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10月７日（ブルームバーグ）：自動車メーカー最大手の米ゼネラル・モーターズ（ＧＭ）は今月、シカゴで自動車ショーを主催した。この催しに参加したギミ・クレジット・パブリケーションズの債券アナリスト、クレーグ・ハットソン氏は「これまでとは違って、大型ＳＵＶ（スポーツ型多目的車）は待ち時間なしで試乗ができた」と言う。
ＧＭの努力は空回り気味だ。資産家カーク・カーコリアン氏が５月に持ち株比率を引き上げた効果も薄れ、株価は５カ月ぶりの安値圏に低迷。格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ（Ｓ＆Ｐ）は今週、ＧＭの債務格付けを引き下げ方向で見直すと発表。現在「ＢＢ」の格付けを、２段階以上引き下げる可能性もあることを明らかにした。
ドイツ銀行の欧州信用調査担当責任者ゲーリー・ジェンキンズ氏によると、格付けが「Ｂ」クラスの企業は、５年以内にデフォルト（債務不履行）に陥る確率が30.5％と、「ＢＢ」クラス（10.7％）のほぼ３倍に上る。
９月の米国自動車販売台数は、ＧＭがデフォルトや経営破たんに陥る可能性を排除すべきでないという警告を発した。日本車メーカーのシェアは38.2％と、前年同月（32％）に比べ拡大。一方、前年同月の販売台数が値引きによって押し上げられた反動などから、ＧＭの販売台数は24％減少した。
大型ＳＵＶを救え
ＧＭの株式や社債の保有者にとって最大の懸念は、ＳＵＶの販売台数が大幅に落ち込んだことだ。大型ＳＵＶ「タホ」や「サバーバン」は１−９月の販売台数が50％以上減少した。ガソリン価格が１ガロン当たり３ドルに達した影響が出始めているようだ。
米証券大手メリルリンチのアナリスト、ジョン・カセサ氏は、10月３日付のリポートで、ＧＭのＳＵＶについて「来年１月発売の新モデルに対する懸念が日増しに高まっている」と書いている。
ＧＭの問題は販売不振だけではない。かつて英国のコメディアン、ベン・エルトンの持ちネタにこんなレパートリーがあった。老女のわきの下から顔をのぞかせた子犬が「ごちそうをちょうだい、ごちそうをちょうだい。くれなければ死んじゃうよ。唯一の友だちが死んじゃったら、あなたはこの世で一人ぼっちになっちゃうよ」。ＧＭにとっての子犬はデルファイだったようだ。
60億ドルの支援策
米国最大の自動車部品メーカー、デルファイは、経営破たんを回避するため、ＧＭから総額60億ドル（約6800億円）相当の支援を得たい考えだ。事情に詳しい複数の関係者が先月、ブルームバーグ・ニュースに明らかにした。デルファイのロバート・Ｓ・ミラー最高経営責任者（ＣＥＯ）は、連邦破産法の改正が予定されている10月17日までに同法11条（会社更生法に相当）の適用申請をする可能性があることを明らかにした。米紙ニューヨーク・タイムズが10月５日報じたところによると、同社は早ければ今週中に破産申請を行う可能性がある。
デルファイの最大顧客であるＧＭを苦しめているのは、ＧＭが1999年にデルファイを分社化した際の取り決めだ。デルファイが破たんすると、同社の下請け業者の多くも道連れになるため、ＧＭは新モデルの量産に必要な部品を十分に調達できなくなる。たとえ破たんを回避しても、従業員ストのリスクは残る。
下落する株価
ＧＭの株価は過去10週間で20％余り下落し、30ドルを下回る水準だ。時価総額は約160億ドルと、発行済み社債の残高1050億ドルを大幅に下回る。ブルームバーグの集計によると、ＧＭ株の投資判断を「売り」としているアナリストは９人、「ホールド」は６人、「買い」は４人だ。
デリバティブ（金融派生商品）市場の動きからも、ＧＭの信用リスクに対する懸念が高まっている様子が分かる。ＧＭ債1000万ドルのデフォルト保険（期間５年）の年間コストは約50万5000ドルと、２カ月前の約36万5000ドルから増加した。
ＧＭのリック・ワゴナーＣＥＯの選択肢は、デルファイの破産を容認し、巻き添えを食わないように祈るか、または200億ドルの手元資金を使って60 億ドルの助け舟を出し、今後の全米自動車労組（ＵＡＷ）との交渉が有利に運ぶことを期待するかだ。
最後にもう一点。ＧＭの株価は現在、カーコリアン氏が経営する投資会社トラシンダが５月にＧＭ株の買い増しを始めた時の価格（31ドル）を下回っている。カーコリアン氏は先月、持ち株比率が9.9％になるまで買い増しを続ける方針を表明。ＧＭ取締役への就任を要求する可能性があることを明らかにした。
カーコリアン氏の消極支配の姿勢が、積極支配の姿勢に転じるのはいつだろう。
（ギルバート氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です）
原題：General Motors Downshifts Toward Default Drive: Mark Gilbert（抜粋）
{NXTW NSN INGJ6907SXKX 更新日時 : 2005/10/07 13:40 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html
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