★阿修羅♪ > 国家破産41 > 542.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
無線ネット、競争激化
無線インターネット接続方式の比較
どこでもインターネットに接続できる無線でのブロードバンド(高速大容量)通信をめぐって、通信各社の競争が激しくなってきた。公衆無線LAN、携帯電話、PHSが、サービス地域の拡大や通信速度で競っている。そこに新勢力も割り込もうとしており、利用者にとってメニューは盛りだくさんだ。問題はサービス拡大にはたくさんの電波が必要となることで、国から免許を受ける周波数帯の奪い合いが激化しそうだ。(西村宏治)
●公衆LAN、利用地域を拡大
「インターネットを『持って歩く』時代が来た」。ライブドアの照井知基上級副社長は15日、東京都内での講演会でそう強調した。同社は6月中旬に東京・山手線の内側に公衆無線LANを張り巡らせる計画を発表した。駅や喫茶店などに行かないと使えなかった無線LANを、屋外ならどこでも使えることをめざす。
通信最大手のNTTも12日、これまでグループ各社がばらばらに展開していた無線LAN事業について基地局を共用化すると発表。増設する方針も示した。通信事業を急拡大するソフトバンクBBもこの分野での商用化を決めている。
無線LANの強みは、線はなくともADSL(非対称デジタル加入者線)並みの速度が出せる点だ。ネットで動画配信も受け取れる。弱点は、動きながらの利用が苦手な点だ。走行中の車内で使うと、通信が途切れることもある。
●携帯・PHS、通信速度アップ
これに対し、移動中の利用に強いのが携帯電話だ。ただ、1基地局のカバーエリアが広くて電波を共有する利用者が多い分、速度が上がりにくい。このため、NTTドコモ、KDDI(au)、ボーダフォンの3社は来年度をめどに、現在普及を進めている「第3世代」より高速の「3・5世代」を投入する予定だ。ドコモやボーダフォンでは速度が10倍以上になる。
一方、PHSは、携帯にはない「定額料金制」があるので常時接続がしやすいのが売り物だ。携帯と同様にブロードバンドとしては速度が遅いのが弱点だが、最大手ウィルコムは07年をめどに最大速度を今の6倍近くに高める方針だ。それでも3・5世代携帯に及ばないため、八剱洋一郎社長は「次世代PHSの開発も急ぐ」と言う。
●広域電波の新技術参入
この分野での競争に今後、割り込んできそうなのが、広く電波を飛ばす新技術だ。
半導体大手の米インテルが世界中で売り込む「モバイルWiMAX(ワイマックス)」。時速120キロで走る車中でもADSL並みの通信ができる。一つのアンテナから強い電波を出して広範囲をカバーする「WiMAX」の技術に、接続する基地局を次々と移し替えていく機能を加えた。
日本でもYOZANや平成電電などが事業化計画を発表し、KDDIも実験を始めている。
京セラが開発に携わった「iBurst(アイバースト)」は、1基地局が半径十数キロをカバーする技術。ライブドアが15日に「無線LANの補完として採用する」と発表した。実験では、乗車中でも無料で音声通話ができるソフト「スカイプ」が使えたという。
業界には両新技術が「使い方次第で大化けする」との声がある。
●周波数めぐる政策カギ
この「空中のインターネット」を制するのはどの方式か。技術革新のスピードもさることながら、周波数の割り当てをめぐる政府の電波政策もカギを握る。
舞台となるのは、総務省が第3世代携帯向けに開放を予定している2ギガヘルツ帯だ。携帯事業をしていないライブドアやウィルコムが、アイバーストや次世代PHSも免許の対象にするように求めている。
今回は認められる可能性が低いと見られているが、「名乗りをあげたことのPR効果は十分ある」と携帯会社幹部は話す。今後、さらに別の周波数帯が開放される機会をにらんだ長期的な作戦との見方だ。
将来の電波争奪戦ではワイマックス、アイバーストなどの新勢力が台風の目になる可能性がある。ワイマックスの実験を始めているKDDIの小野寺正社長も、「広範囲に強い電波を飛ばすので、混信や干渉を避けて品質を保証するには免許制での専用の電波が必要」という。
無線LANは通信範囲が狭く、基地局を置く免許がいらない。誰でも基地局を設置できるので、将来の混雑も予想され、安定したサービスには周波数確保も必要になる。
とはいえ、各社が要望している周波数帯には放送局が映像電送用に使っているものがあるなど、開放はそれほど簡単には進みそうもない。総務省の研究会は、年内に利用形態ごとに適した通信方式や、望ましい導入時期の報告をまとめる方針だ。研究会には44社が72方式を提案した。今後数年間の電波政策を縛る設計図になるだけに関係各社は注目している。
http://www.asahi.com/paper/business.html