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職場から  暑い夏がやってきた  クールビズが温暖化対策の肝?
http://www.asyura2.com/0505/hasan41/msg/429.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 11 日 04:42:23: ogcGl0q1DMbpk
 

職場から

暑い夏がやってきた

クールビズが温暖化対策の肝?

ノーネクタイ ノー上着

http://www.bund.org/culture/20050715-1.htm

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軽装で登場した市長を見直した

野本陽吾

 私が勤める川崎市役所では、3年前から「夏の軽装」が奨励されている。夏には「ノーネクタイ・ノー上着など軽装で勤務するように」との事務連絡が回ってきて、私は最初ちょっと違和感を持った。夏以外の季節はネクタイ・スーツ姿でないとダメ、と逆に強調されているような気がしたからだ。  

 役所というのは多種多様な『現場』の集合体だ。はじめからスーツなどと全く関係ない職場も多い。消防・水道・清掃・土木などの現場事務所では、事務職員でも男女を問わず防災服や作業着で勤務する。福祉関係の部署では、来客の服装に合わせてカジュアル・ウェアで通す職員が多い。区役所の窓口でも、真夏にスーツなど着ていれば「クーラーがきいたところで偉そうにしている」とお客さんに叱られるので、もともと夏場は軽装が常識だ。  

 そんな「現場」ばかりを経験していた私が、「本庁(いわば本社)」勤務になったのは2001年の春。各方面に公共事業への協力依頼をして回る担当となり、営業マンよろしく誰にでも頭を下げる毎日になった。対外交渉の場面でスーツを着るのは、仕事と割り切れば抵抗感も少なかった。  

 びっくりしたのは、役所内部でもスーツを着ていなくてはならない場面が「本庁」にはやたらと多いことだった。  市で3番目にエライ「収入役」の部屋に書類を持っていくとき、上着を着ていなかった私は「収入役室副主幹」という人から「上着・徽章はどうしました」と低い声でスゴまれた。複数の部局にまたがる会議が行われるときも、出席者は全員スーツ着用。市議会議員に突然よびつけられて仕事の説明をさせられることもあるため、本庁ではいつでもパッと背広を着て出ていける用意が必要だった。  

 「内輪でもスーツ」の慣例をバカバカしいと意識もしなくなった頃、選挙によって市長が交替した。新市長は就任後、最初の夏が近づくと職員に「夏場の軽装」を推奨する方針を明らかにした。 役所の建物にも、市民が出入りする場所には張り紙で「省エネのため6月23日から9月23日までの間、職員はネクタイ・上着を着用しないなど軽装で勤務しております」と掲示することになった。  

 不文律でしかないはずのネクタイ・スーツの慣行が、日付まで限定した文章が出ることで、逆に夏以外の季節については完全に固定されてしまうではないか。はじめはそんな違和感を感じたが、軽装にすることで省エネしようとの考えには無論大賛成だ。  

 ただいくら軽装を叫んでも、一番エライ人が一番フォーマルな場面で「軽装」してくれるのでないと定着しないよな。そう思っていたら、市長自らが職員数百人を集めた研修会の開会挨拶の場面にノータイ・ノー上着で登場した。「今日はどうしようかと思いましたが、形式より省エネのほうが大事ですので、この恰好で来ました」。この市長の政策や考え方には異論を言いたい場面も多いのだが、この時ばかりは結構エライな、と思ったものだ。  

 1年目には日常の出勤でノー上着が増える程度だったが、2年目3年目とキャンペーンを続けるうちに、職員間の会議はもちろん市会議員に呼ばれたときも、上着ばかりかネクタイもしないことが普通になってきた。今年は胸に着けるようにと「ストップ・ザ・温暖化!」というプレートが配られたりもしている。  

 では、軽装キャンペーンによって冷房の設定温度は上がったか。そうでもない気がすることも多い。ただ、残業の時間になると冷房を切るようにはなった。  

 いくらノータイでも、ワイシャツで冷房ナシの事務所に詰めているのはかなり辛い。いずれは「洋服」のワクを超える沖縄の「カリユシ・ウエア」みたいなものを普及させるなどしながら、「一番フォーマルな場面では「スーツ」という考え方を変えていくしかないのでは、と思う今日この頃だ。      

(地方公務員)


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カジュアル・フライデーには何を着る?

三浦直道

 私は数年前まで大手コンピュータ・メーカーでシステム・エンジニア(SE)をしていた。SEというと、コンピュータの前に張り付いている姿を想像する人も多いかも知れないが、実は顧客との交渉の機会の多い仕事である。  

 顧客が仕事の上で困っていることを聞き出し、それをコンピュータ・システムを通じてどう解決するかを提案するのがSEの主たる仕事だ。そのため服装には気を遣う。顧客に不快感を与えるような服装では困るというわけで、スーツにネクタイが定番となる。夏に自社の中で仕事をする時は上着はとることが多いが、ネクタイはきちんとしている。そこでどうしても冷房は強くなる。  

 90年代の半ばごろ、カジュアル・フライデーというものが導入された。フライデーすなわち金曜日には「顧客に関する仕事に差し障りがない限り」という条件付きではあるが、カジュアルすなわちスーツにネクタイではなくて普段着で出勤していいという制度だ。カジュアル・フライデーという言葉は辞書にも載っているくらいだから、導入している企業もかなりあるのではないかと思う。  

 私などはスーツ姿のキリッとしたのもいいとは思っていたが、ネクタイで首を締め付けているのは苦痛だったので、カジュアル・フライデーには大賛成だった。  

 最初は何を着ていけばいいのか迷った。スーツ姿から上着とネクタイを取っただけではちょっとみっともない。だらしがない感じがするのである。誰もが迷っているようで、中には断固としてスーツ姿にこだわる人もいた。でもよれよれのスーツだ。だったらセンスのいいカジュアルの方がかっこいい。そんな話が酒飲みの場で話題になったりしながらも、だんだん定着していった。  

 ところがある時、「カジュアル」に関して役員が怒っているという話が伝わってきた。エレベータに同乗した社員が破れたジーンズに、派手なTシャツ姿だったというのである。「カジュアル」とは言っても、社内には顧客が訪れることもあるのだから、わきまえが必要だというわけである。  

 確かに若い社員には、年輩の顧客が見たら顔をしかめるであろうような格好で出勤してきている人もかなりいた。「これはまずい。役員の怒りがきっかけでカジュアル・フライデーが廃止になってしまうかもしれない」。カジュアル賛成派の私は、ちょっと心配になった。  

 社内でやり取りするメールでひとしきり議論が続いたが、結局カジュアル・フライデーは廃止にはならなかった。議論を通じてどんな服装がふさわしいのか共通認識ができてきた。雨降って地かたまるというわけで、カジュアルも確固としたものになってきたのだ。  

 最近世の中ではクールビズとか言って急に騒いでいるけれども、民間ではスーツに代わるビジネス上の服装も随分考えてきた歴史がある。お上がああせいこうせいと言っているうちは定着には至らないだろうな、というのが私の感想である。  

 今年の6月から私のいた会社でもクールビズに取り組み始めたそうだ。日本の夏は蒸し暑い。今後ますます暑くなるだろう。冬はスーツもいいけれど、夏のビジネス・ウェアは日本なりの文化を創っていったらいいと思う。  

(システムエンジニア)


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簡単にスーツを脱ぎ捨てられない

国枝康男

 クールビズがあちこちで奨励されているが、スーツへの愛着が強い私は、なかなか脱ぎ捨てられない。  

 紳士服量販店の店長に聞いた話だが、激安紳士服はベトナムやチュニジアなどから大量格安で買付け、そのシーズンに売れない分はゴミとして処分されてしまうという。もともとが低価格なので、ブランド品のようにアウトレット店への流出もできない。安易に買えるシャツが過剰に出回り、大量に廃棄されるシステムはとても環境にやさしいとはいえないだろう。  

 そこで私は、できるだけ気に入ったものを大事に使い、値の張るものは買えるまで我慢することにしている。  スーツの場合、ズボンプレス機で常にズボンのプリーツを保ち、吊りバンドをボタンホールドにして着る。こうすると背筋が伸びてとても気持ちがいい。洗濯すると生地が痩せてしまうので、衿は2分の1インチ、袖口は1インチ、スーツから出し、先にシャツが傷むようにしてスーツ本体を保護する。半袖シャツではバランスが悪く、真夏は我慢が必要だ。オーソドックスな無地の紺や黒のスーツなら、ズボンが傷んでも上着のボタンをメタルのボタンに付け変えれば、単独のブレザーとして着回せる。  

 気に入ったシャツは10年でも着続ける。衿が磨耗して穴が開いてしまうと、ハサミで切り取ってスタンドカラー風に直す。ボタンも石油製品ではなく、貝の削り出しなどに付け替える。こうすればスーツに合わせられなくなっても、休日着になる。体形に合わせたパターンオーダーのシャツも、洗濯時の衿袖のブラッシングやアイロンがけをして大切に保管する。いずれも愛着が強すぎて捨てられないのだ  

 警官、消防士、JRの職員や飛行機の客室乗務員の制服を観察すると、ジャケットのボタンはきっちり閉められている。スカーフ・ネクタイも同じデザインだ。職務遂行のため、着方にもマニュアルがある。  

 しかしスーツは、自分という個性を生かすための大切な脇役で、自分なりの楽しみ方ができる。ネクタイもその一つだ。私がもっとも大切にしているネクタイは父のお下がりである。ここぞというときに締めると、なぜか父の腰をマッサージしていた母を思い出す。ほころびは直し、アイロンをかけていつも清潔にしている。  

 靴も重要なアイテムだ。かつて安売りで買った靴はすぐにギョウザのようになって長持ちしなかった。今お気に入りの2足は、本社が東京墨田区にある日本製だ。化粧直し、靴底、細部の交換など、充実したアフターサービスから職人のこだわり、苦労が伝わってくる。7年履いているが、あと30年履きつづけるつもりで手入れをしているので状態も良い。梅雨の季節、手入れを怠れば、靴底のカビと格闘になる。  

 「足元を見る」ということわざがある。「駕籠かきなどが、旅行者の足の疲れぐあいをみて、料金を吹きかける。一般に弱みにつけこむ」(広辞苑)という意味だ。洋式では文字通り「他人の家に土足で踏み込むこと」が普通なので、靴が汚れていると相手に対して失礼になる。靴は常にピカピカに磨かなければならない理由がわかると、がぜん靴磨きも楽しくなってくる。  

 わが職場ではとりたてて「クールビズ」を推奨していない。社内で若手の私は、スーツとネクタイに頼って仕事をしている。暑い最中に脇や背中が汗ばみながらの仕事は効率が落ちるかもしれないが、安易に脱いでしまって、これまでスーツにあやかっていた信頼を失いたくないと思う。  

 職場ではクールビズが定着していても、朝は近所の目を気にしてネクタイ姿で出勤し、職場についてからネクタイを外すサラリーマンもいるという。日本のビジネス習慣の中では、「完全クールビズ」はなかなか難しいようだ。  

 とはいえこのご時世、、政府が本気で地球温暖化対策に取り組む姿勢を見せるなら、スーツ好きの私も潔く脱ぎ捨てよう。  

(メンテナンス会社営業)


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(2005年7月15日発行 『SENKI』 1184号6面から)


http://www.bund.org/culture/20050715-1.htm

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