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http://mbs.jp/voice/special/200504/0418_1.shtml
シリーズ「闇の正体」。
今回は、大阪市が進める手厚い福利厚生費の削減の“闇”に迫ります。
国会でも取り上げられた、年収1,400万円という市バス運転手の存在。
VOICEの取材班は、高額の給料を可能にする背景に、膨大な残業手当を生み出す運行ダイヤの無駄があることを突き止めました。
<麻生太郎総務大臣・国会発言>
「高額年収といわれる方々の中で、バスの運転手さん1,400万円とか、ちょっと待ってくれよと言いたくなるものがあるのも事実です」
大臣もあきれた、市バスの運転手の年収。
大阪市交通局の職員に対する厚遇ぶりが、全国に知られるきっかけとなった。
大阪市の隅々を走る地下鉄、ここにもさまざまな手当てが支払われていた。
最も問題とされたのは、高い技能や危険な業務に対して支払われる『特殊勤務手当』だ。
地下鉄の運転士の場合、1日500円から700円。
「ホームにきちんと電車を止めるのには、高度な技術が必要だから」だそうだ。
<乗客>
「当たり前じゃないですか。仕事なんだから、手当てを支払わなくても」
「ちゃんと止めるのは当たり前のこと」
地下鉄もバスも、運転の特殊技能に対する手当は廃止となった。
しかしそれでも、年収にすれば20万円ほどのカットにすぎない。
運転手の高収入の要因は、もっと別のところにあった。
<市バスの運転手>
「きょうも定時に帰って、子どもと遊ぶとか、そういう時間つくりたい。でも、残業がダイヤについてる。超過勤務が100分とか110分」
市バスの運転手の勤務は、『運行指標』というダイヤ表で決められている。
基本は、昼食や休憩を除く、7時間45分勤務だが、だいたい1日に1時間半から2時間の超過勤務が盛り込まれている。
中には、休日出勤や超過勤務を、買って出る運転手もいるという。
<市バスの運転手>
「そういう人らは『強手(=こわいて、休日出勤や超勤を好む運転手)』ゆうて、“仕事する人”なんよ。子ども4人おるとか、家買って大変やとか、絶対公休出勤、オレやるからと。ほんまに必死」
<大阪市交通局・益英之職員課長>
「いちばん上の人で、今、1,330万円台ですね。本給が高くなると公休労働は3割5分増しになるので、超勤代が300万ぐらい発生するケースがあります」
サラリーマンの平均年収が450万円の今、大阪市バスの運転手の平均は830万円、6人にひとりが年収1,000万円を超える。
現在、給与は一律3%カットになっているが、その埋め合わせのために、労働組合が超過勤務のあるダイヤを勝ちとっている、という声もある。
<市バスの運転手>
「(組合が)“超勤ようけついてるやろ。取ってきてやったぞ”と。強制残業つくらなあかんと。組合がいいことしているみたいに“無理に超勤のあるダイヤをとってきた”と言う」
組合側は、完全否定する。
<大阪交通労働組合・中村義男書記長>
「突発的な事情がない限り、超勤はしない。組合が超勤を求めるはずがない」
交通局では現在、運転手の新規採用をやめているが、その分、現役運転手の超勤が増えていると説明する。
<大阪市交通局・藤本俊明運輸課長代理>
「所定の労働時間に運行ダイヤをピシッとはめこむのは難しい。かといって所定時間内に終わらせると、経営面から非効率になる」
(Q.わざと超勤の出るダイヤをつくって、運転手さんの生活を保障することは?)
「それはございません」
では、本当にダイヤの無駄はないのだろうか。
朝5時半の住吉車庫。回送のバスが次々と出てくる。バスの後を追いかけてみる。
西に走ること、およそ15分。住之江車庫の中のバスターミナルに入っていった。
実は、ここが始発なのである。
なぜ、わざわざ住吉車庫から毎朝、カラの回送車を走らせる必要があるのか。
3年前、交通局は、5年計画の経営改革をスタートした。
人件費削減のために打ち出したのが、バスの営業所の外部委託である。
大阪市営バスには、11か所の営業所がある。
そのうち、住之江など2か所が『大阪運輸振興』という会社に外部委託された。
運輸振興が管理する住之江車庫は、赤バスなどの不採算路線専用と決めたため、乗客の多いメインのバスは、住之江を車庫にできない。
そこで、毎日、始発は住之江なのに、住吉車庫から通う無駄を繰り返している。
住吉から住之江方面にむかう回送は、1日におよそ70本。回送に要する時間を20分で計算すると、往復で考えれば1日に、のべ47時間、1か月で1,400時間の余分な超過勤務が発生していることになる。
<大阪市交通局・藤本俊明運輸課長代理>
「回送のロスについては、委託によるコスト縮減で十分吸収できる範囲のものと認識しております」
それではコストを削減した意味がないではないか。
大阪市では、委託先を外郭団体の『大阪運輸振興』に限定してきた。
大阪市と労働組合が仲良く出資する、全国でも珍しい第三セクターで、社員の93%、510人が市のOBという会社だ。
<大阪市交通局・岡橋和成経営改善担当課長>
「市バスのOBの運転手を活用できる外郭団体に委託するのが、適当と判断した」
第三セクターについて、総務省の委員をしていたこともある民間調査機関のアナリストもこう語る。
<東京商工リサーチ・荒谷紘毅情報事業本部長>
「市民の目から見ると、行政と労組がお互いの利権を守るために癒着している、というふうにしか映らないのでは。外郭団体の役割は、もう時代的に終わっているんですよ」
確かに契約運転手の年収は交通局の半分程度に抑えられている。
しかし、この表向きのコスト削減は、単なるカモフラージュではなかったのか。
<市バスの運転手>
「“おまえらをクビにはせん、守ったる”と組合が言う。安い給料の契約運転手を人身御供にせなあかん。高い給料の運転手減らして、そのかわり運輸振興で安い給料の運転手を走らしてます、世間的にはそう見せなあかんと」
今年4月、交通局は、あらたにひとつの営業所を大阪運輸振興に委託した。
経費削減の裏側で、OBの再就職先と、現職の待遇確保は着実に進められている