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http://www.asahi.com/health/news/TKY200506270177.html
ピロリ菌、2つの毒素で胃の細胞操る
2005年06月27日13時34分
胃がんや胃潰瘍(かいよう)の原因となるピロリ菌は、胃の細胞にあるたんぱく質を2つの毒素で操り、細胞の増殖を促進させたり抑えたりしているらしいことを、畠山昌則・北海道大教授(分子腫瘍(しゅよう)学)らが見つけた。胃の細胞が増えすぎる胃がんと、逆に細胞が大量に死ぬ胃潰瘍という正反対の性格の病気を、1種類の細菌が起こす仕組みの解明につながる成果だ。先週、米科学アカデミー紀要(電子版)で発表した。
畠山教授らは、ピロリ菌の出す2つの毒素の作用を人の胃の細胞で調べた。片方の毒素は、細胞にある「NFAT」というたんぱく質の働きを高め、もう一方の毒素は抑えることがわかった。
NFATは細胞増殖にかかわる数十の遺伝子を調節している。畠山教授は「どちらの毒素が多いかで、NFATが働きすぎて細胞をがん化したり、NFATが働かなくなって潰瘍を生じさせたりするのではないか」と話している。
2005年07月01日07時42分
胃がんの「前がん状態」でも、胃の中のピロリ菌を除菌すると、進行を抑え、状態を改善する効果がある。そんな研究結果を、厚生労働省研究班がまとめ、1日、岡山市で開催中の日本ヘリコバクター学会で発表する。主任研究者の斉藤大三・国立がんセンター中央病院内視鏡部長は「胃がん予防を考えると、慢性胃炎が進んだ人も除菌した方がいいかも知れない」という。
研究対象は96〜04年に登録された全国20〜59歳のピロリ菌感染者で4年以上経過した392人。胃がんへ進む前の状態と考えられている萎縮(いしゅく)性胃炎や腸上皮化生(じょうひかせい)(胃の粘膜の変性)など慢性胃炎になった患者について、抗生物質を飲んで除菌するグループと、除菌しないグループに無作為に分け、平均5.3年にわたって症状を追跡した。
患部の細胞を採取して調べた結果、胃の下部の萎縮性胃炎で状態が改善した割合は、除菌しなかった116人で17人(15%)に対して、除菌した116人では72人(62%)だった。胃の上部や中部の萎縮性胃炎、腸上皮化生を含め、すべて除菌した人の方が29〜47ポイント改善率が高かった。効果は性別や年齢層に関係なく見られた。
ピロリ菌に感染すると胃の粘膜が傷つけられ、慢性胃炎になり、さらに胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎、さらに腸上皮化生になる。これが続くと胃がんを発生しやすい――。こうした筋書きが動物実験や過去の疫学調査から示唆されてきており、ピロリ菌を除菌すると胃がんの発症率が3分の1以下になるとする研究結果もあった。「ピロリ菌元凶説」はかなり広まっているが、科学的根拠は必ずしも十分ではなかった。
今回の研究は最終的な胃がんの発生頻度まで調べたものではないが、前がん状態でもピロリ菌除菌が胃がんへの進行抑制効果を持つらしいことを厳密な研究で裏付けた点で画期的だ。
研究班は今後、除菌の効果がいつごろから現れるか解析を進めるとしている。また、研究で除菌しなかった人について、希望に応じて除菌することも検討している。
ピロリ菌は日本では国民の約半数が感染しており、特に50歳以上の感染率は約6割とされる。
除菌は、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質の計3種類の薬を、朝晩に1週間続けて飲むのが標準的だ。胃潰瘍(かいよう)や十二指腸潰瘍の治療などでは公的な医療保険が適用されている。ただ、逆流性食道炎などの副作用も報告されている。
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