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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050918-00000013-san-bus_all
政府系金融機関 規模縮小・長期融資に重点…独立性維持 生き残りへ悪戦苦闘
民営化に続く構造改革の対象となっている政府系金融機関が、生き残りをかけて悪戦苦闘している。民間機関との競合に加え、国からの赤字補填(ほてん)で成り立っている経営体質が問題視されているのを受け、事業規模を縮小したり、民間が手を出しにくい長期融資に力を入れるなど、独立性を維持しようと懸命だ。ただ、衆院選で自民党が圧勝したことで抜本的な改革は避けられない見通しであり、再編論議は今後、一段と活発化しそうだ。(小雲規生)
◆融資残高144兆
政府系金融機関の問題点の一つが、その規模の大きさだ。住宅金融公庫を含む九つの政府系金融機関でみると、貸出残高は約百四十四兆七千七百億円で、十月に誕生する三菱UFJフィナンシャル・グループ(貸出残高約八十兆千七百億円)の一・八倍に達する。
とくに収益性が高い中小企業向け融資事業では、民間金融機関との間で中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫の競合が目立つ。政府系金融機関は政府から低金利で資金を調達できるため、民間には「政府系が企業に低金利融資を持ち出すことで確実に市場が奪われている」との不満が強い。
また、一部の政府系金融機関では赤字体質も常態化しており、赤字を補填するために国の一般会計から充当される補給金は十六年度で五千三百三十億円。さらに不良債権(リスク管理債権ベース)も合計約八兆二千八百億円あり、今後、新たな国民負担も発生する見通しだ。
◆競合を回避
こうした政府系金融機関をめぐる議論に対し、当事者たちも手を打ち始めた。日本政策投資銀行では貸し出しを環境や防災、新技術開発などの分野に絞り込み、貸出残高をピークだった平成十年度の約十九兆千億円(前身である日本開発銀行と北海道東北開発公庫の合算)から十三兆八千六百億円まで削減。「今後も年間一兆円程度の削減が見込め、民間との競合は減る」と強調する。
一方、中小企業金融公庫は長期資金の融資を積極化させ、十六年度末では期間五年以上の融資の比率が全体の74・8%となった。「民間金融機関は融資の八割以上が五年以下。政府系にしか取れない長期融資のリスクを取って、中小企業を支えている」(経理部)とアピールする。国民生活金融公庫も貸し出し金利の引き上げの結果、収益が改善しており、「補給金の額は大きく減っている」としている。
◆道は険しい?
これらの政府系金融機関のうち、経営規模と補給金の額が圧倒的に大きい住宅金融公庫は、十九年四月に独立行政法人に移行する。残る八機関も十九年度末までに現在の特殊法人形態を見直し、「大胆に統合集約化する」方針が決まっている。一部では、中小企業向けの三金融機関の統合のほか、民営化なども議論されている。
ただ、政府系金融機関側には「同じ中小企業向け金融でも、対象企業や融資額の大きさなどが違い、必要なノウハウも違う。安易に一つにはまとめられない」といった声も根強い。また、「民営化されてしまえば、政府系の特徴である低金利、長期融資ができなくなる」といった反発も多い。各政府系金融機関が対応に懸命なのは、統合などの議論に巻き込まれまいとするためだ。
しかし、衆院選が自民党の圧勝に終わったことから、「官から民」への流れが加速することは確実だ。政府系金融機関の生き残りの道は容易ではないといえそうだ。
(産経新聞) - 9月18日2時34分更新