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600万円の会員権を買うと、東大病院(東京都文京区)でがん検診を受けられるサービスに、6月の募集開始からこれまでに100件余の申し込みがあった。
同病院が民間企業と提携し、最先端の診断装置による検診を11か月に1回、提供する試み。国立大の法人化を契機に民間企業とのタイアップは進んでいるが、公共性の高い国立大病院での事業としては異例の〈高額商品〉の登場だ。専門家からは「しっかりした理念と情報公開が必要」といった注文の声もある。検診は来秋、スタートする。
この「会員制がん検診サービス」で、東大病院は、会員制リゾートクラブなどを展開するリゾートトラスト(本社・名古屋市)の100%子会社と提携。同社が会員権を販売し、東大病院の医師らが検診を担当する。来年10月、同病院内に完成する「22世紀医療センター」の中に会員専用の検診スペースが設けられる。
検査項目は、がんのほか心臓や脳神経など。小さながんも発見できるとされる「PET(陽電子放射断層撮影)/CT(コンピューター断層撮影法)」など最新機器類を同社が東大病院に設置し、一部は寄付される。
医療保険は適用されない自由診療で、費用は15年間(検診16回分)の会員権が600万円、さらに25万円の年会費がかかる。現時点で法人・個人合わせて100件余の申し込みがあり、同社はスタートまでに3500人の会員確保を目指す。
国内で年間約30万人ががんで死亡する中、多くの医療機関ががん検診事業を展開している。費用については、PET/CTを使う検診でも、国立がんセンターのがん予防・検診研究センターで1回20万円前後。これに比べて、東大病院(1回分約61万円)の高値感が目立つが、同社は「機器の精度だけでなく、検診当日に東大の医師が結果を説明するなど、きめ細かいサービスが特徴」と強調。
東大病院の大友邦・放射線科教授は「一部の裕福な人に特定のサービスを提供することへの批判は覚悟している」としながらも、「得られたデータはがん予防研究に役立てるし、提携会社からは一般患者用の機器の寄付もある。この事業によって困る人はおらず、目指す医療や研究の実現のためには、自分たちで経済基盤を確立することも必要だ」と説明する。
(2005年10月19日14時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051019it07.htm
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