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ハゲタカが嗤(わら)った日 浜田和幸著
BOOKアサヒコム | 朝日の紙面から
本紙掲載2004年10月24日
もっと興味深いのは八兆円もの公的資金を注入した長銀が、
なぜ一〇億円という安値で外資に売却されたかだ。
「(日本の政治家や金融当局が唯一できるのは)日本の金融市場を破壊すること。
その後、欧米の資金で牛耳る。これを『構造改革』として推進させる」。
これが、ロックフェラー上院議員らがまとめた
「日本経済の未来シナリオ」だと著者は紹介する。
舐められたものだが、当事者は的外れだと反論できるだろうか。
「ハゲタカがワラッタ日」浜田和幸著 集英社
その驚くべき内容は『新たな始まり―日米経済関係の再編』
(A new Beginninng:Recasting the US-Japan Economic Relationship
外交問題評議会 2000年)に詳しい。
このシナリオに基づき、欧米の政治家、金融機関やメディアのトップが
密かに会合を重ねてきている。長銀の破綻、国有化、アメリカ資本による再生、
日本市場の独占。すべたが巧妙に仕組まれていた。長銀の買収は欧米資本による
日本占領を意図した「先制攻撃の第一波」と位置づけられていたのである。
ロックフェラーの目には長銀は絶滅の運命にある恐竜のようにしか映らなかったようだ。
これまで、わが国ではロックフェラーやロスチャイルドという名前を出すだけで、
ユダヤの陰謀説に加担しているとの誤解を受けることが多かったようだ。
しかし、彼らがスポンサーとなって欧米の政治家、経済人、官僚、マスコミを
密かに動かしてまとめ上げた数多くの「対日経済・金融支配戦略計画書」
の内容を吟味すれば、ユダヤ陰謀説のような話ではなく、
そこに明確な意志が読み取れるのである。
しかも、「外交問題評議会」「国際経済研究所」といったシンクタンク、
あるいは「ハーバード大学」「コロンビア大学」「スタンフォード大学」などの
アジア太平洋金融作業グループが、経済官僚や投資顧問会社の幹部とともにまとめた
内部メモを見ると、何と長銀破綻からリップルウッドによる買収、
そしてゴールドマン・サックスやモルン・スタンレーなどの
欧米の投資顧問外車のノウハウを使って、
日本の金融資産をコントロールするシナリオが明確に打ち出されているのである。
知らぬは日本人ばかり。実際、そのとおりに
欧米の政府が圧力をかけてきた事実を知れば、これは陰謀などと呼べるものではなく、
欧米式の冷徹な対日金融外交戦略にすぎないことがお分かりいただけるだろう。
この大きなシナリオを描いたオランダを本拠に構える組織こそが、
バーノン・ジョーダン(リップルウッド社長コリンズの後見人、
黒人ロビイスト、ビルダーバーガー)が常任理事を務める「ビルダーバーグ」なのである。
コリンズを投資会社の世界に連れ込んだのがフェリックス・ロハンティン。
ロスチャイルドの代理人、ニューヨークのラザール・フレール商会のトップ。
オーストリア出身のユダヤ商人としてウオールストリートを代表する金融業者。
現在は、ロスチャイルド夫人ら欧米の大富豪の資産運用にあたっている。
浜田和幸
1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学大学院
にて政治学博士号を修得。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、
米議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所の代表。