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社会は、わたしのおサイフとつながっている!
経済・金融の知識は、儲けるためでなく、
生きるための技術である
渋井先生(以下略) 今日ここに集まったみなさんは多分おわかりかと思いますが、まずは、今どうして経済や金融の知識をつけなければいけないかについてお話したいと思います。
経済や金融の勉強というと「儲けるためのもの」、「自分は儲けなくてもいいから関係ない」、と思ってしまう方が残念ながら少なくないのですが、そうではありません。自分の人生をコントロールしていくために必要な技術 なんです。
とくに今、経済や金融の環境はすさまじい勢いで変化しています。たとえて言うなら、私たちが歩いていた地面にひたひたと水が入ってきて、さっき膝丈だったのにもう足が立たない深さになってきている……そのくらいのスピードで激変している。今までは歩き方を知っていればよかったけれど、早く泳ぎ方を身につけなければ溺れ死んでしまうかもしれないというたとえは大げさではないのです。
国にとっても必要だった、
「日本人お金オンチ化計画」
私たちの社会は資本主義社会です。それはみなさんよくご存知だと思います。けれど資本主義社会のしくみである経済・金融については、ほとんどの方がまったくといっていいほど知識を持ちあわせていない。これは、本当はK1のリングに目隠しで上がるようなものなんです。
どうして私たちはこんなに何も知らないのか。国の政策だったからです。私はそれを「日本人お金オンチ化計画」と呼んでいます(笑)。日本人は、国の政策としてお金の知識を身につけさせてもらっていない国民なのです。
でも、国もしょうがなかったのです。「お金オンチ化計画」は必要だった。
ゼロからの戦後復興、天然資源がない日本の唯一の資源は、安くて優秀な労働力でした。国は、この労働力を生かした加工貿易で国を豊かにするしかないと覚悟しました。「加工貿易」なんて小学校で習いましたよね、懐かしいでしょ? 当時は、まさにわが世の春を謳歌していたアメリカという豊かで巨大なマーケットがあったので(※1)、物は作るほどに売れたのです。
さて、加工貿易で利益を生み出すためには、コストダウンが効く規模が必要です。国は大工場を抱える大企業を支援し、地方から大量の労働力を上京させました。そうすると地方が貧乏になってしまうので、都市で働く人々から税金という形でお金を吸い上げて、公共事業などの形で地方に振り分けてバランスをとってきました(※2)。
こうして、「政(政府)・官(行政)・財(大企業)の三位一体構造」ができてきたのです。この「お上」が、私たち「勤労の民」をコントロールした結果、日本は一丸となって復興、高度経済成長を経て豊かになってきたのです。
国民の勤労意欲が衰えては困るから、
お金のことを考えさせないようにした
当然、「お上」は勤労の民が小金を持つことを怖れます。勤労意欲が衰えては困るからです。国にとって必要だったのは、毎朝の満員電車に耐えてコツコツ働く労働者です。終身雇用とその後の年金をあてにしていれば将来安泰という仕組みや、「持ち家」というささやかなニンジンも用意しました。
それでももしお金がちょっと余ったなら郵便貯金か銀行預金をしなさい。それでなければ国債がいいですよ、ということにしました。株式投資なんか普通の人はやらないよ、という一種の情報統制があったと言っていいでしょう。
郵貯や国債に集まったお金は公共事業などの財政投融資、大手銀行に集まったお金は大手企業に融資されて設備投資に回るわけですから、国にとってこんな都合のいいことはなかったわけです。国の運営としては効果があったわけです。
ベルリンの壁が崩壊して、
私たちは自己責任の時代に突入した!
しかし、とうとうその幸せなシステムを成り立たせていた根幹が崩れる事件が起きたのです。それは1989年の11月9日。この事件とは何でしょう?
ヒント。日本の加工貿易はアメリカという大市場を前提に成り立っていました。アメリカも冷戦構造の下、防波堤として役に立つ日本を守り味方につけておくためにも、せっせと物を買ってくれた……。
……そう、ベルリンの壁の崩壊(※3)です。これで資本主義は共産主義に勝利したと言われましたが、じつは資本主義の新たな試練が始まったのです。それまであった共産主義という邪魔がなくなったので、資本家たちが世界中で資本主義をやりたい放題できてしまう時代が到来したのです。それを後押ししたのが、インターネットを始めとしたIT革命です。
資本家は、世界中どこでももっと資本主義をやりやすくするために、世界中のルールを統一しようとしています。資本家にとって最もやりやすいのはアメリカのルールなので、それを世界中に適用させようと各国にプレッシャーをかけています。いわゆる「グローバリゼーション(国際化)」とはこのことなのです(※4)。
もちろん日本も例外ではなく、世界の資本主義というK1リングに引っ張り上げられています。それでいきなりボコボコにされ始めてフラフラになってしまい、「ずっと面倒みてあげるって言ったけど、ごめんもうダメ。自分で生きてね」と国も企業も言い始めたのが、今言われている「自己責任時代」なのです。
社会を知れば、経済・金融も見えてくる
自分の力で「脱・お金オンチ」しよう!
どうでしょうか、社会と経済、ひいては私たちのおサイフがつながっていることがおわかりいただけましたでしょうか?
原田 うわぁ……(絶句)。すっごくよくわかりました。
こうやって見ていくと、リストラだのペイオフだのがどうして起きるのかがわかってくる。歴史を知れば金融も見えてくるんだけど、「日本人オンチ化計画」だったから学校では現代史をほとんどやらないでしょう。
山崎 たしかに、教科書の中でも現代史は本当に薄くて授業も駆け足でした。
そう、じつはタブーだからなんです。まず私たちが知らないということと、時代が変わっているということを認識しましょう。私たちはつい親の世代を見て、その延長線上に自分たちの人生設計もあると思ってしまいますが、もうそれでは通用しないのです。
資本主義の基本ルールのひとつは、「知らない人は泣きをみて、知っている人だけが助かる・得をする」です。お金の話にはガセネタも多いですから(※5)、自分の力で知識をつけていかなければいけないのです。
原田 でも、どこから手をつけたらいいんでしょう。やっぱりまずは新聞を読むところからなんでしょうか。
そうですね、日経新聞はやっぱり読むべきでしょう。でも、すべての記事を読まなくてはいけないわけではないので安心してくださいね。読み方にはコツがあるんです。