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監査法人変更ラッシュ １〜６月末、上場企業９９社
企業決算の内容をチェックする監査法人を変更する上場企業が相次いでいる。今年に入り、９９社が変更を決めるという「異例のラッシュ」（関係者）だ。理由は様々だが、連結決算を重視する会計手法の流れを受けて、国内外の監査法人グループを統一する動きのほか、企業が再編した結果として監査法人をグループで一本化する動きが目立つ。意見が対立した監査法人を企業が解任する例もあり、「なれ合い」との批判もあった監査法人と企業の関係は、大きく変わり始めた。（堀篭俊材、高田寛）
●グループ内で統一
資本金５億円以上の企業では、会計士または監査法人の監査が義務づけられており、監査人を変更する場合には株主総会での承認が必要だ。長年の関係を重視する傾向も強く、企業側はよほどの理由がないかぎり、変更には消極的だった。
それが今年１月から６月末までに、監査人の変更を発表した上場企業は９９社にのぼった。公認会計士法が昨春改正され、同一の監査責任者が連続で監査する期間が７年と制限されたことが、監査人との長年の関係の見直しを企業に迫る引き金になった。「こんなに変更が相次ぐのは異例」（監査法人関係者）という。
９９社のうち、８割が３月期決算の企業で、東証１部上場企業が３割を占める。新しく選任された監査人としては、国内４大監査法人のあずさ監査法人が２５社と最も多い。
ホンダと三菱電機はいずれも従来の新日本監査法人から、あずさ監査法人に変えた。ホンダの海外子会社の監査は世界４大会計事務所のＫＰＭＧが担当しており、ＫＰＭＧの国内提携先であるあずさに統一した。英文財務諸表の監査をＫＰＭＧに依頼する三菱電機も「連結・単独決算の一元的な監査体制づくり」を理由に挙げた。
日本信販は昨年、ＵＦＪ銀行の連結対象子会社になることが決まったため、監査法人をトーマツからＵＦＪと同じ中央青山に変更したばかり。
その直後、ＵＦＪグループは三菱東京フィナンシャル・グループとの経営統合を発表。合併後の新銀行にあわせようと１年で中央青山からトーマツに戻した。「まさか親会社が経営統合するとは思いませんから」とあきらめ顔だ。
伊勢丹グループに入った百貨店の岩田屋（本店・福岡市）も「あずさ」から伊勢丹の監査法人である中央青山に変えた。
今年４月、埼玉県中心に展開するスーパー、ヤオコーが、長年頼んできた中小の監査法人を解任した「事件」は、会計士業界に衝撃を与えた。
ヤオコーの取引先の不動産開発会社に対する敷金などへの貸し倒れ引当金の計上などを巡って意見が対立したのが原因とみられている。「監査法人が、公正を欠いたため」とヤオコー側は説明するが、「従来では考えられなかったケース」と指摘する向きは多い。
そうしたなかで、監査法人の間では、企業に有利な意見を持つ監査人に変える「オピニオン・ショッピング」の動きが出ることに対する警戒感が強まってきた。
日本公認会計士協会の藤沼亜起会長は、６日の会見で「意見対立で監査人が代わる場合、後任の監査人がきちんと引き継ぎを受けているのかどうかが問題」と指摘。監査法人の独立性が揺らぐことへの懸念を強く示した。
◇ ◇
◆監査人を変更した主な企業
企業名 退任監査人 新任監査人
東京建物 森助紀、小林恒男 新日本監査法人
三菱電機 新日本監査法人 あずさ監査法人
フォスター電機 川又康男 監査法人トーマツ
ホンダ 新日本監査法人 あずさ監査法人
岩田屋 あずさ監査法人 中央青山監査法人
カルソニックカンセイ 中央青山監査法人 新日本監査法人
カブドットコム証券 中央青山監査法人 監査法人トーマツ
ソーテック 中央青山監査法人 本間周平、阿久津斉一
日本信販 中央青山監査法人 監査法人トーマツ
http://www.asahi.com/paper/business.html
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。