハードディスク搭載型のiPodであり、iPod shuffleは半導体メモリー搭載型分野進出の第一歩となる商品、という位置づけだ。
当然、ハードディスク搭載型の分野ではiPodは圧倒的なシェアを保っており、iPodが首位に返り咲いたのは半導体メモリー搭載型分野である。
もちろん記事の冒頭に「半導体メモリー搭載型デジタル携帯音楽プレーヤーのメーカー別国内販売の週次数量シェア」と記しており、つっこまれても言い訳が立つようになっている。
しかし、見出しでは「iPod」「携帯プレーヤー」の文字はあるが、「半導体メモリー搭載型」はない。
それでは見出しが長くなるという良いわけもありそうだが、一緒につけられた写真にはハードディスク搭載型のiPodしか映っていない(半導体メモリー搭載型のiPod shuffleは影も形もない)のはどういうわけか。
そして、そもそもこのシェアデータなるものの出所は「BCN総研」なる怪しげな日経関連の会社で、ここでのシェア調査は、いろいろと物議を醸し出しているところだ。
iPod対ソニーのシェア争い騒動のきっかけとなったのも、この「BCN総研」の調査報告からである。
興味のある方はぜひ同サイトを訪れてほしいが、ソニーがiPod shuffle対抗商品を発売した直後のシェア調査が大きな波紋を呼び(講義のトラックバックが山ほど来た)、同サイトの編集長なる人物が異例の弁明書を掲載する事態となった。
BCN総研によるiPod関連のシェア調査の最大の問題は、調査対象にヨドバシ、Amazon.com、アップル社の通販サイト、ソニーの通販サイトの売上がカウントされていないことだ。
実際、iPodおよびiPod shuffleの売上のかなりの部分をAmazon.comかアップル社のサイトが占めているのである。
最初の騒動のときも、ソニーの広告ほしさによるデータのねつ造まがいの提灯調査と、ネットのiPod&アップルユーザーからずいぶん誹られたものだ。
そうしたかなり問題のあるデータをそのまま掲載するのもどうかと思うのだが、日経もやはりスポンサーがなければやっていけないメディアであることを再認識した次第だ。
小さな、しかもマニアックな分野の囲み記事だが、一事が万事ということもあり、日常的にこのような情報操作まがいの(突っ込まれれば申し開きができるようにできている情報操作記事の掲載)ことが行われている一つの事例として紹介した。