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【アメリカUSAの今、カード・消費者破綻がじわじわと底から現出している】 米経済に新たな懸念 【矢口 知弥】
http://www.asyura2.com/0505/hasan42/msg/115.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 8 月 23 日 01:07:10: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: JMM [Japan Mail Media]  踊り場を抜けた日本経済の「格差」は今も拡大しつつあるのか? 投稿者 愚民党 日時 2005 年 8 月 23 日 00:54:38)

米経済に新たな懸念 (05/08/16) 矢口 知弥


http://markets.nikkei.co.jp/column/nywatch/

 先週9日、米連邦準備理事会(FRB)は公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利であるフェデラル・ファンド・レートの誘導目標を0.25%引き上げ、3.5%とした。10回連続の引き上げである。引き上げそのものは完全に市場で予想されていたことで特に驚きはなかったが、問題は今後の動きを示唆する声明文である。この1年以上、エコノミスト達はFOMCの度に「次回も0.25%ポイントの引き上げが行なわれるが、声明文には何らかの変化がある」と予想してきた。その「変化」の方向は、利上げペースの加速を示唆するものになるという時もあり、逆に利上げ終了が示されるという時もあった。

 利上げ予想は常に当たったが、声明文の変化予想はみな外れた。声明文は驚くほど毎回同じであり、先週出されたものの中でも、現在の金利が景気に対して刺激的な低水準であり、それに対して連銀は緩やかなペースで修正(利上げ)を行っていくことが繰り返された。金融市場は、堅調な、しかし強すぎない経済成長が続くものとして、おおむねこの結果に満足しているようである。

 しかし、上昇が止まらないエネルギー価格、拡大し続ける双子の赤字、世界の経済成長鈍化など、長期的に見た懸念材料は多い。先週は、これらに労働生産性に関する不安が加わった。

労働生産性、予想上回るも低い水準


 労働生産性は、労働一単位の投入に対してどの程度の生産が得られるかを指数化したものである。具体的には、労働時間に雇用者数を乗じたものが労働投入量に、また実質国内総生産(GDP)が生産高として使用される。労働生産性が向上すれば、同じ労働力でより多くの生産を行なうことが出来るわけである。また時として、労働力を削減しても生産を維持、または拡大することさえ可能にする。「雇用無き経済成長」を作り出すカギとなるものである。連銀の毎回変わらないFOMC声明文でも、低水準の金利と共に生産性の向上が米国経済を支える要因として挙げられている。

 その労働生産性であるが、FOMCと同じ9日に労働省が発表したところによると、第2四半期は前期比年率で2.2%増となり、2.0%程度の成長というエコノミスト達の予想は上回った。第1四半期の3.2%増からは伸び率を鈍化させているが、前期の数字は2.9%増という速報値から上方修正されていることもあって、特に悪いものではないという判断がなされていた。しかし、前年同期比では2.3%とこの1年で最も低い数字になっている。過去5年間の平均は3.2%増であり、そこからも大きく下がっている。

労働生産性の伸びは頭打ちか


 さらに長期的な傾向を見てみよう。四半期ごとに発表されるこの数字は変動が激しい。5年(20四半期)移動平均をグラフにしてみると、1982年第3四半期に伸び率はほぼゼロまで低下していたが、1987年第2四半期には2.4%増まで回復。その後しばらく横ばいとなっていたが、1998年から再び加速し、2003年第3四半期には3.4%増にまでなった。しかしその後はほぼ横ばいで、2005年第2四半期時点では3.2%増である。過去50年を見てみると、1965年第4四半期に4%を越える成長となっているが、それは一時的なもので、四半期ごとの成長率としては3.5%というのが一つの上値になっているように思われる。つまり、これから労働生産性の伸びは鈍化していくのではないかと予想されるのである。

 しかも最近数年間の数字は、過去最高水準にあるとはいうものの、実は想定していたほど高くはない。労働省は先月発表されたGDPの改訂に伴い、過去3年間の労働生産性の数字を改訂したが、2004年度は4%増から3.4%増に、2003年は4.3%増から3.8%増に、2002年度は4.3%から4%へと軒並み下方修正となっているのである。すべて過去の数字ではあるが、「生産性の伸びが高いから大丈夫」という考えにやや不安を抱かせるものである。

ユニット・レーバー・コストは予想以上の拡大


 予想外という点では、労働生産性とセットになっているユニット・レーバー・コスト(ULC)についてもそうだ。これは生産一単位を生み出すために必要な労働コストを指数化したもので、時間当り報酬を労働生産性で割ることで求める。労働生産性が向上していても、賃金がそれ以上に伸びていればULCは上昇し、企業利潤を圧迫するか、最終製品の値上げ、即ちインフレ懸念につながることになる。第2四半期のUCLは1.3%増で、第1四半期の3.6%増から伸び率を鈍化させている。

 これだけ見るとインフレ懸念がないことを示しているが、前年同期比では4.2%増であり、2000年第3四半期以来最も大きな伸びである。さらに、ULCも労働生産性と同様、ここ3年の数字が改訂されているが、2004年度は0.8%増から1.1%増へ、2003年度は0.3%減から0.2%減へ、2002年度は0.8%減から0.3%減と上方修正されている。これらのことは、やはりインフレがジワジワと広がっていることを意味している。

 労働生産性の伸び率鈍化、ULCの伸び率加速はこれから長く続く傾向となる可能性が高い。米国経済が抱えるもう一つの懸念として注意しておく必要があろう。


http://markets.nikkei.co.jp/column/nywatch/

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