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8月4日(ブルームバーグ):米財務省は3日、2001年10月に停止した30 年物国債の発行を約4年ぶりに再開する方針を明らかにした。2006年1−3月期以降、年2回のペースで発行。発行規模は年間200億−300億ドルとなる。
発行停止の目的が柔軟性の強化なら、発行再開もまた財務省の柔軟さの表れだった。柔軟性は財務省の売り物だ。
財務省は今年5月、四半期国債定例入札の記者会見で、30年債復活の意向を発表した。停止の発表が突然だったことを考えれば、透明性の格付けは「A」だったといえる。一方、一貫性の格付けとなると「C−」だろう。
財務省の借入諮問委員会(BAC)は、長期的で安全な投資資産に対する年金ファンドの需要が高いことから、30年債の発行再開を支持。8月2日付のリポートで「平均償還期間の安定化、借り換えリスクの低下、新たな投資家の増加に伴う柔軟性」が「発行コストを抑制する」効果を指摘した。
ただ平均償還期間を安定させることが重要なら、ほかにも方法はたくさんある。たとえば人気の高い7年物国債の発行再開はどうか?大量発行により、平均償還期限(6月末現在で約4年7カ月)を延ばすことも可能だろう。
借り換えリスクの低下についてはどうだろう?企業(そして国)は、金利変動の影響を避ける努力をする。短期金利は通常、長期金利より低水準だが、短期資金への依存度が高い国は、海外投資家が資金を引き揚げれば窮地に追い込まれる恐れがある(1997年のアジア金融危機が好例だ)。
発行済み30年債の利回りは2003年6月、4.125%に急落。30年債待望論に火が付いた。それでも財務省は発行再開の観測を繰り返し否定。それも、かなり強く否定し続けていた。
適性テスト
2003年1月8日、ピーター・フィッシャー財務次官(国内金融担当=当時)は、30年債が「今後10年間の債務管理計画の一翼」を担うことはないとみているとまで言っていた。
フィッシャー次官は、トレーダーの間では相場変動の激しさが30年債の魅力かもしれないが、健全な債務管理の適性テストには不合格だとの考えを示していた。このテストでは、借り換えリスクを低下させる効果が考慮されていなかったのだろう。
30年債の発行が停止された2001年10月と今とでは、財政収支の見通しが全く異なる。同じ年の1月、米議会予算局(CBO)は、向こう10年間の累積財政黒字が5兆1000億ドルに上ると試算していた。
あの時はあの時
しかし30年債の発行停止が決まった時には、財政収支見通しはすでに黒字から赤字に変わっていた。それでもティモシー・ビッツバーガー財務次官補(金融市場担当)は2003年6月、「コストや柔軟性などの観点から、財務省の債務管理にとって、30年国債は合理的な選択肢ではない」との考えを表明。同じ年の10月にも「30年国債は、財務省にとって常に扱いにくい動物のような存在だった」と語っていた。
時は流れて2005年8月。財務省は30年債の発行停止によって勝ち得た柔軟性を、今度は発行再開によって確保しようというわけだ(口やかましい動物たちも手なずけられたに違いない)。ビッツバーガー次官補は3日のインタビューで「われわれは、財務省そして納税者の資産分散のため、幅広い種類の証券ポートフォリオを整えようとしている」と語った。
平均的な納税者がこのコメントを全く信じなかったとしても、とがめられることはないだろう。
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Treasury Bends Over Backwards for the 30-Year: Caroline Baum(抜粋)
{NXTW NSN IKOJ9N1A1I4H 更新日時 : 2005/08/04 14:56 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html