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外資ゴルフ場、回収期 上場益狙い、着々と再生
クラブハウスの1階は、ほぼ全面がゴルフショップに改造され、プロによるゴルフクラブ診断も目玉になっている=千葉県袖ケ浦市の東京湾CCで
経営不振に陥り、外資系の金融機関やファンドに買収された国内のゴルフ場の業績が好転している。大規模なコース改修や料金割引、量販店並みの格安ゴルフショップの併設などで客足が戻ってきた。90カ所以上を傘下に収めて日本で1、2位の規模の外資系2社は、今年から来年にかけて東京証券取引所に上場し、1千億円超の投資資金を回収する準備を進めている。ゴルフ場再生ビジネスは、いよいよ投資回収期に入った。(奥寺淳)
●「早朝割引」戻った客足
午前4時過ぎ、日の出とともに8組のゴルファーが次々とティーショットを放った。04年に米ゴールドマン・サックス証券(GS)が買収した千葉県袖ケ浦市の東京湾カントリークラブ(CC)。この夏、週末の早朝に繰り返された光景だ。
今春から土曜日と日曜日、祝日に始めた「早朝プレー」は、昼食付きで1万5千円以内。休日の通常料金より約5千円安く、平均すると1日35人前後が集まった。
午前7時に一般客がプレーを始めるまでに半分を終え、休憩なしで18ホールを回る。「午前9時半にはプレー終了。早めの昼食を取り11時には帰路につける。午後には家族サービスもできるしね」と、体験した客には好評だ。
東京湾CCは今年、新型乗用カート30台を約2500万円かけて導入。カート道も整備した。芝を整備する機械を新調してグリーンも張り替えた。東京湾CCを所有していた緑営グループが03年に破綻(はたん)し、GS傘下になってからの変化だ。
GSは、温泉旅館再生も手がける戦略投資部が中心となり、01年から破綻ゴルフ場の買収に着手した。日東興業を皮切りに次々と取得。05年末には、内定分を含め92コースを傘下に収める予定だ。取得総額は1千億円前後にのぼる。
買収したゴルフ場は、GSが設立した運営会社「アコーディア・ゴルフ」が一括経営。これまでにコースやクラブハウス改修などに約200億円を新たに投じた。
●大量仕入れで格安売店
クラブハウス内のゴルフショップも様変わりした。以前はボールや手袋を買い足す程度の小さな店構えだったが、今は1階ホールのほぼ全体を占めるゴルフ場が増えた。グループで一括仕入れするため、価格も量販店並みの安さだ。店のゴルフクラブを実際に1日使ってみて、気に入れば購入できるゴルフ場ならではの売り方も始めた。
レストラン経営も共通化し、和定食やめん類、カレーライス中心のメニューは毎月変更。会員以外の客を増やした分、「ゆったりとプレーできない」との不満が一部にあるが、04年の入場者数と売上高は02年より約2割増え、ショップの売上高は2〜3倍になった。
米投資ファンドのローンスターもすでに1千億円超を投じ、破綻した地産やエスティティ開発などを買収。年内に92コース、会員23万人を傘下に収め、GSと並ぶ国内最大勢力となる見通しだ。
かつて接待でにぎわったゴルフ場は、バブルの崩壊とともに客が減少。帝国データバンクによると、ゴルフ場の倒産は00年以降で約470件に達し、負債総額は9兆3千億円に達した。
GSとローンスターは、数十億〜100億円以上かけて造成されたゴルフ場を1カ所平均10億円弱で入手。会員にはプレー権の確保を約束するかわりに、巨額の預託金の大半を放棄してもらい、借金負担を軽くして経営を引き継いだ。
●若い層の取り込みカギ
最近はゴルフ場の大型倒産が減り、オリックスなどの国内勢や韓国企業もゴルフ場取得に本腰を入れているため、「ゴルフ場の価格が高騰している」(GS)という。
すでに規模のメリットを享受できるだけのゴルフ場を手に入れた両グループは、投資資金の回収に軸足を移し始めた。
GSは4月、アコーディア内に上場準備室を設置。来年後半以降に、東京証券取引所へ上場させる意向だ。コスト削減と積極投資を進めたアコーディアの今年の売上高は500億円超、営業利益が80億円前後になる見込みで、GSは「上場益だけでも十分に投資資金が回収できる」とみている。
ローンスターのゴルフ場運営会社パシフィックゴルフマネージメント(PGM)は早ければ年内の東証1部上場を目指す。ただ、ゴルフ場運営専業会社の上場は国内では例がなく、株価や時価総額がいくらになるかは未知数だ。PGMの草深多計志取締役は「安定的に成長できる産業であることを投資家に説明できるかがカギ」と話す。
国内のゴルフ場会員の平均年齢は59歳とされ、高齢化が進む。20〜40代をいかに取り込むかが業界共通の課題だ。
アコーディアは7月から40歳未満を対象に、年会費3150円を払えば、関東のゴルフ場9カ所で土日でも最大5割引きの6千円からプレーができる制度を開始。PGMは今秋から会員が転勤する場合、同クラスの転勤先のゴルフ場に所属を変更できる仕組みを導入するなど、上場を前に顧客を囲い込むためのサービスを始めている。
◇ ◇
◆主なゴルフ場運営会社の大型倒産と譲渡先
運営会社 ゴルフ場数 負債総額(億円) 譲渡先
スポーツ振興 30 2100 GS
日東興業グループ 30 4270 GS
地 産 16 3200 ローンスター
太平洋観光開発 3 1160 ローンスター
エスティティ開発 11 4920 ローンスター
緑営グループ 20 3110 GS
大洋緑化グループ 14 1800 ローンスター
日本ゴルフ振興 28 3600 ローンスター
(注)ゴルフ場の数は倒産時点
http://www.asahi.com/paper/business.html