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(回答先: 食糧自給率40%を切っているのに、日本は「農業鎖国」だと叫んだ小泉首相の犯罪性(本分なし) 投稿者 あっしら 日時 2005 年 10 月 10 日 03:17:55)
農地解放再び。農業は発展するか(7/12)
品田卓デスク
本日のフロントは、改正農地法で株式会社(企業)による農業参入が9月から解禁になり、新たな市場が開けるとみた大手銀行などが新型融資を開発し始めたという話です。このニュースを編集しながら、日本では衰退産業とされる農業も再び発展していくのではないかと考えました。
今年は戦後60年。振り返ると、日本経済の基礎は戦後直後の農地改革によって築かれたと言ってもいいと思います。農地が解放され、農民ひとりひとりが豊かになる。貧富の差が小さい社会構造が出来上がり、それが国民総中流意識というか中産階級の確立につながりました。こうした国民が、稼いだおカネをせっせと預金し、それが企業などへの融資に回って、日本経済は高度成長を遂げました。おおげさに言うと、日本を国内総生産(GDP)世界2位の大国にしたのは、農業と言っていいかもしれません。
そんな農業がなぜ衰退したのか。政府が保護政策を取り続けたためです。自由競争とはかけ離れた補助金行政や輸入規制によって、農業は発展する機会を逸してしまいました。その結果、生産性は低下し、国際競争力のない産業になってしまいました。
そんな農業が変わるきっかけになりそうなのが改正農地法の施行です。企業も全国で農地を借りて農業に参入できるようになるためです。新しい担い手が参入できる仕組みになったのです。
「コスト意識の高い企業が参入すれば融資先としては魅力」と三井住友銀行が農業法人向けの無担保融資を開発しました。土地などの担保ではなく、品種改良や遺伝子組み換えなど様々なノウハウを審査して無担保で貸すもので、農業の担い手にとっては、担保がなくても技術さえあれば借りられるようになります。ようするに農業金融が動き出したのです。数年前に中小企業への無担保融資が始まり、いまや製造業やサービス業では様々なベンチャー企業が育ってきたことを考えると、農業も今後ベンチャー企業が育つ可能性が出てきました。
規制にしばられ、衰退しつつあった農業。それが規制緩和によって、新たな担い手が生まれ、競争が働くようになる。金融がそれを後押しして、さらに農業で先端技術が育っていく。そんな好循環が農業で動き出す可能性が出てきたわけです。
戦後史をみると、いくつかの産業については、確かに保護しなければならない時期はあったと思います。農業もその一つだったかもしれません。しかし、保護する期間が長いと肝心なところで発展を逃してしまいます。
護送船団に支えられた金融もそうでした。米国から金融市場開放を迫られたのは1980年代半ば。その時から、護送船団行政からの転換を進めなければいけませんでした。1997年に金融危機が起きるまで、それが実感できなかった。金融の構造改革は10年遅れでした。農業も牛肉、オレンジの市場開放論議が出てきた時、保護行政からの転換を少しずつ進めなければならなかったのではないか、と思います。
今回の改正農地法は、貸し付け限定とはいえ、農地を企業に解放するわけで、60年後に訪れた第2の農地解放と言えるかもしれません。時代を考えると、農業が日本経済を担うことはもはやありませんが、新たな産業として日本経済発展の起爆剤になる可能性は十分あると思います。
企業の農業参入によって、様々なアイデアが生まれ、様々なタイプの農業法人が生まれることを期待します。消費者がいっしょに農作業をする農業体験型サービス、さくらんぼ狩りという観光と生産をセットにした農業、などなど。山間部の棚田でもアイデアがあれば、離農せずに新たな産業を興せる――。規制緩和を進めることによって、小さな農家が滅びるのではなく、様々なタイプの農家、農業法人が併存する。そんな活力ある農業が育ってほしいと思います。