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「上場廃止基準、変えぬ」 東証・西室新会長に聞く
「投資家の信頼を裏切らないために、東証には透明性が必要だ」と語る東証の西室泰三新会長=東京・日本橋兜町で
東京証券取引所の会長に6月に就任した前東芝会長の西室泰三氏(69)は、カネボウの上場廃止を機に金融庁から求められている「上場廃止基準の見直し」を断固拒否する考えを明らかにした。朝日新聞などのインタビューに答えた。東証自体の株式上場に関して求められた、自主規制機能の分離についても「東証内部にとどめるのが望ましい」と語った。(聞き手・高野弦、庄司将晃)
――金融庁とのあつれきの背景は何ですか。
「カネボウの件は、結論を出す過程で、(金融庁と東証の)トップ間で意見をすりあわせる努力をした形跡がない。旧大蔵省(現財務省)から歴代理事長を迎えていた時代は、自然に意思疎通がおこなわれていたのだろう。今後、金融庁や政治家との意見交換を増やす必要がある。ただし、役所の意向に沿うようにやるつもりはない」
――上場廃止基準の見直しでは「国策」と対立しています。
「カネボウのような国策銘柄でも、特別扱いが許されるのは債権放棄と減資まで。上場を維持したら『東証は恣意(しい)的にルールを曲げることができる』との印象を与え、投資家の信頼を失う。『社会的な影響が大きい』と産業再生機構がカネボウ支援に踏み切ったのと同じ理由で上場維持を求めるなら、少なくとも政府は事前に東証に明示的に頼むべきだった」
――政府の頼みなら、維持しますか。
「こちらで状況判断して、自らのリスクで決める。『以心伝心で』という今回のやり方では、理屈抜きで、ただ、行政に従うだけの市場運営に成り下がってしまう」
――東証のルールは国際的には裁量の範囲が狭いとの指摘もあります。
「不実記載などに関しては、(金融庁が模範とする)ニューヨーク証券取引所の方がむしろ厳しいルールを持っている。東証のルールが国際的にみて厳しすぎることはない。(仮にそうだとしても)基準が明確な方が競争上も望ましく、現在の上場廃止基準を変えるつもりはない」
――小田急グループをめぐる判断では、東証の意思決定のプロセスが見えにくかったです。
「こういうケースだったら、おそらく東証はこう判断するだろう、ということが、投資家に予見できるようでないと、いけない。決定の際には簡単な説明にとどまることなく、その論理について、しっかりと説明していくことが必要だ」
――上場審査などの自主規制機能は分離すべきだとお考えですか。
「金融庁が取り込むつもりはないようなので、新たに民間で受け皿をつくるか、東証の組織内に置くしかない。個人的には(市場の動きがわかる)東証の内部に置く方が効果的だと思う。ただ、20日発足の(第三者機関の)特別委員会に判断をゆだねる。あらかじめ決まっている結論に、理由付けしてもらうつもりはない」
――「年度内上場」ありきで、委員会の議論が拙速になりませんか。
「時期を優先するつもりはないが、一方で、旗を絶対に降ろすなという株主もいる。国際競争に勝ち抜くためにもシステム投資は必要で、そのための資金を市場から調達しなければならない。上場によって外部の批判にさらされ、効率的な運営ができるようになる」
◇ ◇
◆西室 泰三氏(にしむろ・たいぞう) 社長、会長を歴任した東芝の取締役を05年6月に退き、相談役。海外経験が豊富で、日米財界人会議議長も務めた。日本経団連(旧経団連時代も含む)副会長の経験もあり、01年1月から財政制度等審議会(財務相の諮問機関)のメンバー。
http://www.asahi.com/paper/business.html