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イスラエルとロスチャイルドの百年戦争
2005年6月22日 田中 宇
▼シオニズムに反対だが応援するという戦略
これに対してシオニズムは、自分がユダヤ人であることを明言し、
自覚し、イスラエルを建国し、そこに結集しよう、という
主旨の大衆運動である。黒幕に徹して儲けてきた
少数精鋭のユダヤ商人のやり方とは正反対である。
バルフォア宣言当時のイギリスでは、
ユダヤ人有力者の多く(キリスト教徒に改宗した人を含む)は、
黒幕系であるがゆえに、シオニズムに反対だった。
欧州のユダヤ人には、大別すると2種類の系統が存在する。
一つは、16世紀のスペイン帝国の勃興に貢献した後、
オランダ、イギリスへと覇権が移動するとともに、
これらの覇権国に移住し、欧州各国政府の金庫番や知恵袋として
機能した「スファラディ(スペイン系)」(もしくは、そこからキリスト教徒
に改宗した人々)と呼ばれる商人勢力で、
彼らは人口としては数万人から10数万人しかいない。これが黒幕系である。
もう一つは、8世紀に今のウクライナ周辺にあった
「ハザール汗国」がユダヤ教を国教にした関係で、
ユダヤ教徒となった人々の末裔で「アシュケナジ(ドイツ系)」
と呼ばれ、1000万人かそれ以上の人口があり、ほとんどは
貧しい農民で、ロシア革命前までロシアからウクライナにかけて
住んでいた。
シオニズムは、最初に考えたのは
西欧のスファラディ系の知識人だったが、
それを支持した人の多くは
東欧の貧しいアシュケナジ系だった。シオニズムは、
パレスチナにイスラエルを建国する運動へと
発展する中で、貧しいが数の多い
アシュケナジ系の大衆が、ユダヤ人としての意識に目覚め、
少数派の金持ちで
あるスファラディ系の黒幕的なあり方を批判する、
という色彩をとった。シオニズムは、
ユダヤ人社会の中での「革命運動」であった。
だが、革命とは政権(商権)の交代なので、
ビジネスチャンスでもある。戦いがあれば敵同士の両方に賭けておく
ロスチャイルド式の商法からいうと、
シオニズムの革命家も投資の対象ということになる
(実際、ロシア革命には、たくさんのユダヤ人が
先導者として参加していた)。また、政治活動をする者に
とって、大衆に敵視されないようにすることは重要である。
ロスチャイルドがシオニズム運動を支持したのは、妥当な選択だった。
大英帝国は、第一次大戦を機に衰退が明確になるが、
イギリスが衰退しても、
ロスチャイルドやその系列の資本家たちが
世界で儲けることができるようにするために、
英米が中心となる国際社会や国連が作られた。
またイギリスは、自国に近いアメリカを次の覇権国にすべく、
アメリカの資本家を国際社会で儲け
られるように誘った。
欧州のユダヤ商人は、ロスチャイルドの出現以前に、
スペイン帝国からオランダ帝国へ、そしてオランダ帝国から
イギリス帝国へと、何回も覇権の移転を
経験しており、この覇権の移転そのものが、
新規投資対象の開拓の結果だった
可能性がある。
ロスチャイルドの世界支配は、
覇権がイギリスからアメリカに委譲された時点で、
ロスチャイルド家という一族支配から、
ロスチャイルド家によって作られた英米中心の世界体制で儲ける人々の
ネットワーク(「国際エスタブリッシュメント」
あるいは「国際協調派」)へと進化した感がある。
「国際社会」も、その実態は彼らであり、
実際の世界の人々の民意とは、本質的に関係がない。
米英の政府やマスコミも、このネットワークの中の組織であり、
世界の民衆の世論は、米英中心の国際的なマスコミによって、
扇動されている部分がかなりある。イスラエルの建国を制限し、
建国後も国連のパレスチナ分割案などでイスラエルに
制限をかけ続けたのは、この国際エスタブリッシュメントである。
http://tanakanews.com/f0622israel.htm