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新たなリスク、課題残したサミット 原油高有効策なく、人民元“素通り”
「持続的成長」迫れず
【グレンイーグルズ=吉田憲司】英国で八日閉幕した主要国首脳会議(サミット)は現在の世界経済にとって最大の不安定要因である原油高の抑制に向けた有効打を放ったとはいえず、貿易不均衡を広げている中国の人民元改革に関する議論も事実上素通りした。ロンドンでの同時テロ発生に伴う「不安心理の拡大」という新たなリスクを抱える中、主要国(G8)が目指す「世界経済の持続的な成長」に向けたメッセージは踏み込み不足で、多くの課題を積み残す結果となった。
「国際会議のたびに原油価格を抑制する手立てを打ち出しても、原油価格は下がらなくなっている」。財務省のある幹部は歯止めのかからない原油高にお手上げといった表情だ。
今回のサミットでは特別声明で、産油国に対し、原油生産能力向上に向け油田開発に絡む投資促進を要請したほか、省エネ対策、エネルギー消費の効率化の重要性を訴えるなど「原油価格抑制に有効と思われるあらゆる手段」(小泉純一郎首相の同行筋)を打ち出した。しかし、ニューヨークの原油先物相場は一バレル=六〇ドル台の高水準で推移。特別声明の効果は出ていない状況だ。
背景には、原油高は続かないとみる産油国側が設備投資への慎重姿勢を崩しておらず、そうした事情を見透かした投機マネーの流入に歯止めがかからないことがある。原油市場の規模拡大で産油国、G8ともに市場での価格支配力を失いつつあるのが実情で、「口先介入の限界」を露呈した格好だ。
また、「世界貿易の不均衡是正に不可欠」(国際金融筋)と指摘される中国の人民元改革についても突っ込んだ議論は行われなかった。
首相同行筋によると、七日のG8と中国など新興市場五カ国との対話で、事実上ドルに固定された人民元の柔軟化を明確に求めたのは一部の国際機関だけ。中国の胡錦濤国家主席が自発的に「有効な財政政策と通貨政策が必要」との認識を示すにとどまり、突っ込んだ意見交換はなかった。「改革を迫れば迫るほど拒否反応を示す中国に配慮した結果」(首相同行筋)とみられる。
人民元改革は「待ったなし」の状況だ。改革が遅れれば遅れるほど、人民元切り上げを見越した投機マネーが中国に流入し、インフレ懸念が高まりかねない。中国経済の減速が各国の輸出減につながり、世界経済が打撃を受ける恐れがある。
今回のサミットは、G8と中国との間で世界経済の持続的な成長に向け「早期の人民元改革が必要」との認識を共有し、その成果を市場にアピールする絶好の機会だっただけに、今回の「進展なし」の結果が落とした影が懸念される。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/10pol001.htm