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日本銀行は１２日の政策委員会・金融政策決定会合で、金融の量的緩和策の目安としている日銀当座預金残高の目標を据え置き、金融政策の現状維持を決めた。
福井俊彦総裁は先月末の大阪での記者会見で、量的緩和策の「解除後」に言及したが、１２日の決定会合後の記者会見ではさらに踏み込み、解除後のゼロ金利政策に対する考え方などにも言及した。
ただ、実際に量的緩和策の解除に踏み切るかどうかについては、政策委員らの間では温度差がある。日銀は今後、難しい金融政策のかじ取りを求められそうだ。（岡田章裕）
■上方修正
日銀が今年４月にまとめた「経済・物価情勢の展望」（展望リポート）では、ＣＰＩの見通しは、２００５年度が政策委員の中央値で「マイナス０・１％」、２００６年度が「プラス０・３％」と予想し、解除条件を満たさなかった。
しかし、今月末に公表される１０月の展望リポートでは、２００５年度は０％〜プラス０・１％程度、２００６年度はプラス０・４％〜プラス０・５％程度に上方修正される見通しだ。
福井総裁も１２日の会見で、「（物価が安定的にゼロ％以上になる時期は）かなり近い距離に見えてきている。前年の電気、電話料金の引き下げなど物価を引き下げる特殊要因がなくなり、年末にかけてゼロ％か若干のプラスに転じていく」と述べ、解除条件の〈１〉と〈２〉を満たす可能性に自信を見せた。
■先行きの議論
ただ、政策委員らの間で先行きの景気の見方には、温度差がある。中原真審議委員は、今月３日の講演で、原油高騰などのリスクなどに触れて「量的緩和策解除に向けてのバーは必ずしも低いものとは思わない」と述べ、慎重な見方をにじませた。また、「生産面に力強さがみられない」と指摘する政策委員もいる。
市場では２００６年４〜６月にも量的緩和策が解除されるとの見通しは依然として根強いが、不安要因が無いわけでない。米中経済の行方や、高止まりが続く原油価格、長期金利の動向が景気に与える影響を十分に見極めなければ、デフレ脱却のチャンスを失うことになりかねず、慎重な政策運営や議論が求められる。
■引き締めにはならず
日銀は量的緩和策の解除条件として、〈１〉消費者物価指数（ＣＰＩ）の前年比上昇率が数か月間以上、安定的にゼロ％以上になる〈２〉ＣＰＩが先行きマイナスになる恐れがなく、政策委員の多くが、ＣＰＩがゼロ％を超える見通しを有している〈３〉経済・物価情勢への影響を総合的に判断する――の３点を示している。
福井総裁は１２日の会見で、解除時期の明言を避けたが、解除後の金融政策の姿に言及した。
まず、量的緩和策を解除したとしても「金融政策が段差をつけて変化が起こるのではない」と指摘。解除しても直ちに金融政策が引き締めに転じたことにはならないことを強調した。
福井総裁はさらに、解除後に金融調節の指標を、日銀当座預金残高から金利に戻した時点で、「実質的にも名目的にもゼロ金利になり、その時点以降、どんな金利にするかはその時の経済・物価の判断にかかってくる」と述べた。
ただ、福井総裁は「方向性としては遅かれ早かれ（金利が）プラスの世界に入っていくという判断をしっかりと行う」として、ゼロ金利を長くは続けたくない意向もにじませた。
現在、「３０〜３５兆円程度」と高水準に積み上がっている日銀当座預金残高については「無理なオペレーション（金融調節）をせずに自然に吸収されていくのが理想的」と述べ、一定期間をかけて徐々に引き下げていくとの見解を示した。市場に、金利先高観が広がり、長期金利が乱高下して市場が混乱することを避けたいためだ。
（2005年10月13日1時38分 読売新聞）
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http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20051012ib28.htm
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