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(回答先: 小泉さんには、最後までがんばって欲しいですね。 日本の金融業界のためにも 投稿者 hou 日時 2005 年 8 月 06 日 22:20:44)
改めて郵政改革を考える――新しい国造りに不可欠。2005/08/06, 日本経済新聞 朝刊,
郵政民営化法案の成立が危ぶまれている。反対派議員には「郵政改革は痛みを伴うのに優先度が低い」という思いが強い。切迫感に乏しいのだ。
本当に優先度の低い問題だろうか?
政府は改革の主な狙いを「官から民へ資金の流れを変える」と説明する。政治家や財政投融資機関関係者らに配慮してか、いかにも抽象的だ。
もっと具体的に言えば政府保証の廃止などで三百三十兆円の郵便貯金と簡易保険資金を大幅に減らす。また民営化後の郵貯、保険両社が運用能力を高めて民間企業向けに資金供給し、国債購入に頼らないようにする。
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これを国の側からみれば、一般会計の歳入に充てる普通国債や、財政投融資を賄う財投国債を買ってくれる郵貯・簡保資金が減る。大盤振る舞いができなくなり、財政や財投に規律が働く。
規律が必要なのは財政が破綻寸前だからだ。国内総生産(GDP)に対する国と地方の借金の比率は約一七〇%で、あの米国の六〇%台に比べ三倍近く悪い。今年度の予算も歳入の四割余りを国債で調達する。こんな先進国はほかにない。
日本銀行は毎月一兆二千億円もの長期国債を市場で買い、必死に金利上昇を抑えている。原油高などをきっかけに金利が上がれば国の利払いが急増、それを賄うための国債増発で金利をさらに押し上げ、経済に壊滅的な打撃を及ぼしかねない。 また財投残高三百三十三兆円のうち百兆円近くが不良債権化しているとみる専門家は一人や二人ではない。それなのに昨年度は二十兆五千億円の財投計画を組み二兆円余りを使い残す有り様だ。 財政や財投に規律を取り戻すには、カネの出口を絞るのが先決という声もある。もちろんそれは大事だが、政治家や官僚はカネを調達できる限り使いがち。郵貯・簡保資金が潤沢に使える状態を変えなければならない。
加えて郵便事業は先細りが予想され、日本郵政公社のままだと再び金融事業の黒字で郵便の赤字を賄う事態になろう。早く民営化してサービスを改善し経営効率を高めたいところ。さらに郵政公社は法人税を払っていないなど、国営金融に伴う「見えざる国民負担」は年数千億円にのぼる。
このように、郵政の民営化は急を要する。また民間主体の効率的で活気ある国造りのために欠かせない改革である。
これに対し反対派議員は「過疎地で金融サービスが低下し住民が困る」と言う。まゆにつばをつけて聞かねばならない。法案では過疎地の郵便局は廃止せず、長期にわたり郵便・保険会社が業務委託するので住民もほとんど困らないはずだ。
反対する自民党議員の本当の理由は選挙の際に頼りになる一万九千人の特定郵便局長が「民営化は困る」と抵抗しているからではないか。反対派も政府も本音で議論しないので国民にとって分かりにくい面がある。
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民営化法案は完全ではない。むしろ多すぎる問題点を抱えている。政府系の企業となる持ち株会社がずっと金融二社の株式を持ち続けられるので、資金の運用を含め政府の関与が続き、財政規律の強化にならない恐れがある。郵便、貯金、保険三事業の実質一体経営が続き、経営効率化につながるか疑問――など、あげればきりがない。
とはいえ、政府保証を外す点や国家公務員の身分を民間社員に変えるのは前進だ。民営化委員会が三年ごとに民営化を見直すのも救いである。
法案が参院で否決され、解散・総選挙となって仮に小泉純一郎政権が代われば、郵政民営化は当分、政治課題にならないだろう。規制改革、医療改革、国と地方の税財政改革(三位一体改革)などの構造改革も道半ばで後退するのは必至だ。
とすれば、ここは法案を成立させて民営化後に手直しを進めるのが現実的ではないか。一握りの参院自民党議員の判断によって明日の日本の姿ががらりと暗くなるとすれば、あまりにも惜しい。
郵政民営化法案が可決し一礼する小泉首相ら(5日午後、参院郵政民営化特別委)