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日本の郵貯=ドイツ州銀行
http://www.jetro.de/j/hp2005all/doko/April-Juni/doko25052005.htm
公的保証が段階的に廃止され、2005年7月半ばからは新規の債務
に対する公的保証が全面的に廃止されることになった。
7月に貯蓄銀行グループに対する公的保証が完全撤廃されるが、ほとんど
の貯蓄銀行では預金残高が貸し出し総額上回っており、その影響は限定的
なようだ。小規模で身近な地元の銀行のメリットを維持しつつ、貯蓄銀行全体
としてコスト削減策に取り組んでいる。
ドイツでは銀行が銀行業務と証券業務を兼営できるユニバーサルバンク・システム
を採用している。ユニバーサルバンクは、民間商業銀行からなる「信用銀行グループ」、
州立銀行や貯蓄銀行からなる「貯蓄銀行グループ」、中小企業や農家向けの協同組
合組織金融機関の「協同組合銀行グループ」のいわゆる三本柱に分けられる。この
うち、公的金融機関である貯蓄銀行グループが金融機関全体の約4分の1、総資産の
約3分の1を占めている。
貯蓄銀行グループは、州政府や地方自治体が所有者であることから、州政府など
が債務などを保証していた。これが民間銀行との公正な競争を阻害しているとの批判
が90年代後半に起こり、2001年7月以降の欧州委員会(競争政策担当)とドイツ当局
との協議により、公的保証が段階的に廃止され、2005年7月半ばからは新規の債務
に対する公的保証が全面的に廃止されることになった。
2005年7月の公的保証の完全廃止を前に、その影響、事業戦略・課題などについて
ドイツ貯蓄銀行協会(DSGV)経済・金融市場部門長のシュタインパス氏に聞いた。
<貯蓄銀行では影響軽微、州立銀行では格下げも予想>
同氏によれば、保証廃止の影響の大きさは、貯蓄銀行と州立銀行で異なる。約95%
の貯蓄銀行では預金の受け入れが貸出しを上回っており、資金の外部調達の必要が
なく、公的保証廃止の影響はほとんどない。
一方、州立銀行は、これまで公的保証を背景に最高レベルの格付け(「AAA」など)を
得ていたが、7月以降はこれが引き下げられる。各州立銀行は、2001年の保証廃止
決定後、健全性維持のため、株式会社化、人員削減、他の州立銀行との提携などの
対応策を講じている。例えば2002年8月に株式会社したWestLB(ノルトライン・ヴェスト
ファーレン州立銀行)は、格付け機関スタンダード・アンド・プア−ズ(S&P)により一時
「BBB+」(注)と格付けされたが、「A-」まで引き上げることに成功している。
<経営健全化の努力実る>
ドイツの金融界は収益性が低く、公的機関として収益を上げる必要がない貯蓄銀行
が民間商業銀行の収益を引き下げているとの見方があるが、同氏はこの指摘は誤り
としている。2004年の貯蓄銀行全体の純利益は、不良債権処理費用の低下などに
より前年から44%増加し、23億ユーロに上り、自己資本利益率(ROE)は10%となった。
なお、ROEの目標を15%としている。不良債権処理費用の低下は、これまで進めてきた
リスク管理の進展によるものであり、今後とも業績は改善していくという。
また、銀行の数が多すぎるといわれるが、貯蓄銀行グループは2004年に15行減少
(2003年の504行から2004年は489行に)し、統廃合が進んでいる。この動きについて
同氏は、統廃合は、収益性を高める一つの方法だが、貯蓄銀行の強みは顧客との
緊密な接触であり、むやみに銀行が合併して顧客との距離が離れることは避けなけれ
ばならないという。貯蓄銀行協会として各行の統合に向けた計画を用意するわけでは
なく、個別銀行への指導も行わないという。
<各行の独立性を重視しつつ、コスト削減は全体で>
貯蓄銀行は、各行が独立し、規模も小さく地元と密着しているため、意思決定が早く、
また顧客ニーズに素早く対応できることが強みだ。他方、貯蓄銀行グループとしてみれ
ば世界最大級の銀行である。その規模を生かし、「シュパーカッセ」という統一したブラ
ンド、赤い「S」のロゴ・マークを用い、顧客からは一つの銀行として見えるようにし、
貯蓄銀行全体でのバックオフィス業務や情報処理システムの統合などを実施している。
弱点としては、「各行の営業エリアが狭く、地域の景気などに業績が左右されやすい
ことだ」と同氏は指摘する。これについては、引き続き個別銀行のリスク管理の改善を
図るとともに、個々の銀行が抱えるリスクを全体としてプールし、分散するように取り
組んでいるという。
(注)S&Pの格付けでは、BBB以上が投資適格とされる。
(清水茂夫)