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海外不動産投資、節税か税逃れか 漫画家ら計30億円申告漏れ
コメルツ証券があっせんした不動産リース業の仕組み
外資系証券会社があっせんした海外不動産リース事業をめぐり、全国の投資家二十数人が、国税当局から03年分までの3年間で三十数億円の申告漏れを指摘されていたことが分かった。米国に設立した事業体が行ったアパート賃貸事業で生じた赤字を本業の給与などと合算して所得を少なく申告したのを「税逃れ」と判断された。追徴税額は過少申告加算税を含め十数億円とみられる。(香川直樹、小倉直樹)
高額所得者ほど「節税効果」を得られる航空機や船舶など高額物件リース事業で、投資家が課税処分を受け、税務訴訟になる例が近年相次いでいる。今回も、投資家の大半は「課税の根拠が不明」として国税不服審判所に審査請求している。
東京、大阪、名古屋の各国税局から追徴課税されたのは、著名な漫画家やプロ野球選手、上場企業役職者、医師ら高額納税者。他のリース事業でも同時に課税された人もいるという。
●外資系証券
「投資対象として魅力的で節税効果もある」
東京都内の会社社長は00年ごろ、外資系のコメルツ証券東京支店(6月末に閉鎖)の社員に勧められた。米国での中古アパート賃貸事業への投資話で、約2500万円を出資。事業の「赤字」額を他の所得から引いて申告すると、03年分までの3年間で約2200万円分税金が減った。
ところが、昨秋に税務署員が来た。今春に3年間で約6千万円の申告漏れを指摘され、逆に2千数百万円を追徴された。
●投資信託?
関係者によると、投資家らは00年から同支店のあっせんで1人約2500万〜約2億5千万円を出資。この資金や借入金で、米国に設立された不動産賃貸業を営むリミテッドパートナーシップ(LPS)という事業体が、カリフォルニア州やフロリダ州に計約10棟(約900戸)の木造中古アパートを購入した。
リース事業では最初の数年間、物件の資産価値の目減りにあたる減価償却費や借入金の利息などがリース料収入を上回り、多額の赤字となる。この赤字を給与所得などの黒字から差し引くことで節税になるという。
だが国税当局は、投資家の資金がルクセンブルクの銀行に開いた個人口座に送金され、銀行がこれをまとめてLPSに出資して資産運用していたと判断。投資家は不動産を買ったのではなく、銀行に金を預けて運用利益を得る「投資信託」にあたると指摘し、LPSも「設立登記がなされ、賃貸契約の当事者でもある」と「法人」と認定した。
投資信託や法人の場合税法上投資家が得られるのは利益の配当だけで、事業の赤字を個人所得に反映できない。このため、国税当局は投資家の赤字計上を認めなかった。
●次々と開発
日本では100万ドル(約1億円)以上の金融資産を持つ人は134万人(04年末時点、メリルリンチ調査)いるとされ、富裕層ビジネスが盛んだ。
川端康之・横浜国立大大学院教授(国際租税法)は「IT産業など勝ち組の金回りがよくなり、金融自由化で外国への投資も原則自由になった」と節税商品が広がる背景を分析。「国税当局が極端な節税に危機感を強める一方で、複雑な仕組みも次々と開発される。課税理論の組み立てがますます難しくなっている」と話す。
◆法的根拠が不明――投資家らの代理人弁護士の話
銀行は投資家の指図に従って運用しており、投資信託ではない。LPSも法人ではなく組合に近い事業体で、事業の損益は投資家に帰属する。20年前から同様の「投資スキーム」があるのに課税された法的根拠が不明で、課税を予測できず、租税法律主義に反する。
http://www.asahi.com/paper/front.html