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大気中のアスベスト濃度、環境省が測定再開へ
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050907it03.htm
アスベスト(石綿)被害が労災を超えて公害問題としての様相をみせるなか、工場や建物の解体現場などの発生源対策として、現在は設けられていない大気中の環境基準などが必要、との専門家の指摘が相次いでいる。
環境省はこの秋、10年前に打ちきっていた発生源周辺を含めた大気中のアスベスト濃度の測定を再開する。
アスベストについて、一般大気中の環境基準は設けられていない。1989年の大気汚染防止法改正で、アスベストが「特定粉じん」に指定され、これを出す工場の「敷地境界基準」が、「大気1リットル中10本以下」と定められ、工場にその順守と測定が義務づけられた。
この数値は、世界保健機関(WHO)が1986年に出した「環境保健クライテリア53」の中で、都市部の一般大気中の濃度が1リットル中1〜10本で健康へのリスクが著しく低いとしたことから、決められた。
しかし、90年代に入ると、環境政策に「環境リスク」という新しい考え方が導入された。中央環境審議会は96年、有害大気汚染物質について、「一生涯人間が吸い続けた時に10万人に1人健康影響が出るかもしれない」というレベルで、環境目標値を定めるよう答申。これに基づき、化学物質ベンゼンの環境基準が新たに定められた。
早大理工学部の村山武彦教授は、一般大気1リットル中1本のアスベスト濃度では、生涯死亡率は「1万人に1・7人」と算出する。リスクは、現在の環境政策で取られている「10万人に1人」に比べて一けた高いことになる。同教授は、敷地境界基準の数値を見直すとともに、一般大気についても、特に発生源周辺については、何らかの基準を設けるべきだと主張する。
健康リスクの評価の第一人者で、現在、環境、厚生労働両省の「アスベストの健康影響に関する検討会」座長を務める内山巌雄・京大大学院工学研究科教授も、「敷地境界基準の数値は、見直す必要がある。全国一律の環境基準設定が効果的かどうか疑問があるが、解体工事を行う場合、工事前と工事中の周辺大気を測定して工事による影響がゼロであると確認するなど、何らかの規制や対策を考える必要がある」と述べる。
石綿協会は、91年からは全国の工場で敷地境界基準を達成している、と公表している。しかし、環境庁が85年から実施したモニタリング調査の最後の年となった95年度調査では工場から200メートルも離れたところで、10本を超えた数値が出ている。解体現場とその周辺の境には、工場に関して定められている敷地境界基準もなく、周辺大気の濃度測定は行われていない。
現在、アスベストを含む製品を製造している工場は計42あるが、3年後には製造・使用が全面禁止になるため、発生源としては今後、建物の解体現場が中心。環境省は近く、工場や解体現場の周辺大気中のアスベスト濃度を含め、モニタリング調査に着手する。
東京都も今月中に、建物解体現場周辺を中心にアスベスト濃度測定に乗り出す方針だ。
(2005年9月7日14時46分 読売新聞)
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