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沖縄でインフルエンザ注意報発令
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050722/mng_____tokuho__000.shtml
“常夏の楽園”沖縄で前代未聞の夏のインフルエンザが大流行し注意報が発令されている。インフルエンザといえば冬の流行が相場だが、南国でなぜ今はやるのか。観光シーズンを迎え、往来客が増える中、本土への影響はないのか。夏休み前に異例の学級閉鎖もあった琉球インフル事情とは。 (大村歩、吉原康和)
「インフルエンザは、はやっとったよ。クラスに十一人しか来なかった日もあったもん」。沖縄県中部地方の宜野湾市にある「ぎのわんトロピカルビーチ」。鬼ごっこをしていた同市の小学四年生儀間はるかちゃん(10)はこう話す。妹のあいちゃん(7つ)も「いっぱい休んでる人がいたよ」。
先生たちもこの“真夏の怪”には戸惑っている。
同市立大山小学校の長浜ミツエ校長は「なぜこの時期インフルエンザなのか。最初に児童が発症したときはエーッという感じだった」と話す。
同小では、今月三日に最初の感染児童が出て以来、一学期終業式のあった二十日までに十八人の児童がインフルエンザにかかった。養護教諭の西原君代さんは「保健室に『先生熱がある』という子が来た。三七度台の熱だから少し寝てなさいと寝かせていたら、熱が下がるどころか急にガーッと上がった。これはもしやインフルエンザかもと思ったのが最初」と振り返る。
一時は一学級で九人がインフルエンザにかかり、全体で十三人が感染、発症したという同市立普天間第二小学校の仲程悦子教頭は「素人考えですが」と前置きした上で「クーラーの中にいた冬のインフルエンザウイルスから広がったのかと思った」と話す。
普天間飛行場など米軍施設が集中し、軍用機の爆音がすさまじいため、同市内の小学校は防音校舎で窓を閉め切り、クーラーを稼働させて授業をしている。
「朝一度空気の入れ替えをしたらほとんど密閉された空気の中に子どもや教職員はいる。クーラーは全部屋を循環しているので、インフルエンザでなくても感染症は怖いと思っていた」(学校関係者)という。こんなところにも、米軍基地が影を落としている。
■詳細分からず製薬会社も困惑
沖縄県健康増進課によると、三月中旬に患者数約四千人とピークを迎え、例年通りそのまま終息に向かうとみられていたが、六月中旬に二つの保健所管内で一定点(一診療所あたり)の患者数が、感染症流行注意報発令の基準となる十人を超える異変が起きた。
六月下旬から患者は増え続け、七月中旬の最新の調査では、患者数八百二十七人、一定点当たり約十四人に上っている。傾向としては沖縄本島北部から順に中部、那覇市周辺、南部に感染が拡大しているようだ。
同課の新垣美智子主査は「夏の感染拡大は少なくとも平成に入ってから初めて。それもA香港型ばかり。A香港型も七月中旬から変化してきているようだ」と話す。異変を聞きつけ駆け付けた大阪のワクチン製薬会社の課長も「どういう種類か分からないと来年用のワクチンを作る際に困る」と首をひねっていた。
浦添市で内科医院を経営する狩俣陽一院長は「この流行は常識に反することが多い」と強調する。
大人から子どもまで罹患(りかん)し、梅雨には湿度が高まりインフルエンザは通常感染しにくいのに感染が広まった。人口の多い那覇市からではなく北部から流行が始まった。
狩俣院長はこう訴える。「暑さに強いタイプのウイルスが現れたのかもしれない。いつもは本土で冬に流行し沖縄に帰省する人たちを媒介に沖縄で流行するのだが、もし逆のルートで本土で流行するなら前代未聞のケース。厚生労働省など関係機関は早くどんなウイルスなのか究明すべきだ」
沖縄のこうした現状を学識者はどう分析しているのか。
「風邪の症状などから、A香港型のインフルエンザウイルスと聞いているが、何が原因でこの時期に沖縄で流行しているのか、原因はさっぱり分からない」と当惑気味に話すのは、琉球大学医学部の山根誠久教授だ。
国立感染症研究所インフルエンザウイルス室の小田切孝人室長も「A香港型の流行は通常、三月で終わる。今年はちょっと特殊」と指摘する。
全国のほとんどの小中学校が二十一日から夏休みに入り、沖縄への観光客も増えるバカンスシーズンを迎えている。今後に影響はないのか。
■各航空会社は『対策考えず』
離島を含め沖縄発着便で一日八十便を運航している日本トランスオーシャン航空では「冬場でインフルエンザが流行した場合は客室乗務員などに予防接種を受けてもらうことをしたことがあるが、今のところ、特別な対策は考えていない」と話す。
全日空も「今後の推移を見てということですが、現時点では具体的な対応は予定していない」(広報室)と静観の構えだ。
前出の山根教授は「影響がある、と言っただけで、(風説被害などで)沖縄の観光に打撃になる。影響がないことを願うばかり」としながら、流行中のインフルエンザについて「新型ウイルスではないので、ワクチンを受けている本土の人にとっては脅威にはならないだろう。デパートやエレベーターなどの人込みを避ければ、旅行客も心配はない。沖縄の地元の人も熱が出たら早めに診断を受ければ大丈夫」との見方を示す。
■冬の“主役”の可能性も
生物資源利用研究所の根路銘国昭所長は、流行の背景には地球規模の異変があるとみる。
根路銘所長によると、タイやベトナム、中国南部など熱帯・亜熱帯地域でのA香港型の流行パターンは、暑くスコールが多く湿度の高い五月から七月。これまでの日本の流行パターンとは異なるが「沖縄での七月の流行は、東南アジア型の流行パターンに類似してきたということで、極めて注目される現象だ」と指摘する。
さらに、その原因について「二〇二〇年には、一九六〇−九〇年の温度と比べ、一・一度上昇するとの予測があるが、これに伴い、マラリアが北に移動し、最高で二倍以上の流行の危険度が高まるという予想もある。感染症も地球温暖化によって、少しずつ変わってきているのではないか」と推測する。
その上でこう警鐘を鳴らす。
「この流行こそ、地球温暖化によって従来の日本のインフルエンザ流行パターンが東南アジア型の感染パターンに変化する前兆ではないか。かなり進化したウイルスが沖縄で七月に学級閉鎖を引き起こすなどして爆発的な流行となって出てきたもので、このウイルスが、国内全域で冬の流行の主役になる可能性は十分ある」
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