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10月13日(ブルームバーグ):米国内の自動車メーカーとしてトヨタ自動車はかつて、ミシガンやオハイオといった労働組合の影響力が強い州への進出を避けていた。日本車メーカーの存在自体が不買運動などにつながりかねなかったからだ。
米市場でのトヨタ車の人気が高まる一方で、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターの不振が続き、これら米メーカーの雇用減少が全米自動車労組(UAW)やカナダ自動車労組(CAW)を揺さぶっている。トヨタは、こうした時期に米国の自動車産業の中心地であるミシガン州に工場を建設するのが適切かどうか検討している。
ミシガン州に工場を建設すれば、GMやフォードで働けるような熟練労働者を採用することも可能だ。GMやフォードより信頼の置ける顧客を探している供給業者も、簡単に見つけることもできるだろう。それでもトヨタ幹部には、自動車工場の労働者などを組合員とする労組がトヨタの進出に反対するのではという懸念がある。
ミシガン州ランシングの世論調査員、スティーブ・ミッチェル氏は、「UAWなどの労組が反発するとは思わない。人々は新たな仕事がやってくるのを期待しているし、それが実現すれば誰もが幸福になる」と述べている。UAWが日本の自動車業界に対する貿易規制を政府や議会に求め、消費者に日本車の不買運動を呼び掛けた1980−90年代には、こうした発言は決して考えられなかっただろう。
「違和感はない」
UAWランシング支部のアート・ベーカー支部長は、政府と労組は「ミシガン州で雇用を増やす方法を見つける義務がある」とした上で、GMが成長しなければ、「ほかのメーカーを成長させ続ける方法を見いだす必要がある。GMやクライスラーと同様に、トヨタの工場で支部長を務めるのも私にとって何ら違和感はない」と言う。
デトロイトに本部を構えるUAW、それにCAWは、北米のトヨタ工場で働く従業員の組織化には至っていない。日本車メーカー各社は労働組合員の失業が、米国で政治的にデリケートな問題だと理解している。日本側は1980年代に労組や議員らの日本車輸入反対に直面し、両国間の対立を避けるため、一時的にトヨタ車などの米国向け輸出を自主規制した。
トヨタは今月11日、カナダ・オンタリオ州ウッドストックで北米7番目となる工場の着工式を行った。6億5300万ドル(約750億円)規模のこの工場の操業開始は2008年の予定だ。
トヨタは来春、テキサス州サンアントニオで北米6番目の工場の操業を始める。だがミシガン州政府当局者、特にグランホルム知事(民主党)はすでに、トヨタの北米8番目の工場を同州に誘致しようと考えている。
ミシガン州知事の訪日
デトロイトを拠点とする米自動車メーカーとその供給業者の低迷で、グランホルム知事の政治生命は危うくなっている。来年に知事選を控えた同知事はこの夏、ミシガン州の利点を訴えるため日本を訪問し、トヨタ幹部と会談した。
北米部門のデニス・クネオ上級副社長(ニューヨーク在勤)は「われわれは2年以内に新たな自動車工場が必要となる」とし、張富士夫副会長(前社長)が今年示した発表文を引用し、「ミシガン州に対してもオープンだ」と述べた。
クネオ副社長はまた、新工場の候補地としてアーカンソー、ミシシッピ、テネシーの各州も検討していると述べた。いずれも労組の力が弱く、多くの日本、ドイツ、韓国の自動車メーカーが最近好んで工場を建設する州だ。
グランホルム知事は、三菱自動車工業と韓国のヒュンダイモーターカンパニー(現代自動車)、ドイツのダイムラークライスラーがミシガン州ダンディに建設した新しいエンジン工場を、同州における「新たな協力精神」の一例として挙げている。UAWはこの工場向けの新しい労働協約に合意した。
同知事はインタビューで、トヨタの投資は「歓迎されるだろう。これは完璧で新しい協力関係のビジネスモデルであり、UAWはそのことを非常に良く理解している。これは業界全体にとって良いことだ」と述べた。
グラムホルム知事は9月10日、トヨタの中川勝弘副会長とともにミシガン州アンアーバーでフットボールの試合を観戦し、その後、会談している。トヨタが米国で成功している大きな理由の1つは、政治的な反発を最小限に抑える能力だ。同知事は再選を目指して、トヨタに政治的価値を見いだしている。(ドロン・レビン)
(ドロン・レビン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Toyota Considers a Factory on UAW's Front Step: Doron Levin(抜粋) {NXTW NSN IOA5WN0YHQ0X 更新日時 : 2005/10/14 14:21 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html