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人民元切り上げ、いざ日本? 【東京新聞】
http://www.asyura2.com/0505/hasan41/msg/615.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 23 日 09:59:46: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 米FRB議長、中国製品への高関税率に反対 [人民網日本語版] 投稿者 あっしら 日時 2005 年 7 月 23 日 03:30:02)

人民元切り上げ、いざ日本?


 中国・人民元切り上げは2%と小幅だったため、日本の経済・産業界は冷静に受け止めているようだ。その中で、反日デモの影響で中国ツアーが落ち込む旅行業界は複雑だ。元切り上げによる現地での“便乗値上げ”の懸念もささやかれ、二度の英同時テロも重なったからだ。一方で、逆に切り上げを“好機”とみる動きも出ている。9・11米中枢同時テロ、新型肺炎(SARS)などをしのいできた業界の思惑は−。

 「うちは円建てなので、人民元切り上げの影響はないでしょう。ロンドンのテロによる欧州方面へのキャンセルは出ていません」

 こう語るのは大手旅行会社エイチ・アイ・エスの担当者だ。同社の場合、夏休みの海外旅行予約状況は前年比114%と好調。特に北米、欧州へのツアーが二、三割も伸びている。

 日本航空の広報担当者も「昨日(二十一日)もロンドンで事件はあったが、キャンセルは出ていない」と話す。二〇〇一年の米国同時テロや一九九一年の湾岸戦争の際には、国際線の乗客は激減したが、同社では今回のテロによる打撃はほとんどないとみる。夏休みの国際線利用客も前年並みと見込んでいる。

 エイチ・アイ・エスでは夏休みの海外旅行で、中国向けのシェアは全体の2%弱にすぎない。「これは業界全体の傾向でしょう」(同担当者)。だが、同業各社の中国向け担当者や専門業者はここ数年、SARSや鳥インフルエンザの流行、反日デモと胃の痛い毎日が続いた。

 中国旅行を扱う業者団体「中国旅行懇話会」によると、ことし六月末時点での年度上半期(四−九月)の予約状況は、反日デモが響いて、団体ツアーが前年同時期比で50%まで落ちた。

 そこに人民元切り上げという暗雲が立ちこめた形だが、同懇話会の代表幹事・JTB中国旅行の担当者は「当社では、来年三月までのツアー案内を配布済み。切り上げによる影響はないと思うが、各社共同で中国側に当面、契約済みの見積額について変えないように申し入れることになるだろう」と予測する。

 元切り上げで、現地のホテルや観光業者が便乗値上げをしてくるとの懸念もあるが、日本人客が減る中、一層の客離れを招く動きは控えるだろうという見方は強い。ただ、「日本人だけが客ではない現実」を不安視する向きもある。「上海などでは韓国、台湾、香港からの客も増え、五つ星ホテルには富裕な国内客も増えてきている」(JTB中国の担当者)というのだ。

 一方、観光業界では人民元切り上げをチャンスと見る動きもある。

 中国人の観光客誘致に力を入れてきた長崎県観光連盟の担当者は「中国からの修学旅行生が七月だけで六百人、長崎を訪れる。日本滞在はホテル、旅館代をはじめ高い費用がネックだったが、人民元切り上げで、今後は割安に感じてもらえるかもしれない。日本が円高で海外旅行ブームが起こったように、元切り上げは中国人観光客の呼び込みの追い風になってくれるはずだ」と期待する。

■来日観光客の1割が中国人

 日本では一九八〇年代半ば以降、為替レートの変動で経済環境が大きく変わった。八五年、当時の先進五カ国蔵相・中央銀行総裁(G5)によるプラザ合意によって、一ドル=二四〇円台だった為替レートはその後、一二〇円台まで円高ドル安が進んだ。日本が海外に輸出する製品は割高になり、輸出企業には大変な打撃となったが、円高によって割安になった海外旅行の大ブームが起こった。

 人民元の切り上げは2%と小幅だが、すでに中国では海外旅行ブームが始まっている。二〇〇四年に日本を訪れた外国人旅行者は約六百十四万人で、このうち中国からは六十二万人(観光白書)にまで伸びた。

 前出の長崎県の担当者は「世界観光機関(WTO)は、海外へ出国する中国人が現在の約二千万人から二〇二〇年には一億人を超えると見込んでいる。経済成長が続いて家庭の収入増にもつながれば、旅行ブームは続くだろうし、日本にもたくさん呼び込まなければ」と力が入る。

 札幌市は今秋、官民で上海や杭州市などの旅行会社に観光をPRし、中国沿海部の富裕層の訪日を呼びかける。観光企画課の担当者は「元切り上げの影響はまだわからない。ただ、ビジネス客を含め昨年は市内で延べ一万五千人の中国人宿泊客があり、今後は東京や大阪に飽き足らず、冬の北海道のスキーや、温泉目的の観光客が増えるのは間違いない」と見込む。

■「円高」同様に豊かな層刺激

 日中両政府は七月末から、北京、上海など三市五省に限っていた中国からの訪日団体観光旅行ビザの発給地域を中国全土へ拡大。発給対象は約三億七千万人から十三億人に広がり、観光客誘致枠が大きくなる。

 今年一月、上海市民の観光意識を調査した流通経済大学の東美晴助教授(観光人類学)は「比較的豊かな沿海部に限った話だが、人民元切り上げはかつての円高と同じで海外旅行が増えるきっかけになる」と指摘、人の往来が増えると見込む。

 同調査では「行きたい国」で日本は香港、シンガポール、タイに次いで第四位。タイをはじめ東南アジアはすでに中国人観光客にとって、人民元の使い勝手が良い「安い」国になっているという。「近い」が「高い」日本はどう映るのか。

 東助教授は「大都市の上海でも日本観光に対する情報がまだ少なく、日本で行ってみたい場所の一位は東京・大阪、二位は富士山だった。同時に聞いた日本のイメージでは筆頭が富士山、次点が侵略国という結果だ。人民元切り上げによって経済的には多少日本へ行きやすくなると同時に、それだけでは推し量れない課題もある」とみる。

 その課題について、JTB中国の担当者は「来る人が増えれば、訪れる人も増えるのが通例。問題は旅行の前提である平和と景気だ」と気をもむ。

 その一つ、「平和」が実は意味深いのだ。中国専門の旅行会社「感動大陸」の担当者は「人民元切り上げの影響は予想していない。SARSも一過性の現象にすぎなかった。でも、もっと深刻な問題がある。爆弾が隠れているともいえる」と嘆息し、こう指摘した。

 「ずばり、それは靖国問題です。ことしのお盆のころに中国を訪れようという日本人旅行者は激減している。というのも、この時期に小泉首相の靖国神社参拝の可能性があるから。元切り上げや病気より政治的緊張の方が影響はあるし、回復の見通しもつけにくい」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050723/mng_____tokuho__000.shtml

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