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金融ヒット商品を追う(2)国際投信、毎月分配型投信――高齢者の口コミで拡大。
国際投信投資顧問が運用する投資信託「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型、略称グロソブ)」の人気が衰えず、七月末の残高は四兆五千億円を突破した。株安、長引く低金利という運用難の二大要素が毎月分配金を受け取れるという投信業界では考えられなかった金融商品を生み出した。
「このままでは生き残れない」。一九九七年夏、国際投信本社ビルでは山内一三取締役(当時)が連日のように部下を集め、新商品について議論した。焦りの背景には一つの数字があった。株式投信の全体残高が十兆円を割ったのだ。
「株ではだめだ」。山内チームが導き出した答えは「外国債券、毎月分配、銀行窓販」の三点セット。毎月分配は利益再投資型の投信に比べ運用効率が悪いとの批判があったが、「資産拡大ではなく、利息収入狙いにしよう」と毎月分配に社運を懸けた。
外貨建て債券の利息収入や売却益などの原資から分配金を毎月顧客に還元する。銀行の普通預金金利が年〇・一%以下なのに対し、購入金額一万円当たり月四十円(七月末現在)の分配金。利息が多いか少ないかに敏感な高齢者の口コミで残高は徐々に拡大した。
だが投信業界の風当たりは強かった。「たこ足配当だ」「元本割れなのに分配するのはおかしい」などの批判に当惑した顧客が販売会社に駆け込む場面もあった。それでも残高が増え続けると、同じような仕組みの投信を設定する運用会社が相次いだ。残高という厳然たる数値が国際投信の勝利宣言だった。
「商品の分かりやすさなら負けない」。グロソブの対抗馬であるニッセイアセットマネジメントの「ニッセイ/パトナムインカムオープン」も残高一兆円を誇る。グロソブをまねた商品が増えるなか、あえて違いを打ち出す。
分配は三カ月ごと。分配原資は利息収入に限定し、「元本を食って配当しているとの批判を回避した」(安永哲次・投資信託営業室営業部長)。投資対象は顧客になじみのある米ドル建ての債券とし、説明しやすさを優先した商品設計にした。
定期分配型は情報開示の頻度も高い。国際投信は年二千百回、ニッセイアセットも年千五百回の顧客・販社向けセミナーを開いている。こうした「運用会社と投資家の距離を縮める努力」が残高増につながっている。
【図・写真】国際投信投資顧問は販社向け研修に力を入れる