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小泉純一郎はブッシュと財務省の「二重刺客」 No.76【2005年9月24日】
http://www.chibalab.com/news_otoshiana/documents/050924.htm
■ 小泉内閣財政再建シナリオ カギは歳出削減加速
増税路線へ 財務省、与党圧勝追い風に強気
第3次小泉内閣が郵政民営化法案の成立を手中にする中、経済政策の最大の課題は財政再建となる。衆院選の自民圧勝で築いた強力な政権基盤のもと、小泉政権は「聖域なき歳出削減」を加速、消費税率引き上げを視野に入れた「増税路線」への地ならしを進める構えだ。
「選挙を通じて政権の求心力を取り戻せた。予算編成作業にとって追い風となり、足場が非常に固まった」。22日の財務省・主計官会議の冒頭、谷垣財務相は具体化作業が本格化する18年度予算編成での「徹底した歳出削減」に自信を見せた。(中略)
小泉純一郎首相と「蜜月関係」といわれる財務省。徹底した歳出削減をするにしても増税をするにしても強力な政権は追い風となるだけに、今回の圧勝は「千載一遇のチャンス」というわけだ。
財務省は歳出削減に関して、過去に族議員の跋扈(ばっこ)や省庁の抵抗で辛酸をなめてきた。17年度予算編成では、採算が疑問視された北海道、北陸、九州の整備新幹線への予算配分を余儀なくされ、削減を目指した地方交付税では、地方への配分ベースに切り込めなかった。社会保障制度の抜本見直しや、国が公立中学校の教職員給与の半額を負担している義務教育費国庫負担金の税財源8500億円を地方に移すかどうかも先送りされた。
だが、衆院選圧勝で権限が強まった小泉首相がバックに控える財務省は今度ばかりは族議員や省庁の抵抗を封じ込められるとみているようだ。
次に浮上するのが消費税率の引き上げ幅とその時期。財務省のある幹部は、2年後の参院選と4年後の衆院選の間に現行の5%から2けたに引き上げ−といったシナリオを描く。そこには消費税率引き上げが選挙の争点になって慎重論が台頭してくるのを避けたいとの思惑が見え隠れする。 (産経新聞)
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(貼り付け終了)
■小泉首相と財務省の「蜜月関係」
小泉首相は、「蜜月関係」といわれる財務省の言いなりになって、相変わらず、言われなき「財政再建」と弱い者いじめの「増税路線」に走るようである。バブル崩壊後、担保にしている土地の資産価格が暴落したために、大企業も中小企業も、健全経営のためのバランスシートが、メチャクチャというか最悪の状態に陥ってしまった。
その結果として、すべての企業は設備投資ではなく、返済に動き始めたのである。企業が利益の最大化ではなく、財務の健全化に向かって雪崩れ込むように軸足を移してしまうと、その瞬間から世の中の総需要が大きく落ち込む流れになってしまう。民間や企業が債務の最小化に走ると、民間の資金需要が突然消滅してしまう。
もちろん中央銀行が慌てて金利を引き下げることになるが、民間企業のほうは、すでに返済モードに入ってしまっているので、金利がどんなに下がろうとも、振り向きもしなくなっている。こうなってしまうと、御用学者の多いマネタリストの唱える金融政策は、一切無意味になってしまっている。このことを、ケインズも「流動性の罠」といって一応言及しているが、どうして急にすべてがおかしくなってしまったのかについては触れていない。
ようするに、大小を問わず、すべての民間企業の資産価値がバブル崩壊で暴落したために、企業の基本である利益の最大化ではなく、バランスシート回復のための、借金返済を最優先にしてしまったわけである。その結果として、私たち国民の貯蓄率の高いお金が、市場で必要とされなくなって、誰も借りない悪循環のデフレ不況になってしまったのである。
そうなると、さらに資産価格が下がる。資産価格が下がると、企業はさらに借金返済を急ぐことになり、経済はさらに縮小していく。これがデフレスパイラルの悪循環であり、どんなに金利が下がろうとも、誰もお金を借りようとはしなくなってしまう。このような世界的に奇妙な状態が、日本では10年以上も続いている。これを立て直せるのは、唯一政府による「財政政策」しかないのに、ほとんどのメディアは「財政政策」をまるで魔女狩りのように攻撃している。
デフレ化で財政再建に走るのはまちがっていると唱えたまっとうなエコノミスト、植草一秀氏やリチャード・クー氏等は、最近はほとんど主要マスコミでは姿を見ることができない。植草氏に至っては、手鏡スキャンダル等で、たぶん公安という「刺客」に嵌められて、メディア界から追放除されてしまっているながれである。
■バブル後のバランスシート不況と財務省の財政危機プロパガンダ
総選挙の圧勝後、さっそく「緊縮財政政策」の片鱗を見せ始めた小泉純一郎の背後には、財務省が暗躍している。現財務省は、1998年に大蔵省がノーパン・しゃぶしゃぶ等の不祥事で分割され、一時威光を失っていたけれど、財政赤字の存在を強調するプロパガンダをマスコミ等を巻き込んで演出することで、最近は権威を再び回復することに成功した流れである。財務省が配っている何百万枚のパンフレットは、「今日の巨額な財政赤字は、明日の巨大な増税となる」と、明らかな脅しを高々と謳っている。
なにしろ日本では、財政政策の大部分までもが、民主的な過程とはなんら関係ないところで決められている。こうした流れは何十年も遡る昔から、教育と規律の行き届いた官僚の方が、選挙で選ばれる政治家よりも、予算の割りふりをうまくやってくれるだろうという前提のもとに決められてきた。
実際に当時の大蔵官僚は、「日本の政治家がやっているのは無意味なパフォーマンスだけで、重要なことは、すべて我われが決めている」といって憚らなかったのは、その筋ではもはや有名な話である。
ようするに、簡単に云ってしまえば、財務官僚は、国民に選ばれたわけでもないのに、民主主義的な選挙で選ばれた政治家の意向を、いとも簡単にコントロールできるのである。予算の握っているのはあくまで財務官僚である彼らであって、小泉総理大臣を含め誰であれ、何かをしたければ、まず財務省に取り入らねばならないのだ。つまり、そういうことなのである。
「財務省」が、その「威厳」とその「権力」を我が物にする最も手っ取り早い方法は、経済にうとい国民や小泉首相や政治家や等に、財政赤字を悪いことのように吹き込めばいいのである。それに成功してしまえば、すべての大臣や政治家は予算がほしいわけだから、財務官僚である彼らを「神」のように崇めざるを得なくなる。もちろん、小泉純一郎も例外ではない。
まあ、そんなわけで、当分は財務省の言いなりになって、「緊縮財政政策」が続く流れである。でもよい兆候もある。小泉の首相の解散と同時にはじまった株価の上昇は、このまま本格的な日本株上昇の流れになりそうである。
もちろん最初は作為的な買いであった筈なのだが、それが呼び水となって、何処にも行き場のなくなった大量の資金が、割安の株式に向かい始めたようである。この流れがうまくいけば、マスコミが語るウソの経済性回復宣言とは無関係に、本当に実体経済も拡大する可能性が出てくる。
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
★デフレとバランスシート不況の経済学 リチャード・クー (徳間書店 2003)