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(回答先: 米政府:人民元ペッグ制廃止を歓迎、市場重視の為替制度実現へ前進 [ブルームバーグ] 投稿者 あっしら 日時 2005 年 7 月 22 日 03:20:45)
人民元切り上げ 産業界は… 小幅ひとまず安堵、情勢次第では明暗
中国人民銀行(中央銀行に相当)が二十一日、人民元の切り上げを決めたことに対し、産業界では「思ったより幅が小さく、決定の時期も早い」(三木繁光・東京三菱銀行会長)などと冷静に受け止めている。ただ、日本にとって最大の貿易相手国となった中国の通貨がドルに対する事実上の固定相場から新たな管理フロート制に移行することで中国との貿易・投資関係に今後、大きな影響を与えるのは必至で、産業界は行方を注意深く見守っている。
産業界では、人民元切り上げの時期と幅を「今年秋に6−8%の引き上げ」との見方が多かった。だが、実際の切り上げ幅は2・1%にとどまり、急激な変動を懸念していた産業界にとっては「国際社会から歓迎される」(米倉弘昌・住友化学社長)などとひとまず安堵(あんど)する結果となった。
しかし、業種や個別企業などにより、人民元切り上げをめぐる影響は大きく異なり、今後も切り上げが続けば、明暗が分かれそうだ。
日本国内の工場を中国に移転する「空洞化」が問題にされてきた製造業。電機メーカーは中国生産を拡大し、最近は「製品輸出と部材輸入のバランスが取れている」(松下電器産業)とされる。日立製作所では「現地生産分は七−八割を現地で販売している」(日立製作所)と中国を市場として位置付ける動きも強まってきた。
ただ、「10%は覚悟していた」(大手電機メーカー)と切り上げ幅に首をかしげる向きもあり、近い将来の水準訂正は避けられない。人件費格差から「日本人一人で中国人三十人が雇える」(電子部品メーカー首脳)と低賃金を目的に進出した組立加工業の中には、ベトナムなど他に拠点を移すところも出そうだ。
また、中国現地企業との合弁形態でしか進出が認められていない自動車業界では「完成車輸出は少なく、影響はそれほど大きくない」(張富士夫・トヨタ自動車副会長)と冷静だ。なかでも六月から中国・広州の合弁会社で小型車「ジャズ」(日本名フィット)の欧州向け輸出を始めたホンダでは、初年度一万台、今後数年で年間五万台まで輸出を増やす計画。人民元切り上げは輸出価格の引き上げにつながるが、「中国で生産する部品を輸入するメリットの方が大きい」(広報部)とみている。
日本で企画し、中国で生産した製品を輸入している「ユニクロ」(ファーストリテイリング)では「現地の取引工場で製造した商品を仕入れているが、ドル建て契約なので影響は限定的」と強調する。中国に出店したイトーヨーカ堂も「中国店舗は調達から販売まで中国国内ですべて完結しており、影響はなさそう」と指摘する。
食品メーカーも中国進出が盛んだ。味の素は「中国子会社から業務用市場向けに冷凍食品を輸入しており、採算性に悪影響が出る可能性がある」としており、今後の影響を注視する構え。
一方、中国向けツアーなどに力を入れてきた旅行業界は、旅行者に不利な為替切り上げに動揺が広がる。大手旅行代理店関係者は「中国には業界全体が注目し、実際に伸びてきたのに…」と困惑を隠さない。東急観光も「少なからず影響はあるだろう」とみている。
中国人団体観光客の受け入れへの影響も懸念される。ビザ(査証)の発給地域が四川省などに広がったことで、二十一日はJTBが第一陣のツアー開催を発表したばかり。「これからというときに」(大手旅行代理店)と表情をくもらせている。
◇
《人民元》中国は1994年1月、貿易赤字対策と旧関税貿易一般協定(ガット=現世界貿易機関)への加盟交渉のため、公定相場と外貨調整センターの相場を一本化し「管理された変動相場制」に移行。元相場を1ドル=5・8元から8・7元に切り下げた。市場での1日の取引の加重平均を基に中国人民銀行(中央銀行)が主要外貨の翌日の基準値を公表、米ドルは基準値から上下0・3%の範囲内で取引できる。アジア通貨危機を受けて98年以降は8・277−8・280元前後で事実上ドルに固定。2001年1月には基準値が現行制度で最高の8・2762元まで上昇したが、最近は8・2765元で推移してきた。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/22kei001.htm