★阿修羅♪ > 国家破産42 > 338.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
ケインズ自身ともケインジアンとも異なり、現代のケインズ理論の結論によれば、政府支出を増やすことによる景気対策の効果はあまりないということになっている。なぜなら政府支出の増加で増えた人々の所得は、流動性のわなのもとではすべて貨幣のまま持たれてしまうので、消費需要の増加として広がっていくことはないからである。金融政策についても、金融引き締めなどして貨幣供給を減らせばますます不況が悪化するという意味では影響があるが、逆に金融緩和で貨幣供給を増やしても、全部人々がそのまま持ってしまい世の中に出回らないので何の効果もない。つまり旧来のケインジアン以上に深刻な不況の存在を説きながら、新古典派をもしのぐ政策無効命題を導きだしているのである。
ではどうすればいいのか。
現代のケインズ理論の論者がよく唱えているのが、有名なクルーグマンの提唱した「調整インフレ論」である。「インフレターゲット論」というのは、今日の日本の状況におけるこの穏当な呼び名である。これは、中央銀行が何パーセントのインフレを必ず実現するぞと宣言して、それまで金融緩和を続けるというものである。人々にインフレが起こることを確信させることができれば、今安いうちに買った方がトクだということになり、需要が起こってくる。
これを貨幣供給量のコントロールでやることには、はたしてうまくコントロールできるのかという反対も多い。運転を間違えてとんでもないハイパーインフレになったらどうするのかというわけである。
そこで山形浩生やフェルドシュタインは消費税を使う方法を提唱している。実は私も彼らに先立ってそれを唱えていた。私の場合は彼らと異なり最初数年は消費税無税くらいにまで減税することを主張している。そして数年後に必ず今よりも高い税率に上げることを確約するのである。この場合にも、今のうちに買った方がトクだということで、需要が起こってくる。
稲葉振一郎はドーアの議論を紹介して、賃上げを手段に使う方法を提唱している。将来にわたって必ず賃上げが持続すると予想されれば、それは物価水準も上昇するということだから、調整インフレ論と同じ効果が期待される(ただし私は、貨幣供給の同率での増大がないといけないと思う)。この議論を読んだ時思い出したのだが、私が最初にクルーグマンの調整インフレ論を知った時、韓国の経済危機の際の大幅賃金カットが思い浮かんだものだった。あの時このまま切り下げられた水準で賃金が維持されると思っていた者は一人としていなかっただろう。必ず数年後には組合の戦闘性が復活して賃上げがなされると、みなが確信していたはずだ。ということは物価水準も上がることが予想されたわけで、もしかしたらそれが急回復の要因だったかもしれない。
その他、現代のケインズ理論からは、なるべく貨幣で持つことをソンにして支出させる政策が導きだされる。例えば全般的な資産課税で税引後利子率をマイナスにしてしまうなどである。現金は新札切り替えで旧札を無効にし、交換手数料を取ればいい。切り替え期間後には政府が旧札の「本物のニセ札」を大量に印刷して駅前に置いてバラまいて無価値なものにしてしまうのがいい。
http://www.std.mii.kurume-u.ac.jp/~tadasu/
松尾匠のページ
そのための今回の郵政民営化である。350兆のうちの半分を運用にまわすと、竹中経済大臣は提唱している。因みに既存の民間銀行は預金とほぼ同額運用にまわしている。つまり、ビックバンで、運用の焦げ付きを預金で埋めればチャラになる!タンス預金はあてにならないから、株を買え政策である。すっ飛んだ年金401kプランは税制優遇処置が付けられ、ハイリスク・ハイリターンにも関わらず大盛況だった。余剰資金が舞い込んだ企業からは、将来、環境税をせしめる予定である。そのためのISO企業診断会社であり、京都議定書の提案する温暖化対策である。
PFR(株価収益率)が低いという理由で外人買いが入ったが、この値が高くなると売り時期となる。これはデフレとインフレに比例する。
ケインズ理論の本当の本質は流動性選好
借り入れは低い金利に集中し、高い金利で引き締まる。預かり金利は高いと集中する、配当も同じく。株価誘導措置とともに待っているのは、産業再生機構、瑕疵担保制度である。天国と地獄が用意された。