★阿修羅♪ > 国家破産42 > 208.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
選挙横目に省益確保 06年度予算編成
政府の06年度予算編成で、各省庁の概算要求と税制改正要望が30日ほぼ出そろった。強気の増額要求や、景気対策で導入された優遇税制の継続要望などが目立ち、この日公示された総選挙で一色の「永田町」を横目に、「霞が関」は権益確保に動く。ただ、総選挙後の政権交代の可能性もはらむだけに、「仮置き」の色合いもある。
●削減の流れに抵抗 概算要求
各政策に充てる一般歳出の要求上限は、総額で47兆5430億円。政府の途上国援助(ODA)などの裁量的経費と公共投資関係費では、それぞれの上限額の2割増しまで「要望」を認めたうえで、財務省が上限額以下に削り込む方針だ。
国土交通省は、相次ぐ災害に「防災・減災対策のため公共事業は不可欠」と主張、05年度予算比16%増の6兆8930億円の公共投資関係費を計上した。外務省もODA関連費について、「戦略的拡充は国際公約」と同11・9%増の5463億円を要求し、ここ数年の削減の流れに歯止めをかけようと必死だ。
「選挙だからと言って要求に特別な変化はない」(法務省)という省庁もあるが、重要案件を抱えるところほど、「仮置き」の様相が強い。
総務省は「郵政民営化後の移行経費」に6千万円を計上。廃案になった民営化法案の行方は総選挙の結果次第だが、「首相が民営化の方針を変えていない以上、準備の必要がある」との立場だ。
厚生労働省は、8千億円と見込まれる社会保障関係費の自然増を、概算要求枠(シーリング)に従い2200億円圧縮する必要があるが、具体策は未定だ。柱になるとみられる医療制度改革や診療報酬改定自体が「民主党政権になれば、先送りの可能性もある」(幹部)と不安視する。
国と地方の税財源を見直す三位一体改革では、義務教育費の国庫負担金削減に反発する文部科学省が、満額の2兆5千億円を要求。総務省は削減を前提に特例交付金8500億円を計上し、対立がそのまま持ち込まれた。両省幹部も「政権交代なら改革はどうなるのか」と気をもむ。
●焦点は「投資促進減税」 税制改正要望
税制改正要望では、「省益」を前面に出した項目が目白押しだ。
最大の焦点は経済産業省、総務省などが求める法人税の投資促進減税の延長。企業のIT関連投資額などの一部を法人税額から控除する減税で、03年度から3年間の期限付きで導入され、経産省などは「実質国内総生産の押し上げ効果は減税額の約2倍」と強調する。
財政再建へ増税論議を始めたい財務省は「原則廃止」の方針だが、景気判断とも絡み年末まで綱引きが続きそうだ。
厚労省は「基礎年金の国庫負担率引き上げに必要な財源の確保」を要望する。04年末の政府・与党合意で、個人所得課税の定率減税の半減に伴う増収分の一部が、05年度予算で同財源に充てられた。今年末に残り半分の廃止が決まった場合にも、同様に年金財源に回すことを求めている。
ただ、総選挙では年金の一元化を巡って与野党が真っ向から対立しており、すべては総選挙の結果に委ねられそうだ。
環境省、農林水産省は、地球温暖化対策としてガソリンなどに課税する「環境税」創設を前年に続いて要望した。ガソリン価格の急騰で「新税導入には逆風」(財務省筋)とみられるが、民主党や共産党は同趣旨の新税創設を公約に掲げており、こちらも総選挙の結果が直結しそうだ。
◇ ◇
◆省庁別の06年度予算概算要求額と主な項目
(カッコ内は05年度当初比伸び率%)
厚生労働省21兆5415億円(3.5)
・情報センターの設置などがん対策202億円
総務省18兆1768億円(3.9)
・ユビキタスネットワークの整備促進282億円
国土交通省7兆5488億円(15 )
・地震・津波対策2587億円
文部科学省6兆2746億円( 9.4)
・義務教育環境整備交付金(新規)100億円
農林水産省3兆2996億円(11.2)
・農地保有合理化総合支援事業(新規)100億円
経済産業省9367億円(14.6)
・中小企業基盤技術革新事業(新規)96億円
外務省7955億円(12.5)
・反日感情を踏まえた対中人材・文化交流35億円
法務省6480億円( 4.5)
・日本司法支援センターの設立・運営138億円
内閣府5332億円(17.2)
・沖縄振興や北方対策への取り組み3280億円
警察庁2802億円( 8.8)
・テロの未然防止対策など239億円
環境省2661億円(13.5)
・水俣病公式確認50年で対策の充実強化27億円
内閣官房858億円( 6.8)
・情報収集衛星の打ち上げ関係経費666億円
金融庁227億円(21.7)
・EDINET(有価証券報告書などの電子開示システム)開発費用17億円
◇ ◇
◆主な06年度税制改正要望
◇法人税の投資促進税制延長(経済産業省など)
IT投資額や研究開発費の一部を税額控除
◇環境税の創設(環境省、農林水産省)
農水省は森林整備財源化を要望
◇民間資金を活用した公共施設整備(PFI)事業の非課税措置(法務省、内閣府)
固定資産税など非課税化。法務省は刑務所を想定
◇中越地震の被災者支援(内閣府など)
被災者の家屋建て替えにかかる固定資産税などを減免
◇土地・建物の流通促進税制(国土交通省)
土地・建物の取引時の登録免許税などを軽減する特例措置を延長
http://www.asahi.com/paper/business.html