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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/foodsafe/news/05071301.htm
05.7.13
EUの欧州共同体司法裁判所が12日、02年3月に採択され、今年8月1日から施行される補助食品(サプリメント)に関するEU指令(EU:欧州議会、補助食品指令に合意,02.3.15)がEU法に違反するという英国食品産業の訴えを退ける判決を言い渡した(JUDGMENT OF THE COURT:In Joined Cases C-154/04 and C-155/04;http://curia.eu.int/jurisp/cgi-bin/form.pl?lang=EN&Submit=Rechercher$docrequire=alldocs&numaff=C-154/04&datefs=&datefe=&nomusuel=&domaine=&mots=&resmax=100))。今年4月には同裁判所の司法官が、この指令は法的保護・法的安定性・健全な行政」というEUの基本原則に反するとしてこの訴えを認める意見(http://curia.eu.int/jurisp/cgi-bin/form.pl?lang=EN&Submit=Rechercher$docrequire=alldocs&numaff=C-154/04&datefs=&datefe=&nomusuel=&domaine=&mots=&resmax=100)を出しており、係争の最終判決はこれに従うのが通例であるから、今回の判決は異例の「逆転」判決となった。
この判決により、健康食品産業は、既に大きな市場規模(英国では3億ポンド=約600億円といわれる)を持つ自然治療薬、ビタミン、植物から抽出したミネラルなどについて、EUレベルでの承認を得て統一サプリメントのリストに登録されないかぎり、その販売ができないことになる。判決は、指令が定める「ポジティブ・リスト」のシステムは、域内におけるサプリメントの自由移動を確保し、また人々の健康の保護を確保するのに適切だと言う。
ただし、判決は司法官の懸念も認め、与えられた物質がリストに付け加えられるのを許す「法的安定性と健全な行政の原則に合致した」手続きを伴わねばならないとしている。「リストに含まれる物質の申請は、最も信頼できる利用可能な科学的データと国際的研究の最新の結果に基づく完全なリスク評価に基づいてのみ拒否することができる。拒否には裁判での挑戦も開かれねばならない」と言う。さらに、健康食品製造者と欧州食品安全庁(EFSA)との間の義務的協議の手続きが透明で、合理的期間内に完了するように確保する責任は欧州委員会にあると指摘する。
英国健康食品製造者協会(HFMA)や健康食品店全国協会(NAHS)に支援された自然保健連合(ANH)は、この指令は不要なばかりか、これを守るためのコストは小企業には禁止的だ、また商品自由移動の原則にも反すると主張してきた。この指令案には、100万人が反対請願に署名、300人の医者や科学者が首相に抗議書簡を送付、議会両院が反対を決議など、英国では反対の声が盛り上がっていた。しかし、この日の判決は、人々の健康保護のためには一定の制限は正当化されると判断、原告の主張を退けるとともに、指令の有効性を確認するものとなった。判決によれば、現在は、サプリメントに対する規制は国ごとに異なり、商品自由移動の障害になっている。この指令の狙いの一つは、まさにこのような国によって大きく異なるサプリメント販売のルールを調和させることにあった。
指令によれば、健康食品製造者は、サプリメント成分の安全性を証明する詳細な科学的文書を提出せねばならず、8月1日までに承認を得られなかったサプリメントは禁止されることになる。これがサプリメント企業やこれに頼る消費者の大規模な反対を招いた要因であった。欧州議会の反対者は、指令は健康を促進するよりも命を脅かす、過剰なテストと煩瑣な手続きを要するポジティブ・リストに含まれなければ、大量の栄養源が失われることになると、こうした声を代弁してきた。
ただし、判決の用心深い留保を考えると、これは多分杞憂になりそうだ。多くのサプリメントが今後のリスク評価を生き残るだろう。もしそうならないとすれば、今まで販売されていた健康増進サプリメントとは何だったのかということになる。サプリメントの取りすぎによる健康リスクが軽減され、消費者の無駄な出費が減る可能性もある。この指令と裁判所の判決は、サプリメント全盛の現代社会への警鐘と受け止めるべきであろう。
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