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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050803-00000018-san-soci
「金利保証」ファンド 悪質ブローカー暗躍
全国小売酒販組合中央会(東京都目黒区)が購入して回収不能になっている約百四十四億円の外国債(私募債)を発行、勧誘した外資系企業の複数のメンバーが、英捜査当局がファンドの未償還問題で捜査中の別の国際投資グループにも関与していることが二日、関係者の話で分かった。いずれも「高金利」と「安全」をうたいながら、集めた資金管理がずさんな詐欺的商法だという。酒販中央会は回収の見込みがあるとしているが、国際投資詐欺グループにだまされていた疑いが濃厚となった。
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二〇〇三年(平成十五年)夏ごろ、英国に拠点を置く投資会社「インペリアル・コンソリデイティッド・グループ」が販売したファンドで、期限が来ても投資家に償還されない問題が発生した。英国の重大詐欺特捜局(SFO)は昨年、インペリアルの創設者らを逮捕した(後日処分保留で釈放)。
このファンドは一九九八年ごろから、「年利8・5%で元本確保型」という触れ込みで日本や海外で販売され、日本では少なくとも百二十億円が焦げ付いているとされる。インペリアルでは投資家から集めた金を各ファンドごとに個別管理せず、同じ口座で管理するというずさんさだった。
関係者によると、インペリアルの複数の元幹部が、酒販中央会に百四十四億円分の私募債を販売したカナダの投資会社「チャンスリー・アンド・リーデンホール」の資金調達を担当する会社を運営していたことが、新たに判明した。さらに、酒販中央会に外国債を紹介した日本人の代理人が、インペリアルの関連会社を統括していたなど、酒販中央会の償還不能と、英インペリアルの償還不能という二つの問題に、同じ人物が関与していることが分かった。
国際ファンドに詳しい関係者は「低金利、株安で資金の運用先に困った日本の投資家相手に、詐欺的商法をいとわない国際投資グループが暗躍している」と指摘、「関係者が複数の外国組織では、実態の解明は難しいのでは」と深刻に受け止めている。
酒販中央会は、酒店店主らから月々に集めた会費で年金共済事業を行っていたが、低金利で運用資金が元本割れ。このため平成十五年一月から五月にかけ、カナダのチャンスリー社が発行する債券約百四十四億円分を購入。年利は6・75%で、運用に失敗しても英大手保険会社が保証するという「当時の金融市場から見れば考えられないくらいの好条件」(ある金融機関)。最初こそ利子の支払いはあったものの、昨年六月、チャンスリー社の投資先の英国ローン会社「インバロ」が経営破綻(はたん)し、償還期限が過ぎた二十億円が戻らなかった。
酒販中央会幹部は、「リスクについて説明を受けていなかった。事前に弁護士などに相談すべきだった」としているが、チャンスリー社とインバロ社の複数の役員が重複しているにもかかわらず、チャンスリー社がなぜ破綻するようなインバロに投資したのかなど、不可解な疑問が残っている。
酒販中央会を監督する立場の国税庁は今年四月、外国債購入の責任の所在を明らかにすることや、違法事実があった場合は法的手続きを取るよう同中央会に対し改善勧告を出している。
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【酒販中央会の年金運用問題】酒販中央会は昭和58年から組合員や家族らから掛け金を集めて年金共済事業を実施。しかし、元本割れが生じたために購入した高利率の外国債約144億円について、投資先の英国ローン会社が経営破綻し、期限を迎えた20億円が償還されなかった。全額の償還が困難とみられている。昨年8月には年金加入者への掛け金の返還ができない事態に陥った。国税庁によると、外国債の購入にいたる検討資料や契約書の正本がなく、契約書に記された酒販中央会会長(当時)のサインは、本人のものではないなど契約の経緯に不明朗な点があった。
年金共済はすでに廃止が決まっており、今年3月時点の加入者数は約2万人。16年3月末時点の資産総額は約170億円。
(産経新聞) - 8月3日2時37分更新