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野村、1090万人の「団塊の世代」を標的−退職金の受け皿で投信を強化 (ブルームバーグ)
2005年9月6日(火)11時10分
９月６日（ブルームバーグ）：野村ホールディングスが約1090万人にのぼ
る、いわゆる「団塊の世代」に的を絞った戦略の強化に乗り出した。その第一弾
として、東京・神奈川を拠点とする第２地銀の八千代銀行で９月から専用の投資
信託の販売を開始した。今後、数年で受け取る退職金が総額で80兆円にのぼる
といわれる団塊の世代を新たな投資家層として取り込む狙いだ。
団塊の世代とは、1947−49年の第一次ベビーブームに生まれ、現在50歳
代後半の人たち。野村アセットマネジメントの柴田拓美社長はブルームバーグ・
ニュースとのインタビューで、2007年から５年程度で退職金を手にする団塊の
世代に対して幅広く、投信を中心した資産運用商品の販売を強化していく方針を
明らかにした。
個人金融資産は現預金が55％、米では13％
柴田社長は「団塊の世代がようやく大金を手にしようとしている」と指摘す
る。そのうえで「退職金・年金もしっかりもらえる彼らは資金的な余裕が大きい。
そのお金をスーパーマーケットではなく、資本市場に投入することを大いに期待
している」という。
日本では個人金融資産の獲得をめぐり、野村のほか、大和証券グループ本社、
日興コーディアルグループの大手証券と、大手銀行やオンライン専業証券がしの
ぎを削っている。日本では個人金融資産の55％を現金・預貯金が占めているが、
今後、資本市場に対する意識の高まりなどで証券投資に回る余地が大きいとみて
いる。米国の個人金融資産では現金・預貯金の比率が13％の一方で、証券投資は
54％と高い。
八千代銀行は、野村アセットから主な購入層として団塊の世代を想定した投
資信託の提供を受け、９月１日から運用と窓口での販売を開始した。営業企画
部・商品開発課の高橋正実課長によれば、８月の募集で約38億円の資金を集め
て設定したこの投信は、販売開始から３日間で２億1500万円を販売。「安定し
た運用を期待して預金などから移し換える50−60歳代の顧客が多い」という。
主要地銀にも販売先を拡大へ
この投信は世界の債券に７割、株式に２割、不動産に１割を投資するもので、
毎月、債券金利などからの分配金があるほか、運用成績が高かった場合は年２回
の特別配当もある。八千代銀の高橋課長は「現状なら最低でも年2.4％程度の利
回りは確保できそうだ」とみており、「長期保有で安定的に運用したいという投
信購入の初心者に薦めている」という。
野村側は運用資産残高に対して年間で1.155％の信託報酬を手にすること
ができるほか、銀行などに販売額の2.1％が手数料として入る。野村アセットで
は八千代銀を団塊の世代向け投信の地銀販売のパイロットケースと位置づけ、今
後は「まず10行程度の主要地銀にも販売先を拡大していきたい」（野村アセッ
トの後藤公一執行役）としている。
野村では、エコノミスト、営業員、ファンドマネージャーら10人で構成す
る「団塊の世代プロジェクトチーム」の会合を毎週火曜日に開き、１人当たりの
平均で1180万円の退職金（一時金）と、1140万円の年金を手にするこの世代
をどのように取り込むべきか戦略を話し合っている。プロジェクトリーダーであ
る後藤執行役は、現金として団塊の世代が手にする80兆円の10％程度を、野村
として獲得したいという。
トヨタやＪＴＢも標的に
他の証券会社も団塊の世代を標的としている。日興では、顧客が複数の投信
の組み合わせなどにより運用を証券会社に任せるラップ口座の最低預け入れ金額
を、業界平均の3000万円より低い1000万円に設定。まとまった資金を運用す
る可能性のある団塊の世代を意識して間口を広げている。一方、大和でも投資セ
ミナー開催やパンフレットの配布などで取り込もうとしている。
製造業やサービス業も例外ではない。トヨタ自動車は北米市場で高級車ブ
ランドとして定着した「レクサス」を逆輸入し、日本国内でも８月末から販売を
開始した。狙いは富裕層に加え、団塊の世代である。トヨタでは06年に年間５
万−６万台を販売するとの目標をたてている。
また、旅行代理店のＪＴＢでも団塊の世代を意識した戦略を強化している。
広報室の三ツ橋明子課長によれば、東京などに在住し、定年退職を迎えた夫妻向
けに、旅行でなく北海道に「移住」することを目的とした商品を提供。時間とお
金の使い方を考え直す機会となる退職者向けに、海外への移住商品や退職後の夫
妻の多様な価値観に応える旅行なども開発中という。
団塊の世代で、都内でタクシー運転をしている貝瀬幸弘さん（58）は退職
金の使い方について「まず、イタリアに１週間以上の旅行に出かけたい。それと
今の車より高級なトヨタ・クラウンのステーションワゴンを買いたい」という。
ただ、証券投資については「えっ？う〜ん、分かりません。バブルの時期に株式
投資で火傷を負った口ですから…」と口が重たくなった。団塊の世代の人たちが
お金をどのように使うのか、間もなく結果が出てくる。
記事に関する記者への問い合わせ先：
東京 平野 和 Kazu Hirano khirano1@bloomberg.net
日向 貴彦 Takahiko Hyuga thyuga@bloomberg.net
http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=06bloomberg33ajE7twCsJ7u0
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。