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インカムゲイン経済構築の す す め
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投稿者 hou 日時 2005 年 9 月 24 日 21:19:41: HWYlsG4gs5FRk
 

http://www.nihonkaigaku.org/ham/eacoex/100econ/130devp/131cntr/131cntr.html

インカムゲイン主体の経済
 バブル経済崩壊による負の遺産からの脱却については、専ら金融機関の抱える不良債権の早期解消が説かれている。
 これは、経済活動に必要な資金の円滑な供給にとって不可欠な事項である。
 しかし、バブル経済崩壊時に残った不良債権ばかりでなく、株価の下落の中で、金融機関の資産は一層減少しており、その健全化は見通しのないものなっている。
 現在、株式の所有については、その配当によるインカムゲインより、株価の変動によるキャピタルゲインが期待されている。
 キャピタルゲインについては、先物取引などに見られるように変動への手当て(ヘッジ)としての価値があるなど資本主義社会を駆動するための潤滑油であるが、根源的な価値を産んでいる訳ではない。多くの人がキャピタルゲインのために時間を費やす経済は極めて脆弱なものといえよう。
 特に、成長経済が期待されない経済状況の下ではキャピタルゲインは縮小せざるを得ない。「資産デフレ」によって求められている構造改革の本質として、インカムゲインを主体とした経済への移行は不可避であろう。
 また、国際資本市場での資本の暴走を抑制する国際的規範の形成なども求められるが、課題が大きすぎるのでここでは、指摘のみとしておく。
 この考えには、異論も多いと思われる。念のため記しておくが、ここでは倫理観を問うているのでなく、経済システムとしての可能性を問うている。個々人の経済的利益を求めた行動が、経済全体として価値が否定的な場合には、それを抑制するシステムが必要であろう。このような主張は、現下の経済情勢の中では、凡そ反対方向を向いたものとされよう。しかし、新しい経済構造を勘案した場合、こうした変革を受け入れていくことこそ、長期的な方向となるのではなかろうか。

 インカムゲインによる評価を超えた資産価値が解消されざるを得ないものすれば、既存の金融機関が耐えれるものかどうかの懸念がぬぐえない。金融機関による単純な会計事務部門は情報システムの活用等により最小限の人員で低コストに実現されよう。間接金融等の部門は、その能力を最大限に発揮し事業展開していく必要があり、この限界で金融機関自体の規模が決まってくる。しかし、高度経済成長時代に、各金融機関の中で、この能力が培われてこなかったきらいがある。このため、既存金融機関の組織の大改革が求められていることは間違いない。
 直接金融の比重を増し、既存金融機関の役割を代替しいくとの議論もあるが、資金調達の迅速性などから間接金融を解消できるわけではない。



 資産デフレあるいはキャピタルゲインの解消に伴う、構造改革は、単に金融機関だけでなく、社会経済の多くの側面に求められている。
 土地利用のあり方の再構築も重要な課題であろう。
 これまで、水準の高い地価あるいはキャピタルゲイン期待の土地取引が適正な土地利用の実現を妨げてきたという議論がある。しかし、逆に、土地価格の低下は、一層不合理な土地利用を許容するようになり、際限のない都市の拡散をもたらす可能性もある。
 適正な土地利用の実現等に着実な努力が求められており、必要不可欠な規制を透明に確実に展開していく必要があろう。

経済的拡大から文化的深耕へ
 以上のように、消費デフレ、輸入デフレ、資産デフレといった経済の低迷をもたらす状況の解消が求められているが、これらのデフレは受け入れていかざるを得ない側面も強い。
 デフレを受け入れることを主張するのは、現実の経済を知らない者とも非難されよう。
 確かに、デフレを受け入れていくには、経済構造の大転換が必要であり、多くの障害を乗り越えて始めて実現できるものであろう。しかし、長期的には、個々の変動を受け入れる方向に進んでいくことは間違いないと考えられる。
 これに対して、現在の景気浮揚を狙った諸施策には、現在の経済構造を守ることを念頭に置きすぎた誤ったものが多いのではなかろうか。

 少なくとも、アジア諸国が経済的離陸を遂げつつある中で、日本がいつまでもアジアの物的生産基地であり続けることはできず、順次その場を明け渡していくべきことは事実であろう。また、地球温暖化が進む中で、いつまでも過剰消費を続けることができないことも事実であろう。そしてこれに対応していくためのシナリオを想定する必要がある。


 さらに、知的生産などだけで日本経済が持つわけではない。市場競争に打ち勝ち高い所得を得ていく産業がある一方で、地域に必要な様々なサービスを提供するとともに所得が循環していく産業の形成も欠かせない。

 以上のように、物的拡大を中核に置いた経済構造の転換の必要性が認められるとしても、それが社会の動きとなっていくためには、それに変わる方向性が社会で共有される必要がある。
 ここでは、その内容まで論じることはできないが、私見では、文化を深く掘る方向へと転換していくことではなかろうか。

 いずれにしろ、新たな経済社会像をしっかりとイメージし、それに向かって各自がしっかりと生きる(努力する)ことこそ大事であろう。


 ただし、実態としては、バブル経済の崩壊による経済活動の停滞とともに、文化的活動も停滞しているようである。
 なお、勉強の行動者率が伸びているのは、情報技術に関するものであり、この年には、IT講習会などが盛んに行われている。

 さらに私見を述べれば、地域に多様な文化的活動があって、さらに皆が熱中し地域のアイデンティティとなるようなものがあると幸いである。
 ただし、これが、誰かの手によって権力的に形成されるのでは興ざめである。
 地域の住民それぞれが多様な活動を行い、それが、各自が発信するインターネットホームページによって知ることができるようになり、地域なりに文化活動の饗宴が催されていく、その中で、秀でたもの、より多くの人が熱中するものが地域の特色として自ずと意識されていくというシナリオが望まれる。
 これは、地域に住む各人が、各人なりに果たしていく役割であり、評論に留めるものではない。


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