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35都道府県が医師確保策 一方で「悲鳴」も 本社調査
2005年11月04日06時13分
医師が偏在し、特定の診療科や地方で医師不足が深刻化している問題で、35の都道府県が「奨学金制度」などの独自策を導入、医師確保を急いでいることが朝日新聞の調査でわかった。一方で40都道府県が「不足感がある診療科の診療報酬での優遇」など、偏在解消に向けた国の政策誘導を求めた。各地で「自治体の努力には限界がある」との声が根強い。
調査は10月、都道府県の医師確保策の担当課に質問票を郵送し、全都道府県から回答を得た。
医師確保が困難な中、青森など16県が医学生を対象に地元で一定期間働くことを義務づけた「奨学金制度」を、山形など12道県が全国から医師を公募、一定期間採用する「職員枠での医師確保」策を導入・検討していた。
宮城県は今年度、3年間の期間限定で医師を職員採用し、郡部の自治体病院や診療所に派遣する事業に乗り出した。
青森県は弘前大や市町村立の病院関係者らと協力し、9月に「医師支援機構」を設立した。自治医大出身者やUターン希望の医師らを登録し、機構が派遣元になる仕組みで、将来は100人規模の医師確保を目指す。県職員として長く採用したいが、地方自治法上、派遣元の県が退職金を全額負担しなくてはならない。財政難の県は市町村との折半ができるよう特区申請する方針だ。
国が医師配置の再検討などのために設立を求めた「医療対策協議会」は45都道府県ですでに設置。19道府県が「医師派遣システムの構築」を課題とし、大学病院の医局が担ってきた派遣機能の補完を目指している。
◇ ◇
一方で、各地からは悲鳴も聞こえる。
アンケートでは、データがないなどとして回答を保留した5県を除く42都道府県が「医師確保が難しい」と回答。絶対数か診療科による偏りかの違いはあるが、医師不足が全国で問題化していることが裏付けられた。確保が難しい診療科では小児科(42都道府県)、産科(37同)、麻酔科(30同)が多くあげられた。
医師の確保が難しい病院について41都道府県が「県庁所在地以外の自治体病院」をあげ、東京都を含む9都県が自由回答欄で「都道府県単位での医師確保には限界がある」と明記。40都道府県が「診療報酬上の優遇」、26府県が「医師不足地域での一定期間の勤務義務づけ」などの政策誘導を求めた。
人口10万人当たりの医療施設で働いている医師数が121.8人(02年末現在)と全国で最少の埼玉県の担当者は、不足する診療科の診療報酬の引き上げを求め、「総医療費抑制の必要性はわかるが、診療科全体でバランスを取るなどして対応して欲しい」とした。
青森県の担当者は医師配置のあり方にふれ「自治法の改正とともに、どうしても不足する診療科には医師を強制的にでも配置できるシステムが必要だ」とした。群馬県の担当者も「医師養成に多額の公費が投入されていることを考えれば、職業選択の自由という憲法上の問題は残るが、一定地域への勤務や必要な診療科目への誘導を行うべき段階だ」と指摘した。
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調査結果について厚生労働省医政局医事課の中垣英明課長は「診療報酬上の配慮は保険局にお願いしている。勤務地の義務づけなどは選抜や配置を公平に行うのが難しい。都道府県の中でも県庁所在地とそれ以外の地域での偏在がある。県立病院の医師配置の見直しなど、地方でできる努力もしてほしい」と話した。
厚労、文部科学、総務3省は8月、医師が不足する診療科の対策として「診療報酬での適切な評価」などを検討課題にあげており、地方の声がどこまで反映されるか、来年4月の診療報酬改定が注目される。
■都道府県の独自策
奨学金制度 (16県)
職員採用枠での医師確保 (12道県)
若い医師の研修体制の整備 (12道県)
医師のあっせん (11道県)
地元出身の医師へのダイレクトメール送付 (10県)
他の都道府県にある大学医学部への医師派遣依頼(7道県)
自治体立病院の統合・再編 (4道県)
U・Iターン説明会 (4県)
その他 (22都府県)
■国に期待する施策
不足感のある診療科の診療報酬での優遇 (40都道府県)
医師不足地域での一定期間の勤務義務づけ (26府県)
国立大学の地元出身者枠の拡大 (24県)
医師不足地域の医療機関への診療報酬での優遇 (23道府県)
医学部募集枠自体の拡大 (21道県)
地方交付税などによる財政支援 (15道県)
その他 (17都道府県)
※いずれも複数回答
http://www.asahi.com/life/update/1104/001.html
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