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健診義務化___私が考える利点と欠点(nanayaのひとりごと)
http://www.asyura2.com/0505/health10/msg/590.html
投稿者 吐息でネット右翼 日時 2005 年 10 月 15 日 16:52:29: fq6z4wyhxyxZg
 

※ 筆者は看護士。優秀な頭脳の持ち主のようだが経済的理由、家庭の事情で大学進学を断念している。 ※ 

http://ch.kitaguni.tv/u/5238/%b0%e5%ce%c5/0000278563.html

目前に迫る痛みを伴う医療制度改革。医療費負担増やむなしという見方が強い一方で、病気につながる生活習慣病の予防と早期発見に重点を置いた健診制度の義務化が俎上してきた。

40歳以上は全員健診 健保・自治体に義務化へ【朝日新聞】

http://www.asahi.com/health/news/TKY200510090184.html

生活習慣病対策として、厚生労働省は40歳以上の全国民が健康診断を受けられる態勢づくりに乗り出す。企業の健康保険組合など公的医療保険に対し、健診と保健指導の実施を義務づける方針。サラリーマンの妻ら専業主婦や自営業者など、現在受診率が低い人たちも受けやすい仕組みにすることで、生活習慣病の「予備軍」を見つけて、将来の医療費の伸びを抑える狙いだ。

★私が住む自治体では、住民基本健診として検尿や簡単な項目の血液検査を無料でできるようにしている。それに加えた形で、「胃透視」「大腸がん検診(便鮮血検査)」「PSA(前立腺がん腫瘍マーカー)」「乳癌検診」「子宮癌検診」などに助成があり、少ない自己負担で検診までできるようになっている。
問題ありと思うのは、定期的に診療を受けていて、詳しい検査もしている人が、健診の無料券があるからとそれを使って検査を希望してくる事だ。注意書きには病院で診療を受けている人は使えないとあるのだが、利用しても自治体で患者の診療状況の把握など出来ないから、税による健診費用が保険での医療費とダブって、無駄になっている。医療機関は自分の収入になるからそんな事を問題にはしない。

学生時代『成人保健学』という授業で「治療医学より予防医学の方がコストが低くてすむ。健康診断が必要な理由がそこにある」と習ったが、実は専門家でもその評価は二分される。

こんな意見も

たばこの部屋___EBMにもとづくがん予防

http://www.yuki-enishi.com/cigarette/cigarette-04.html

◇わが国のがん対策の評価
 
最近、米国からは、1990年代に入って、がん罹患率・がん死亡率(1970年の米国人口を標準として年齢調整)が減少し始めたという報告が相次いでなされました。これに対して、わが国のがん罹患率・死亡率の推移はどのようになっているでしょうか。図1に男女合計、男、女のがん死亡率とがん罹患率(1985年の日本人人口を標準として年齢調整)の推移を示しました。男女合計でみると、がん罹患率は増加しており、がん死亡率はほぼ不変です。全体として、米国のように、がん罹患率・死亡率が減少しているとは言えず、がん対策は成果をあげているとはいえません。

◇がん検診の有効性評価と対策の変更を――「がん予防の決め手は早期発見」という幻想

1.日本における胃がん検診は胃がん死亡率の減少に貢献していると思われるが、その貢献度は罹患率の減少に比べると小さい。
2.胃X線2重造影法によるスクリーニングは、高度な器械を必要とするし、特異度が低い。したがって、発展途上国での適用には制約がある。
3.現時点では、日本以外の国では、胃がん検診を公衆衛生の施策としては勧めない。
(UICCがん検診に関する国際ワークショップ、イェーテボリ、1987年、Chamberlain et al., 1988)

私の学生時代、東大物療内科の高橋晄正先生が、「使った、治った、効いた」というのを「3た論法」というと皮肉をおっしゃっていたのを思い出しますが、この「3た論法」が政策決定のレベルでは依然として通用していたといえます。

◇over diagnosis /over treatmentの害の軽視

検診で発見されるがんは早期のものが多く、検診発見がん患者の生存率は、症状を訴えて受診した外来診断患者よりも高くなります。しかし、それはがん検診ががん死亡減少の効果をもつことの証拠とはなりません。Lead-time bias, length bias, selection biasなどの多くの偏りのために、検診発見がん患者の生存率は見かけ上高くなるからです。しかも、lead-time biasの極端な形のover diagnosis biasが、想像だけでなく実際に存在することがはっきりしてきました。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥以上、一部抜粋

★Lead-time bias, length biasについての考え方に次のようなものがあるので参考に。

  memo
ある癌が径5cmになると有症状となり、その時点からの生命予後が3年しかないとしよう。その腫瘍の発見経過から、2年前には径1cmしかなく、各種検査を用いれば発見可能であり、そこで治療した結果5年生存が得られたとする。
早期発見・早期治療の結果、2年も予後を改善できたように思えるが、実際には発見が2年早まっただけで、死亡の時点は全く変わらない。これを lead time bias といい、0点が移動しただけなので  zero
time shift ともいう。検査や治療により、患者のQOL を損ない、医療資源の無駄遣いをしたにすぎない。
同じ癌でも自然予後の良いものから急速に進行するものまでいろいろある。経過が長ければ長いほど、無症状期にスクリーニングにより見つかる確率が高い。したがって、スクリーニングにより発見された癌は元々予後の良い癌が多い。この length-time bias の存在を知らないと、早期発見・早期治療による治療効果と誤解することになる。
  『これからの肝疾患診療マニュアル』より 上野文昭

※バイアス(偏り;BIAS)にはどんなものがあるか

http://www.metro-hs.ac.jp/~nekoda/project/kihon/baiasu.html

★厚労省の生活習慣病対策は健診受診強化と同時に保健指導を併せた所に力点を置いている。
医療機関は健診(検診)業務へのシフトという形で医療費抑制で落ち込む経営を立て直そうとするだろう。新たにかかる健診コストはどこから出るのだ。雇用者・自治体・個人なのだろうが、医療費負担増の後では、健診で精密検査や治療が必要とされた人々にとって、安心して(経済的負担の心配なく)医療を受けるという流れにはならないだろう。
経営不安のある医療機関の救済策で終わりかねない。

現在でも、会社や事業者・学校関係者などへの職場健診は義務づけられているが、学校の身体測定並みの簡単なものから、精密な血液検査や眼底カメラなども実施している企業など、バックの大きさで健康管理にも差が出ている。名目上は義務である。だが仕事の忙しさを理由に年1回の健診を受けない人もいる。健診で要精査と指摘された人のなかに、病院に行かない人もいる。うちでは保健指導もしているが、健診のやりっぱなしで終わる人をたくさん見てきた。保健指導の義務化も(保健指導は手間がかかり、フォローが必要なので)効果が上がるか、私は疑問を持って見ている。

以前から引き受けているある会社の健診で、「便鮮血検査2日法」で陽性反応が出ている男性がいた。最初は、1日だけ陽性反応が出ていて、精密検査(大腸内視鏡)を勧めていたが彼はそのままにし、次の年は2日とも陽性反応が出たにもかかわらず彼は医療機関を受診しなかった。
そして、3年前の健診でのこと、腹部エコー(彼の会社は40歳以上に腹部エコーも受けさせていた)で検査していた院長が顔色を変えた。
超音波診断装置に描き出されていたのは「転移性肝癌」の画像だった。毎年、(健診だけとはいえ)診てきた患者で、これまでの健診で見落としたかと思ったらしい。強制的に精密検査の日程を組んで大腸のカメラをしてみると、S状結腸に進行がんが見つかった。本人は自覚症状はないといたって元気な様子だったけれど、検査の結果を聞いた妻はショックに泣き崩れてしまった。
早期に異常な項目が出ていたのに、病気を治すチャンスを逃してしまった残念なケースである。

私は健診(検診)を否定してはいないし、かといって効果を絶賛しているわけでもない。
健診での小さな異常に神経質になって病院を渡り歩く人がいるのも事実であって、それは健診の逆の効果だと思っている。

一般の人の病識の理解度を高めなければ、健診の効果も半減する。
病識を上げることが無駄な医療を省く事にもなろう。患者の方から要求する薬や注射、点滴に、(病院側が)病名をつけて患者のニーズに応えている場合だってある。厳しい医療状況の中では、多くの病・医院がどうやって経営効果を上げるか、患者を呼び集められるかに苦心しており、医療費抑制とは逆行する対策をとっている事も現場の姿だ。
患者自身が病識を高めることは、病気に向き合う主体は自分自身であるという自覚を持つことであり、そういう態度は有能な医者を育て、市場主義に陥りやすい医療を、質への医療へと導く術でもあろうと私は考えている。
社会全体の医療資源は大事にしないと、本当に必要な人に必要な医療が行き渡らなくなる恐れが出てくる。国民皆保険制度を維持していくためにも利用者側の意識改革は不可欠だと思っている。

効果が上がってすぐにできること。大島明氏が指摘するように、たばこの有害性を強くアピールし、禁煙教育を徹底する。がん検診より先にすべきことでもあろう。

投稿者:nanaya at 15:07

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