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10月4日(ブルームバーグ):「どのくらいのインフレ率になれば日銀が引き締めを始めるのか(日銀)審議委員の意見が分かれている」、「(量的緩和の)出口に差し掛かった状態では、ゼロ金利がどこまで続くのか(をめぐり)期待が不安定化するリスクがある」。日本銀行の中原真審議委員が3日、横浜市内で行った講演と会見。量的緩和解除後の金融政策運営だけではなく、解除の条件についてすら、政策委員会でコンセンサスが形成されていないことを露呈した。
中原委員は講演で、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の前年比が「10月、11月くらいの消費者物価指数が発表されるころになると、若干のプラスに転じる可能性がある」と指摘。「そうすると第1条件は満足するということになる。今月の展望リポートの06年度見通しがもしプラスということであれば、第2条件も一応、形のうえでは満足したということになる」と指摘。
そのうえで「第1、第2の条件が満足されるということから、市場では来年前半にも量的緩和政策が解除されるとの見方が広がり始めているようだ。わたしとしては、第1、第2の条件は充足されるかもしれないが、第3条件、つまり再びデフレに戻ることがないような情勢の見極め、これは慎重に行っていくべきだと考えている」と述べた。ここまで読んで、アレッと思われるかもしれない。
日銀内でも解除後のゼロ金利で両論
解除の条件は、1)コアCPI前年比が数カ月ならしてゼロ%以上となる、2)再びマイナスとなると見込まれない。具体的には、政策委員の多くが見通し期間においてコアCPI前年比がゼロ%を超える見通しを有していることが必要、3)経済・物価情勢によっては量的緩和を継続することが適当と判断する場合も考えられる――。中原委員が第3の条件で言及した「再びデフレに戻ることがないような情勢の見極め」は第2の条件に含まれる、と考えるのが自然のはず。
第3の条件は例外規定にすぎないので、第1、第2の条件が満たされれば量的緩和は粛々と解除すべき、という声が日銀内で強まっていることに対し、ハト派を任ずる中原委員は危機感を強めている様子。第3の条件を云々するのも、政策委員会内の空気が出口に向けて流れ始めていることの裏返しだろう。
政策委員会のなかで意見がまとまっていない最たるものは、中原委員の言うように、量的緩和解除後にゼロ金利をどれくらい続けるか、という点だ。日銀内には、量的緩和解除の数カ月以内に0.25%の利上げを行う覚悟もないのに解除に踏み切るはずがない、という声がある一方で、インフレになる可能性は小さいので、来年春に量的緩和を解除しても最低6カ月はゼロ金利を続けることができる、という声もある。後者の立場を取るある日銀幹部は次のように話す。
1%物価上昇見込めてようやく0.25%利上げ
潜在成長率が1%として、先行き1%の物価上昇が見込めれば、実質均衡金利(=中立的な金利)は2%なので、さすがにゼロ金利ではまずい。しかし、先行き0.5%の物価上昇しか見込めないなら、ゼロ金利を当分据え置いても何ら問題はない――。06年度のコアCPI前年比は、10月末の展望リポートで上方修正されてもせいぜい0.5%。これではゼロ金利解除の展望は開けない。
07年度のコアCPI見通しが公表される来年4月末の展望リポート。ここで、1%程度の物価上昇を見通せてようやく、06年度後半に0.25%の利上げが1回、というのがこの幹部の見立てだ。これに対して、いずれ来るであろう次の景気後退局面に備えて、政策対応手段を確保するためにも、できるだけ早く現在の超金融緩和から脱しておきたい、という考え方が対立している格好だ。
福井俊彦総裁が量的緩和解除後のゼロ金利の期間について「まったくのオープンクエスチョン」(9月8日会見)としているのも、単に政治的な配慮だけでなく、日銀内で意見がまとまっていないことの反映だろう。「量的緩和の出口がいつになるのか、予断を持って臨むべきではないが、残された時間で、この辺についての十分な分析と検討と意見集約が必要ではないか」(中原委員)。残された時間が短いのだとすれば、なおさらその必要性は高まってくる。
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記事に関する記者への問い合わせ先:
横浜市 日高正裕 Masahiro Hidaka mhidaka@bloomberg.net