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人民元為替制度改革が中国経済に与える影響は、全面的に認識し、客観的に分析する必要がある。
為替レートは「諸刃の剣」だ。為替レートが上がっても下がっても、経済にプラス・マイナス両方の影響をもたらす。人民元為替レートの切り上げには、特有の長所がある。例えば、輸入商品は、レート切り上げにより人民元換算の価格が下がる。これが国内の物価を全体的に押し下げ、企業の生産コストを下げる可能性がある。また、同額の人民元からより多くのドルが得られるようになるため、企業の海外進出戦略にも役立つ。
為替制度改革は一方で、競争力の弱い企業の輸出や雇用にある程度の短期的ダメージをもたらすとみられるが、全体的にマイナス影響よりプラス影響の方が大きいだろう。
理論的には、人民元為替レート切り上げ後、輸出企業が商品輸出によって獲得する外貨は、国内で人民元に換金すると従来より目減りし、利益率が小さくなる。輸入企業にとっては、商品輸入のために外貨に交換する人民元が従来より減るため、利益率が増える、とされる。一部の人はここから推論して、「人民元為替レート切り上げは輸出抑制、輸入促進につながる」と考えている。
しかし事実は、まったくこの通りというわけではない。注意すべき点として、まず、貿易収支は、消費・投資など経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)や、国際貿易における国の相対的優位性と競争力によって決まるものであって、為替レートの水準で決まるのではない。第2次大戦後から1987年末までに、日本円の対ドル為替レートは1.93倍、ドイツマルクは1.66倍に上昇したが、両国の対外貿易収支は依然として黒字のままだ。
次に、中国は現在、輸出の60%以上が加工貿易に由来している。加工貿易とは、海外から原材料・補助材料・部品などの一部または全部を保税対象として輸入し、国内企業を通して加工や組立てを行った後、完成品を輸出する経済活動を指す。人民元為替レート切り上げは、加工貿易にとって輸入面では有利となり、輸出面で不利となる。プラスとマイナスの両方の影響があり、基本的には相殺されると見ることができる。
第3に、中国の労働力コストは比較的低いままだ。人民元レート切り上げも、中国の輸出商品の価格競争力を変えることはやはり難しい。
さらに、為替制度改革は、企業が積極的に価格以外の競争力を育て、自主開発能力を強め、貿易成長モデルを加速させ、国際競争力とリスク対抗力を向上させることにつながる。為替制度改革によって、一部の輸出企業と、輸入商品との競争が激化する国産メーカーが、経営困難で人員削減を余儀なくされるとみる人もいる。
しかし、やはり事実はこの通りとは限らない。注意すべき点として、為替制度改革は輸出企業全体にとって、プラス面がマイナスより大きく、改革は輸出企業全体の雇用状況に大きなマイナスになることはない。さらに、為替制度改革は、輸出企業による深加工や精密加工への転換、生産分野の裾野の広がり、雇用ポストの増加につながり、一部リソースの非貿易部門への移動にもつながる。国際的に見ると、1970年代の英ポンド切り上げ、80年代の日本円が切り上げを受け、両国の第3次産業は急速に発展した。
輸入増加は雇用に影響を及ぼすだろうか。もし静的な視点から見ればそうであり、動的な視点から見ればそうではないと言える。中国は、経済の急速発展の時期にある大国であり、潜在的な内需は計り知れず、つまり輸入が増えるにつれ、国内投資と消費の増加も加速すると考えられる。また、雇用増加の基盤がますます拡大し、多国籍事業における雇用もこれにより増えることになる。(編集SN)
「人民網日本語版」2005年7月27日
http://j.peopledaily.com.cn/2005/07/27/jp20050727_52145.html