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資本主義の中にもできの悪い資本主義もあれば、出来のいい資本主義もあるということや。
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投稿者 hou 日時 2005 年 7 月 15 日 23:01:45: HWYlsG4gs5FRk
 

http://www.incunabula.co.jp/dtp-s/midareuchi/24.html
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■その24 土壇場の経済学
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青木雄二&宮崎学著 株式会社南風社 1,500円(税別) B5変形上製 262頁
1998年8月10日初版 ISBN4-931062-16-4 C0095

 この本は「ナニワ金融道」で一発あてた青木雄二と、グリコ森永事件で「キツネ目の男」として取り調べられた宮崎学のふたりがタッグを組んで、経済的に土壇場に追い詰められた人たちに語るメッセージやね。
 新聞を見ると、毎日のように、今いかに不況であるのか、そして不況対策が必要であるかのように書かれている。確かに景気は悪い。悪いどころかデフレスパイラルという言葉で、明るい未来も語られない。景気が冷え込んで給料が下がったり先行きが不透明になると、消費がさらに落ち込み、そしてまた企業環境が悪化するということでデフレが悪循環するわけである。数年前までは実質世界経済を牽引していたはずなのに、あっという間に奈落の底に落とされたようや。
 デフレを生みだした最大の原因は、やはりバフル処理の失敗にあったな。資本主義経済の中で、いきすぎた土地の高騰を市場経済にある程度まかせ、今後過激な高騰が発生しないような仕組みを考えるべきであったところを、金融機関の貸出を総量規制するという社会主義的な政策をとりいれ、自由なマーケットを破壊したことが原因や。
 あのとき必要やったのは、対処療法によるバブルの鎮静化ではなく、構造改革を行うことだったのに、バブルを叩くことに存在価値を見い出したおろかなマスコミのキャンペーンの尻馬に乗ってしまい、政策当局は判断を誤ったわけやね。たぶん当時の責任者、総理大臣、大蔵大臣、日銀総裁は判断を誤ったとして歴史に名前が残るやろう。そのときの総理大臣が今の大蔵大臣やからなあ、日本の危機はまだまだ続くんとちがうやろか。たぶん今の内閣では、強いリーダーシップを発揮することはできないやろうから、今後リーダーシップを発揮できるような人物、既製の概念や仕組みに大鉈を振るえるような人物が希求されるのは間違いないと思うわ。
 誰かが大鉈を振るえば、そのことで辛い思いをする人はたくさんでてくるが、日本経済、ひいては世界経済(とりわけアジア)のためには、血がながれるのは仕方がない、という風潮が生まれてくるように思う。
 いずれにしてもあのバフルの後から、土壇場に追い詰められた人は少なくない。サラリーマンで消費者金融をつまみ過ぎて、身動きが取れなくなってしまった人たちもいるけど、それは自分の責任やろうなあ。この本の中でも、大企業に勤めながらも、ちょっとしたきっかけで消費者金融に手を出し、坂道を転がる雪達磨のようになってしまった人も紹介されているが、高利の借金は、体面もミエも忘れてできるだけ早く返済すべきであって、そういう社会的な常識を理解していないということが、既に大きな問題ということや。
 中小企業でも、銀行の貸し渋りということで、土壇場に追い詰められた人や追い詰められつつある人は少なくないやろう。土壇場に追い込められると、人間判断力を失うから、デフレスパイラルと同じようにどんどんと瀬戸際に追い詰められていってしまう。そういう人にとってはお金が全てという考え方になってしまうのは、ある意味では仕方がないのかも知れへん。
 しかし土壇場に追い詰められてしまうのは、やっぱり本人の責任やね。経済観念に欠けるだけでなく、状況が変わったとき、自分自身をそれに合わせて変えることができない気の弱さを糾すべきなんや。もし誤ってサラ金でお金を借りてしまったら、他の支出に最優先してサラ金を返済すべきやし、生活態度を変えもせず、借りるだけ借りて自己破産なんて言うのは、本人の責任以外の何物でもあらへん。
 企業でも同じで、時代に見合わなくなった商売をお金を借りてまで、続けようとする了見がせこい。現在の地位に恋恋とするから、見込みのない商売を続けたり、企業規模を縮小できなかったりするわけや。その結果首が回らなくなって、土壇場に追い詰められる。こういう人はたいていうまくいかなかったときのことをあまり考えず、うまく行っているときはイケイケドンドンで、うまくいかなくなったら、的確な手が打てなくなったりするわけやね。中には思いもかけない不幸が襲ってくることもあるやろうけど、それでも、そのときはじたばたせずに、土壇場に追い込まれれないように自分の身を処せる人もいるわけやから、やっぱり土壇場に追い込まれてしまう人の責任は大きいと思う。
 個人でも会社の経営でも、長い人生の中で、土壇場に追い込まれそうになることはあるけれど、土壇場に追い込まれないような危機管理が大事で、土壇場に追い込まれたしまったら、潔く負けを認めるしかにない。負けたからといってすべてを失うわけではあらへんし、敗者復活した人も少なくない。
 この本には、けっこういい加減な提案もある。どうせ倒産するなら、金を借りまくってから倒産したら、とか書かれている。倒産したらいくら借りていようと同じだから、借りれるだけ借りといてその金をネコババしたら、などという。それって車の当たりやと同じことやないか。そんな姑息なことが、いつまでも通用するわけないし、そりゃ、闇金融の世界で生きていきたかったら、そうかもしれへんけど、普通の人ができることではないやろう。
 日本は今まで比較的貧富の差が少なかった国だったが、これからは、貧富の差がどんどん拡がるようになる。金持ちを優遇していかないと、経済が成り立たないようになっていく。そうなると、ひとりひとりが自分の能力で食っていけるようになるしかない。この本の発想は賛同できないが、結論は間違っていないと思う。
 共産主義に染まったこのふたりの意見には、資本主義が悪いというように書かれているが、資本主義が悪いのではなく、資本主義の中にもできの悪い資本主義もあれば、出来のいい資本主義もあるということや。宮崎学が「おわりに」で総会屋の問題は資本主義社会が生みだしてものとあるが、それはディスクロージャーを果たして来ていない日本の会社の独自の問題であって、アメリカのように全てを公開しなければならない会社では、総会屋は入り込む余地がないという。
 土壇場に追い込まれないように、自由なマーケットの中でよりすぐれた資本主義を在り方を考え直すしかない、ということやないやろうか。
(1998/08/05up)

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